キツネと龍と天神様

霧間愁

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幸せを抱きしめるキツネ曰く

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 カーテンを開けると、朝の光が部屋に飛び込んでくる。
 目を細めながら窓を開けて、入ってきた外の空気を吸い込む。

 愛用のマグカップに白湯を注いで風の当たる場所に座った。
 少し惚けたら、洗濯機を回そう。白湯を飲みきるまで、ここに座っていよう。
 心地よい風の中、僕、キツネは思っていた。
 ぼんやりと窓の景色を眺めていると、後ろから抱きしめられる。

 優しく首に絡みついた腕をそっと撫でた。

 この人は人間。
 この人は僕よりも先に死んでしまうのだな、と思うと涙が出てきた。
 僕が唐突に泣き出してしまったから慌てるこの人を愛おしく思いながら、死ぬ前に気味悪がられて逃げ出されるな、と思考が続く。
 涙を止めないと心配性のこの人を困らせてしまう。

 大丈夫、だいじょうぶと僕は自分にも言い聞かせて、小さく笑った。
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