キツネと龍と天神様

霧間愁

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真理の龍曰く

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 知り合いの狐がある時、神妙な面持ちで訪ねてきた。
 聞きたいことがあると言いながら、今は儂の伴侶の手料理に舌鼓をうっている。何しに来たんだか。

 なんか聞きたいことがあるんじゃないのか?
 そう問いかけると、そうでした、とすっかり忘れていた狐は、座りなおす。ほっぺたにご飯粒をつけながら、まじめな顔をつくる狐。
「爺ちゃん、聞きたい事あるんだけど」
 なんじゃ?
「爺ちゃん、記憶消せるじゃん?」
 ほう、消したい記憶でもあるんか?
 狐は首を振る。
「じゃなくてね、消した記憶って何処に行くの?」
 どこにもいかんよ。
「この世からなくなるの?」
 いや……まぁ、考え方によっては、そうかもしれんな。やっていることは、鍵をかけてると言った方がよいかもの。
「鍵?」
 そうじゃ、記憶を思い出させないように、その時に感じた感情や感覚も含めて全部鍵をするんじゃよ。
「それで皆忘れるの?」

 まぁ、正確には思い出せなくなる、ということじゃの。
 狐はよく解らないのか首を傾けた。
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