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『義妹』は王太子妃になれない……そのに
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「納得のいく説明をもらえるのだろうな、アルフォンス卿。
事と場合によっては卿と言えども……」
宰相の後を追い、貴族管理課の近くの一室に入った。
私は怒りを抑え切れておらず、語気が荒れた。
ミルシェは間違い無くフォークライン公爵の娘だ。公爵が彼女の実母の夫人を迎えた際にそう登録されている。
なのにあの受付はミルシェを平民だと宣った。
私が言い終わるや否や、宰相は……
「黙れ、小僧」
……と地獄の王も裸足で逃げ出すであろう、低い声で呟いた。
『小僧』、宰相がブチ切れてる時に私を……私達をこう呼ぶ。
アルフォンス卿は元平民の傭兵。先々代国王が立太子する前の王子時代に見つけたと聞く。
間もなく100に届かんとする高齢だが、いまだその覇気は衰えを見せず、現役の騎士も敵わない。
「言ったはずだ、王族の言葉は重い、と」
先代も父も私も、この男に教育された。先々代が亡くなった今、この男に逆らえる者は私が知る限りは居ない。
「なぜ婚約破棄したのかは、後に聞こう。
今、明らかにするのは、その小娘が平民となってのは……小僧の短慮の所為と知れ」
何で私が、と言いたいが、恐怖に強張って声が出せない。
「フォークライン公爵令嬢はこう確認した。
『公爵の実娘であるマリーナ』と、
『マリーナ嬢の義妹のミルシェ』
……とな。
それを小僧お前は三度肯定した。
それによって、その小娘は公爵の実娘でない、と王家が認めた事となった」
なんでそれで……とそこで思い出した。
まだミルシェと出会う前の事。
「この本なんだけどさぁ……
『いじってこない、義父と義兄』
……だってさ。
同じ母親から産まれてるのに『義』兄って、この出版社大丈夫か」
そう言って哄笑していたのは、アルフォンス卿の曾孫で私の友人でもあるエド。
その時エドから義兄弟と義姉妹の正しい意味を教えられた。
「理解したようだな」
ミルシェを平民にしたのは、間違い無く……私だ。
そのミルシェに目を向けると、気を失っていた。
事と場合によっては卿と言えども……」
宰相の後を追い、貴族管理課の近くの一室に入った。
私は怒りを抑え切れておらず、語気が荒れた。
ミルシェは間違い無くフォークライン公爵の娘だ。公爵が彼女の実母の夫人を迎えた際にそう登録されている。
なのにあの受付はミルシェを平民だと宣った。
私が言い終わるや否や、宰相は……
「黙れ、小僧」
……と地獄の王も裸足で逃げ出すであろう、低い声で呟いた。
『小僧』、宰相がブチ切れてる時に私を……私達をこう呼ぶ。
アルフォンス卿は元平民の傭兵。先々代国王が立太子する前の王子時代に見つけたと聞く。
間もなく100に届かんとする高齢だが、いまだその覇気は衰えを見せず、現役の騎士も敵わない。
「言ったはずだ、王族の言葉は重い、と」
先代も父も私も、この男に教育された。先々代が亡くなった今、この男に逆らえる者は私が知る限りは居ない。
「なぜ婚約破棄したのかは、後に聞こう。
今、明らかにするのは、その小娘が平民となってのは……小僧の短慮の所為と知れ」
何で私が、と言いたいが、恐怖に強張って声が出せない。
「フォークライン公爵令嬢はこう確認した。
『公爵の実娘であるマリーナ』と、
『マリーナ嬢の義妹のミルシェ』
……とな。
それを小僧お前は三度肯定した。
それによって、その小娘は公爵の実娘でない、と王家が認めた事となった」
なんでそれで……とそこで思い出した。
まだミルシェと出会う前の事。
「この本なんだけどさぁ……
『いじってこない、義父と義兄』
……だってさ。
同じ母親から産まれてるのに『義』兄って、この出版社大丈夫か」
そう言って哄笑していたのは、アルフォンス卿の曾孫で私の友人でもあるエド。
その時エドから義兄弟と義姉妹の正しい意味を教えられた。
「理解したようだな」
ミルシェを平民にしたのは、間違い無く……私だ。
そのミルシェに目を向けると、気を失っていた。
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続きもお楽しみくだされば、幸いです