キツネと龍と天神様

霧間愁

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唐突にわきでたキツネ曰く

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 やかんの口から湯気が吹きだしている。
 僕、キツネは換気扇とコンロの火を止めて、やかんの持ち手を軽く触った。

 マグカップを二つ。静かに机に置いた。
 片方にはインスタントコーヒー。確かスプーンに二杯。
 もう一つには、使い捨てのドリップ式。
「砂糖はいらないから」
 やかんに手をかけてドキッとする。こっそりと淹れていたのに、いつ気がついたのだろう?
「匂いだよ、驚くと面白い顔するんですね」
 彼を本を読みながら、此方を見てもいない。
「見ましたよ、ちらりと」
 よそ見してると火傷するよ、と彼。何も言い返していない僕はその言葉に、またドキリとした。

 この人は、心を読めるのじゃないか?
 本当は、僕と同じ妖なのではないのか、とさえ思う。
 全部僕のことを知ってしまっているのではないのか?

「……、急に塞ぎこんで、どうしたんです?」
 僕にも分からないことはありますよ、だからアナタ尋ねるんです、言葉のありがたみが解るんです。
 そう笑っていた。
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