黒の陰陽師

文月くー

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序章 怨怪と言う名の化け物

第零話 プロローグ

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現世と黄泉の狭間に存在する《あわい》。

そこには、〝怨怪〟と呼ばれる化物が存在していた。

〝怨怪〟は、現世と《あわい》を行き来でき、

現世に現れては、人を拐い、《あわい》に持ち帰って喰っていた。

〝神隠し〟は、ほとんどが〝怨怪〟によるものである。

しかし、そんな化物を、専門的に屠っていた者達がいた。

その者達の名を、『陰陽師』と言う。

彼らは、次々に〝怨怪〟を屠っていった。

だが、最後の怨怪、怨怪達の王〝忌龍王〟は、強すぎた。

圧倒的な力の前に、陰陽師達はなす術なく、どんどん殺されていった。

どうにか、十二本の魔刀によって封印できたが、生き延びた陰陽師は、

紅焔くれないほむら(炎天翼)

蒼月雪一そうげつゆきひと(水天翼)

黄烙真義こうらくただよし(光天翼)

翡翠夢夜ひすいむや(風天翼)

誠桃佳耶せいとうかや(命天翼)

橙山玄瀧とうざんげんろう(日天翼)

紫苑寺守時しおんじもりとき(死天翼)

灰薪榊かいまきさかき(夜天翼)

白楼櫂迅はくろうかいじん(氷天翼)

伏黒咲哉ふしぐろさくや(殲天翼)

銀天李しろがねてんり(聖天翼)

黄金瑠璃舞こがねるりまい(雷天翼)

の、十二人(後の、十二天翼)のみであった為、十二本の魔刀は、一人一振りと、別けられ、

代々受け継がれていく刀となった。

10年前のあの事件までは――。
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