キツネと龍と天神様

霧間愁

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宥め上手なキツネ曰く

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 猫が、僕、キツネの家に家出してきた。

「聞いてよ、アイツったらさ……」
 お強いお酒の缶を片手に愚痴、というか惚気を吐き出し続けている。
 ボクというモノがありながら他の猫を撫でた、僕がおかえりって鳴いたら無視して家事を優先した、お風呂に一緒に入ろうとしたら止められた、玉葱の天ぷらを食べようとしたら怒られた、傍にいたら暑いと退かされた、パソコンの前から動かないから画面の前に居座ったらご飯の時間が遅くなった、洗濯物を取りこむのに邪魔と窓際からどかされた、等々。

 んー、それは猫が悪い。

 と、僕があいづちをうつと猫はシュンとする。
「やっぱりアイツ、悪くないよね。ボクが少し我儘を言い過ぎなんだよね」
 と、よい頃合いに、猫の携帯に着信音。
「あああああ、アイツだ。どうしよう…」
 いや、でればいいんじゃないかな?
「……、はい、もしもし。え?今、えっと友達のところ。…か、帰るよ。帰ってきて欲しいなら…、…、うん。うん、なら、帰ってあげる」

 猫は機嫌をなおして帰っていった。
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