キツネと龍と天神様

霧間愁

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長生きする龍曰く

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 昔、この空には多くの龍がいた。
 鳳や凰、竜も飛び、地には麒、麟が駆け、魂と魄は平穏としていた。

 昔の夢を見ていた。まだ眠いが瞼をうっすらとあける。
 少女が独り。
 震えている。

 使命感と思い込みだけで、それを運命と思った少女が独り。
 この少女は、これでもう何度目なのだろうか?
 数百超えたあたりから、数えるのを止めてしまった。
 少女は覚えていないだろう、自分が何度も此処に至るために生まれ変わっていることを。

 そういえば、百万回死んだ猫の話をもう一度を読み聞かしてもらおうか、など思っていたら少女が飛びかかってきていた。
 
 と、少女は襟首を掴まれて元居た場所に戻される。
 そういえば今回は、儂の嫁がいた。
 愛嬌のある顔で、いつもの如く眉を吊り上げている。

「飯が冷めるからさっさと起きろ。あと、どこのガキだか知らないけど埃がたつから騒ぐな。いいね」

 旨そうな匂い、温かな飯。
 膳に目一杯のせられた料理。
 三客の膳。
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