173 / 366
恩着せがましい龍曰く
しおりを挟む
昔、一人の少女がいた。
大層変わった娘で、少女も終わるという年頃でたった独りで、儂の許にたどり着いた。
「記憶を消していただきたい」
何故?
「私にはおかしな力がある。記憶を消せるなら、その力ごと消せるのではないかと思った」
ふむ、どんな力だ?
「人を不幸にする力だ」
呼び寄せる類か、なるほど。
「違う」
では、幸せを引き寄せるのか?
「それも違う。不幸、不運の類を寄せ付けないのだ」
……、それは厄介な。
「学を積み、この歳になって気が付いた。私は意図的にこの力を使ってしまっている」
それは、それでよいのでは?
「しかし、その代償として、誰かが不運、不幸を背負うことになる」
自分が対象を選ばぬように記憶をなくすというのか。
「そうだ」
高貴だな。もっと浅ましく生きればよいではないか。
「……、知り合いにばれたのだ、この力が」
そうか、ならば致し方なし。
「恩に、恩に着る」
大層変わった娘で、少女も終わるという年頃でたった独りで、儂の許にたどり着いた。
「記憶を消していただきたい」
何故?
「私にはおかしな力がある。記憶を消せるなら、その力ごと消せるのではないかと思った」
ふむ、どんな力だ?
「人を不幸にする力だ」
呼び寄せる類か、なるほど。
「違う」
では、幸せを引き寄せるのか?
「それも違う。不幸、不運の類を寄せ付けないのだ」
……、それは厄介な。
「学を積み、この歳になって気が付いた。私は意図的にこの力を使ってしまっている」
それは、それでよいのでは?
「しかし、その代償として、誰かが不運、不幸を背負うことになる」
自分が対象を選ばぬように記憶をなくすというのか。
「そうだ」
高貴だな。もっと浅ましく生きればよいではないか。
「……、知り合いにばれたのだ、この力が」
そうか、ならば致し方なし。
「恩に、恩に着る」
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
5
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる