キツネと龍と天神様

霧間愁

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古物集めの龍曰く

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 いらっしゃい。と、店主が入口の男に気が付いて声をかけた。

 何かお探しですか?
 店主は、愛想笑いを浮かべながら男を値踏みする。
(あぁ、このお人は何か売りに来たんだ)
 古物商をして、数十年。店主はそんなことを雰囲気でわかる域まで達していた。
「実はこれを売りたい」
 と、不愛想に店主の前に一枚のコインを取り出した。何処かの国の金貨なのだろう、曇り一つない黄金色に輝いている……それ故に店主は禍々しいと思えた。
「この店は、得体のしれぬ物も引き取ってもらえると聞いた」
 まぁ、取り扱いに困るものは引き取れませんが、そのコインでしたら引き取らせていただきますよ。と、店主。
「有難い。幸運を引き寄せると聴いて手に入れたが、どうにも不幸続きでな。気味が悪くて……」
 本当によろしいんですか、と店主が念押しした。
「あぁ、このコインが原因だと思うんだ」

 そうですか。ではこちらに、記入と運転免許書の提示をお願いします。と、コインを買い取り男を送り出す。
 次の日、新聞に大規模な事故の記事の中に男の名前があった。
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