黒の陰陽師

文月くー

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第一章 学園生活

第二話 前日の一悶着

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辺り一面に広がる濃厚な血の匂い。
俺が、怨怪に追い付くと、そこには、ただ、永遠と人間を喰らっている怨怪の姿があった。

「始めるか。」

そう言うと、漆黒の呪符を取り出し、詠唱を始める。

『願いたもう。叶えたもう。漆黒より生まれし闇に我、手を伸ばさん。無より生まれし怨念に堕ちし怪を呪い喰らう為の力よ。今ここに、顕現せん。』「呪い喰らえ『無月』」

すると、漆黒の呪符が、一振り刀に変化した。
俺は、それをゆっくり引き抜く。

「死ね」

そう言うと同時に、怨怪は、斬られて、真っ二つになっていた。

「討伐完了。」

うん、良い感じだ。
しかし、まだ一つ、とても重大な問題が残っている。
それは―――

「ここ、どこ…?」





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やっと着いたー!
と、喜んでいたのだが、寮に入るための、手続きが必要なため、受付で、約三時間ずっと座り続けるのだった。


                                               *                                            
 

長い長い手続きも終わり、自室で休んでいると、下の階が、なにやら騒がしい。
ちょっと様子を見に行ってみるか。


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案の定、一階の食堂で口論になっていた。
 

 「俺が先にここに座ってたんだ!!後から来て文句言うんじゃねぇ!!」

「はぁ?馬鹿か?お前。ここに俺の荷物が置いてあんだろ?俺が焼肉定食取りにいってる間に勝手に座ってんのお前じゃねぇの?それともそんな事も分からないぐらい頭沸いてんのか?」

くだらねー。
この様子だったらほっといても問題無さそうだ。
放置しておけば良いか。
とも、思ったのだが、そうは問屋が卸さなかった。

「嘗めてんじゃねぇぞ!!」

筋肉の男が呪符を取り出し、細身の男に襲いかかったのだ。
しかし、細身の男の方も飛び出している。
このまま続けたら、間違いなく、怪我人が出るだろう。
仕方ない、止めるか。
そう思い、二人の間に割り込む。
すると、二人とも、急に現れた俺に、驚きを隠せなかったようだ。
しかし、二人とももう止まれないところまで来ていたため、まずい!という顔をしている。
まぁ、問題ないが。
俺は、二人の鳩尾みぞおちを的確に打つ。

『かはっ…!』

崩れ落ちる二人。
こうして、突然始まったくだらない喧嘩は幕を閉じたのだった。
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