キツネと龍と天神様

霧間愁

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一時預かりキツネ曰く

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 僕、キツネは驚いています。

 小さな女の子の人形が、膝に両手をつき、頭を下げ腰をかがめている。
「若い者でござんすから、御頼み申します、御控えください。向いましたる上さんと今回初めての御目通でござんす。 カケダシの身もちまして姓名の儀、一々高声に発します仁義失礼さんです。自分は、すぐそこの蛞蝓通りで産声をあげました。初めはただの演算機の箱娘でござんした、言葉は操れますが世間の右も左も判らぬ駆け出し者ゆえ名も姓もまだありません。名無しの権兵衛……、ゴンエベ子と発し、御賢察の通、しがなき者にござんす。見苦しき面体お見知りおかれまして、恐惶万端引き立って、よろしくお頼み申します」
 懐かしい挨拶をする子だ、と頭を撫でてみました。目を細めて気持ち良さそうにする。
 一宿一飯は、承りました。と、僕は彼女を肩に乗せた。

「ありがとうございます」
 家出したんです、と人形ゴンベコちゃん。

「ゴンベコはごっつい感じがするんで、チェンジで」
 ……何食べるの?
「……電気っすね」
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