キツネと龍と天神様

霧間愁

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虚栄だけじゃない龍曰く

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 古い教室。
 人影が二つ。
 放課後。

「君にも女子特有の付き合いというモノがあるだろう」
 長い勤務生活が板についた年長者のように、学生用蘭服学ランの少年が言う。
「別に君を待っているわけじゃないんだからね」
 学ラン少年の横で、不貞腐れたようにセーラー服の少女が言った。
「ななな、なんというテンプレな回答。実際にそうであっても、そうでなくても、本当にありがとうございます、助かります。現実にもいるんだね、存在してるんだね“別にアンタの為に作ってきたわけじゃないんだからね”的な発言。これなら世界に溢れるUMACryptidの情報も偽りと言い難くなったよね、むしろ間接的に証明されたと同意義だよね。いやはや、有難いね」
 少女が少年を小突く。
「馬鹿にしてる?」
「してないよ。重ね重ねで申し訳ないけど、感謝してる」
 少女が頬を膨らませた。
「してるじゃない!」
 少年は笑顔だ。

「してるよ、君が存在してくれていることに」
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