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変遷しつつ龍曰く
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店の扉のカランコロンという音は、彼女のお気に入りの音の一つだ。
「てんちょー」のこだわりらしいが、彼女はよく解っていない。
彼女がこの店で働きだして、数ヶ月になるが分からないことだらけだ。
店にやって来る人間は、黒い液体を注文し満足そうに飲み干して帰っていく。彼女がそれを美味しいとは思わなかったが、それで「お金」をおいていく。
満足しているなら、それでいいのだ。
彼女には「てんちょー」が未来予知をしているのではないかと思う時がある。
閑古鳥が鳴いているのに、黒い液体をつくる装置を稼働させるのだ。
何故と問うと、
「そうだね、なんとなく、かな」
と笑いながら、外の天気を気にするのだ。
彼女は「てんちょー」を尊敬しゐる。
“「てんちょー」が装置に火を入れる”と客が来て、黒い液体を満足して飲み干してお金をおいて帰っていく。
“彼女が装置に火を入れて”もお客は来ないのだ。
「お客様がくる時間を大体覚えているんだよ」と説明されたが、そんな事はないと彼女は歳相応に否定した。
困った「てんちょー」の顔を、彼女は可愛いと思えた。
彼女は「てんちょー」に恋をしている。
「てんちょー」のこだわりらしいが、彼女はよく解っていない。
彼女がこの店で働きだして、数ヶ月になるが分からないことだらけだ。
店にやって来る人間は、黒い液体を注文し満足そうに飲み干して帰っていく。彼女がそれを美味しいとは思わなかったが、それで「お金」をおいていく。
満足しているなら、それでいいのだ。
彼女には「てんちょー」が未来予知をしているのではないかと思う時がある。
閑古鳥が鳴いているのに、黒い液体をつくる装置を稼働させるのだ。
何故と問うと、
「そうだね、なんとなく、かな」
と笑いながら、外の天気を気にするのだ。
彼女は「てんちょー」を尊敬しゐる。
“「てんちょー」が装置に火を入れる”と客が来て、黒い液体を満足して飲み干してお金をおいて帰っていく。
“彼女が装置に火を入れて”もお客は来ないのだ。
「お客様がくる時間を大体覚えているんだよ」と説明されたが、そんな事はないと彼女は歳相応に否定した。
困った「てんちょー」の顔を、彼女は可愛いと思えた。
彼女は「てんちょー」に恋をしている。
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