黒の陰陽師

文月くー

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第一章 学園生活

第十五話 悪魔

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「始め」

の、合図と共に、蒼月は、

「え…?」

そして、派手に転がる。

「がはっ…がはっ…!」

「蒼月深雪さん。確実に内蔵を潰しましたので動かない方が良いかと。この場に〝命天翼〟誠桃舞さんがいますし、死にはしないと思いますけどね。」

俺は、冷酷に告げる。
すると、〝炎天翼〟が、突っ込んできた。

「てめぇ!よくも深雪を!ぶっ殺す!!」

「簡単に殺すと、言わない方が良いですよ?使。」

そして、俺は『無月』を抜き、呟く。

「『絶界』」

と…。

すると、俺と紅一佳が、真っ黒な結界により隔離された。


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ここは、無数に浮かぶ島があり、その島には沢山の緑が生い茂っており、そして空には、これまた無数の黒い刀が存在する、異様な世界だった。

「ようこそ、。」

と、人の皮を被った悪魔りんは嗤う。

紅一佳はその笑顔に、そして死を覚悟する程、戦慄した。

(なんでこんな重く深い妖気をこいつが放ってんだよ?!) 

だが、目の前に立っていた筈の悪魔りんが消え、気が付くと、真横に立っていた。
すると悪魔りんはその心を読んだように囁く。

「俺がどうしてこんな妖気を放ってるか知りたいです?いつ俺が真横に移動したのか知りたいです?」

「くっ…!!」

紅一佳は手を振り払い、距離を取る。

「あははははは!そうやって距離を取っても、関係ないんですよ!―なぜならこの世界で自由に動けるのは、俺だけですから」

悪魔りんは、手を上げた。
その瞬間、無数の黒い刀が、紅一佳めがけて一斉に飛来した。





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結界が解けると、そこにいたのは、燐と血塗れの一佳だった。
固まる十二天翼。
そりゃそうだろう。
何せ、トップクラスの戦闘職の二人が、虫の息にまで追い込まれているのだから。

「早く回復しないと、〝炎天翼〟さん、死んじゃいますよ?」

ここでようやく、回復しなければいけないことを、思い出した〝命天翼〟が、紅一佳を回復させ始めた。

「やっぱり、強いねぇ。ただ、一佳くん相手に『絶界』はやり過ぎじゃないかな?」

「いえ、ちゃんと手加減しましたし、大丈夫だと思いますよ?」

すると、安倍晴明は、笑い出す。

「そうかそうか。さて、十二天翼諸君。伏黒燐くんの力は、わかったかい?」

沈黙に包まれる会場。
この沈黙を破ったのは、やはり安倍晴明だった。

「じゃあ、これからは彼も、〝十二天翼〟の仲間入りで良いかい?」

再び訪れる沈黙。
しかし、またもや直ぐに破られる事となった。
最も、破ったのは、安倍晴明ではなく、紅一佳だったのだが。

「俺はそれに賛成だ。伏黒燐、さっきは悪かった。お前は強い。いや、次元が違うな。これからは、仲間として、戦っていこうぜ」

他の十二天翼は、目を見開いて、驚いていた。

「いいねいいね♪熱い友情だね♪じゃあ、異論もないことだし、燐くん、君を仲間として歓迎するよ」

燐は、高らかに、

「はい!」

と、返事をするのだった。
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