キツネと龍と天神様

霧間愁

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笑顔のキツネ曰く

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 僕、キツネは息をのんだ。
 いつの間にか、朝のラッシュの光景が戻ってきていた。

 ホーム側のドアが開いて、電車側のドアが開く。
 すると、中で待ち構えていたようにあふれ出てくる人間。背広背広、スーツスーツ。女性女性、男性男性。
 まだ下車している人間がいるけれど、乗り込んでいく人間。スーツ、背広、男性、女性。
 乗車前から始まっている座席の奪い合い、早い者勝ちの徒競走。
 ベンチに座ったまま乗らずに、ぼけっと見ていると駅員さんが声をかけてくれた。
 大丈夫ですと、緊張した笑顔で返す。

 このベンチから見る景色は面白い。
 次の電車で座ろうと、乗車列の最後尾の人間が乗らずに、列の最初になった人間。
 電車の屋根にしがみ付いて移動する妖、あれはきっと目的地に着いたら化ける奴だ。
 車内に無理矢理に自分の身体を押し入れる人間。
 乗ったものの距離を測れずに、こっそり小さくなって人間の足元に紛れ込む妖。

 ようやく、僕、キツネは立ち上がった。
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