黒の陰陽師

文月くー

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第一章 学園生活

第五話 実力検査②

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これは、実体じゃない…!

そう気付いた俺は、即座に観察を止め、行動に移った。

もう、ほとんどのクラスメートがやられてしまっている。

残っているのは3人か。

まあいい。

どうせ、俺が殺るんだから。

俺は、3人の横を歩いて通り過ぎようとすると、

「…!?止めといた方がいいよ…!この人、強すぎる…!」


と、止められたが、無視して、通り過ぎたタイミングで加速した。


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槍笠晴兔やりかさはるとは、唖然としていた。

何故なら横を通り過ぎた、人が、急に、いなくなったのだ。

そして、やっと先生の前に立っていると分かり安堵したのだが、よく見てみると、先生の腹に彼の手刀が、突き刺さり、腹を突き破っているところだったので、一気に、頭が真っ白になった。


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(あり得ない…!)

多々良はそう思った。

何故なら、彼は、寸前まで歩いていたのにも関わらず、いきなり消え、そして、目の前に現れたと思ったときには、既に、彼の手刀が突き刺さっていたからである。

と言うより、加速にしては、速すぎるのだ。

いくら、加速の術式が得意でも、ゼロスピードから、トップスピードに加速するのは、無理なのだ。

何故なら、人は、何かしらの動作を行う時、必ず、初速と言うものが必要だからだ。

初速を必要としないのならば、つまり、重力も慣性もあったものじゃないと言うことだ。

そして、多々良は、何故こんな化物が、このE組にいるのだろうと、考えるのだった。


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ふー。

意外と、殺ってしまうのは楽だった。

ま、実体じゃないし、問題ないしいっかー。

そんなこんなで、実力検査は終わったのだった。

まぁ、後で、先生の、口止めと、起きていた3人の口止めも、忘れずに、行ったのだが。


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帰りの時間、何故か、生徒会室に呼び出されていた。

「それで、なんのご用でしょうか?泡沫会長」

そう、返すと、

「ここでは、お姉ちゃんで良いよ?りーん♪」

「分かった。澪姉、まさかとは思うけど、俺を生徒会に入れようとしてないか?」

すると、あからさまに、不自然な挙動になり、首を振る。

図星だこれー。

どうして、こういつも分かりきった事を隠そうとしているのか、知らないが、生徒会については面倒なので、拒否っておく。

「生徒会なんて面倒だし、俺はやらないよ?」

その言葉を聞いた姉さんは、途端に泣き出し、抱きついて来ると言うカオスな状況になりながら、2日目がおわったのだった。




――――後日談――――


結局、俺は、生徒会に入ることになった。
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