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馬鹿であれ、無知であれ
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アメリアがまだ皇太子妃候補の1人であった頃、当時の皇帝陛下からある言葉を授けられた。
天才と呼ばれる人間は確かに存在する、アメリアもそのうち1人であった。
学生時代、皇太子であるオラシオを差し置いて首位を独占していたほど。
しかし皇帝の言葉によりアメリアは、自分が天才であるという奢りを捨てる事となる。
「如何なる天才も、総てを知ることは不可能。時と場所によっては賢者とて無知者となりえる。
学院の首席卒業生である宰相とて、鍛冶においてはナイフ一本すら打てはしない。
己を天才と自惚れるなかれ、馬鹿であれ、無知であれ」
もとより知る事に貪欲であったアメリアは、学院の図書室の蔵書を全て一字一句暗唱出来る程に読み込み、最終学年に上がる頃には暇を持て余していた。
この世界は狭すぎる、そうアメリアに諦観させていた。
しかし皇帝の言葉により、自分は本当に理解出来ているのか、理解したつもりになったのではないか。そう認識すると、狭かった世界が果てしない世界と見えてきた。
皇帝と王后と父侯爵、そしてオラシオの許可を得て、卒業後に一年と期限を設け、フィリップス侯爵領を周る事にした。
当初の目論見では、余った期間で隣の領地をも周る予定であったが、領地を三割周ったところで期間切れとなり、王都へ帰還した。
侯爵家とはいえ生家の領地だけでもこうなのだ。ましてや帝国のある大陸全土のみならず、異大陸をも含めればどれだけの知らない知識がある事か。
自分は未だ無知だ、そう皇帝の言葉を本当の意味で実感したアメリアは、余りある『知らない事』に歓喜した。
斯様な事故に、商人が「馬鹿には見えないドレス」を持ち込んだ時、アメリアは『見えなくて当然』と思っていた。
見える者のいないドレスを買っても意味が無い、故にお帰り願おうとした。
天才と呼ばれる人間は確かに存在する、アメリアもそのうち1人であった。
学生時代、皇太子であるオラシオを差し置いて首位を独占していたほど。
しかし皇帝の言葉によりアメリアは、自分が天才であるという奢りを捨てる事となる。
「如何なる天才も、総てを知ることは不可能。時と場所によっては賢者とて無知者となりえる。
学院の首席卒業生である宰相とて、鍛冶においてはナイフ一本すら打てはしない。
己を天才と自惚れるなかれ、馬鹿であれ、無知であれ」
もとより知る事に貪欲であったアメリアは、学院の図書室の蔵書を全て一字一句暗唱出来る程に読み込み、最終学年に上がる頃には暇を持て余していた。
この世界は狭すぎる、そうアメリアに諦観させていた。
しかし皇帝の言葉により、自分は本当に理解出来ているのか、理解したつもりになったのではないか。そう認識すると、狭かった世界が果てしない世界と見えてきた。
皇帝と王后と父侯爵、そしてオラシオの許可を得て、卒業後に一年と期限を設け、フィリップス侯爵領を周る事にした。
当初の目論見では、余った期間で隣の領地をも周る予定であったが、領地を三割周ったところで期間切れとなり、王都へ帰還した。
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自分は未だ無知だ、そう皇帝の言葉を本当の意味で実感したアメリアは、余りある『知らない事』に歓喜した。
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見える者のいないドレスを買っても意味が無い、故にお帰り願おうとした。
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