38 / 66
63章
しおりを挟む
63.章 司祭とギャンブル
山の稜線が輝きだし、ゆっくりと太陽が顔を出し始めた。
東の空は白みはじめ、朝の光が溢れると、夜の闇は隅に押しやられ消え去る。
ありふれた、そして毎日やってくる、
神秘的な、こんな奇跡は、日々絶えず、
そして今日も1日がはじまる。
ジルド領の北部は、もうだいぶ寒く夜中に霜柱が立つ。
そこらの枯れた草木も、ダイヤのような霜が、薄く吹き付けられ、
朝の風にそよいで、輝いていた。
すでに、司祭は仕事を始めており、寒がりながらも、木製のタライで洗濯物を洗っている。
さむ、さむと、吐く息も白く、指先は冷たく痛んでいるようだ。
「…あの!わたし手伝います」
慌てて、カリナは司祭に声を掛けた。
カリナは、一方的にお世話になっている事を心苦しく思っており、なにか自分にできる事を探していた。
「あ…!おはようございます」
司祭が、カリナに気づき、驚いて挨拶を交わした。
「そんな、お客様にお手伝いなんて、申し訳ないです……」
司祭はそう言って、恐縮する。
そこへ、はしゃいで走ってきた子供が司祭にぶつかる。
ぶつかった拍子に、司祭はバラバラと何か『紙』を落としてしまう。
「おっと…!あまりはしゃぐと他の小さい子にぶつかってしまうよ…」
司祭はそう言って、走ってきた子に、優しく諭す。
カリナは慌てて、司祭が落とした、大量の小さな紙たちを拾った。
「司祭様、落ちましたよ」
そう言って、小さな紙たちを渡す。
『これって…競獣場の獣券?』
「あはは…。これは大変お恥ずかしい…。」
「競獣場に、行かれるんですか?」
「…ええ。まぁ、ほんの息抜きで…」
『落とした、大量の獣券は、とても息抜きレベルでは無かったけど…』
競獣場読んで字の如く、
競争用に調教された魔獣、妖獣、怪獣、ミニドラゴンなどを競争、および闘争させ、
金銭を賭ける、いわゆるギャンブルである。
アスタクは、不思議がる、カリナに事の次第を説明する。
「司祭様は、生活が厳しいくせに、ギャンブル大好きなんだよ。」
そう言って続ける。
「特に、競獣場に行くと、人が変わっちゃって、
この前なんて、{テメー舐めた、走りしたらぶっ殺すぞ!!}って野次ってたらしいよ。」
うんうんと、他の孤児たちもアスタクの意見に賛成している。
「ミロスの父ちゃんが言ってた。
競獣場でヤジってたって。」
「うん、言ってた。」
その他の孤児も、その言葉を保証する。
「…ちょっと意外…」
カリナは少し、びっくりする。
ニコニコしながら、洗濯物を干してしている、司祭をみていると、そんな風にはとても見えない。
『あんな優しそうな、人なのに…』
「まあ、ギャンブル狂さえなければ、良い司祭様だよ」
アスタクはそう言うと、がははと笑った。
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
あとがき
「面白かった!」
「続きが気になる、読みたい!」
「今後どうなるの!!」
と思ったら
下にある⭐︎⭐︎⭐︎から、作品の応援お願いいたします。
面白くても、つまらなくても、正直に感じた気持ちをコメント頂けると、今後につながるのでありがたいです。
『お気に入り』もいただけると本当にうれしいです。
何卒よろしくお願いいたします。
山の稜線が輝きだし、ゆっくりと太陽が顔を出し始めた。
東の空は白みはじめ、朝の光が溢れると、夜の闇は隅に押しやられ消え去る。
ありふれた、そして毎日やってくる、
神秘的な、こんな奇跡は、日々絶えず、
そして今日も1日がはじまる。
ジルド領の北部は、もうだいぶ寒く夜中に霜柱が立つ。
そこらの枯れた草木も、ダイヤのような霜が、薄く吹き付けられ、
朝の風にそよいで、輝いていた。
すでに、司祭は仕事を始めており、寒がりながらも、木製のタライで洗濯物を洗っている。
さむ、さむと、吐く息も白く、指先は冷たく痛んでいるようだ。
「…あの!わたし手伝います」
慌てて、カリナは司祭に声を掛けた。
カリナは、一方的にお世話になっている事を心苦しく思っており、なにか自分にできる事を探していた。
「あ…!おはようございます」
司祭が、カリナに気づき、驚いて挨拶を交わした。
「そんな、お客様にお手伝いなんて、申し訳ないです……」
司祭はそう言って、恐縮する。
そこへ、はしゃいで走ってきた子供が司祭にぶつかる。
ぶつかった拍子に、司祭はバラバラと何か『紙』を落としてしまう。
「おっと…!あまりはしゃぐと他の小さい子にぶつかってしまうよ…」
司祭はそう言って、走ってきた子に、優しく諭す。
カリナは慌てて、司祭が落とした、大量の小さな紙たちを拾った。
「司祭様、落ちましたよ」
そう言って、小さな紙たちを渡す。
『これって…競獣場の獣券?』
「あはは…。これは大変お恥ずかしい…。」
「競獣場に、行かれるんですか?」
「…ええ。まぁ、ほんの息抜きで…」
『落とした、大量の獣券は、とても息抜きレベルでは無かったけど…』
競獣場読んで字の如く、
競争用に調教された魔獣、妖獣、怪獣、ミニドラゴンなどを競争、および闘争させ、
金銭を賭ける、いわゆるギャンブルである。
アスタクは、不思議がる、カリナに事の次第を説明する。
「司祭様は、生活が厳しいくせに、ギャンブル大好きなんだよ。」
そう言って続ける。
「特に、競獣場に行くと、人が変わっちゃって、
この前なんて、{テメー舐めた、走りしたらぶっ殺すぞ!!}って野次ってたらしいよ。」
うんうんと、他の孤児たちもアスタクの意見に賛成している。
「ミロスの父ちゃんが言ってた。
競獣場でヤジってたって。」
「うん、言ってた。」
その他の孤児も、その言葉を保証する。
「…ちょっと意外…」
カリナは少し、びっくりする。
ニコニコしながら、洗濯物を干してしている、司祭をみていると、そんな風にはとても見えない。
『あんな優しそうな、人なのに…』
「まあ、ギャンブル狂さえなければ、良い司祭様だよ」
アスタクはそう言うと、がははと笑った。
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
あとがき
「面白かった!」
「続きが気になる、読みたい!」
「今後どうなるの!!」
と思ったら
下にある⭐︎⭐︎⭐︎から、作品の応援お願いいたします。
面白くても、つまらなくても、正直に感じた気持ちをコメント頂けると、今後につながるのでありがたいです。
『お気に入り』もいただけると本当にうれしいです。
何卒よろしくお願いいたします。
0
あなたにおすすめの小説
ヒロインだと言われましたが、人違いです!
みおな
恋愛
目が覚めたら、そこは乙女ゲームの世界でした。
って、ベタすぎなので勘弁してください。
しかも悪役令嬢にざまあされる運命のヒロインとかって、冗談じゃありません。
私はヒロインでも悪役令嬢でもありません。ですから、関わらないで下さい。
嫁ぎ先は悪役令嬢推しの転生者一家でした〜攻略対象者のはずの夫がヒロインそっちのけで溺愛してくるのですが、私が悪役令嬢って本当ですか?〜
As-me.com
恋愛
事業の失敗により借金で没落寸前のルーゼルク侯爵家。その侯爵家の一人娘であるエトランゼは侯爵家を救うお金の為に格下のセノーデン伯爵家に嫁入りすることになってしまった。
金で買われた花嫁。政略結婚は貴族の常とはいえ、侯爵令嬢が伯爵家に買われた事実はすぐに社交界にも知れ渡ってしまう。
「きっと、辛い生活が待っているわ」
これまでルーゼルク侯爵家は周りの下位貴族にかなりの尊大な態度をとってきた。もちろん、自分たちより下であるセノーデン伯爵にもだ。そんな伯爵家がわざわざ借金の肩代わりを申し出てまでエトランゼの嫁入りを望むなんて、裏があるに決まっている。エトランゼは、覚悟を決めて伯爵家にやってきたのだが────。
義母「まぁぁあ!やっぱり本物は違うわぁ!」
義妹「素敵、素敵、素敵!!最推しが生きて動いてるなんてぇっ!美しすぎて眼福ものですわぁ!」
義父「アクスタを集めるためにコンビニをはしごしたのが昨日のことのようだ……!(感涙)」
なぜか私を大歓喜で迎え入れてくれる伯爵家の面々。混乱する私に優しく微笑んだのは夫となる人物だった。
「うちの家族は、みんな君の大ファンなんです。悪役令嬢エトランゼのね────」
実はこの世界が乙女ゲームの世界で、私が悪役令嬢ですって?!
────えーと、まず、悪役令嬢ってなんなんですか……?
完璧(変態)王子は悪役(天然)令嬢を今日も愛でたい
咲桜りおな
恋愛
オルプルート王国第一王子アルスト殿下の婚約者である公爵令嬢のティアナ・ローゼンは、自分の事を何故か初対面から溺愛してくる殿下が苦手。
見た目は完璧な美少年王子様なのに匂いをクンカクンカ嗅がれたり、ティアナの使用済み食器を欲しがったりと何だか変態ちっく!
殿下を好きだというピンク髪の男爵令嬢から恋のキューピッド役を頼まれてしまい、自分も殿下をお慕いしていたと気付くが時既に遅し。不本意ながらも婚約破棄を目指す事となってしまう。
※糖度甘め。イチャコラしております。
第一章は完結しております。只今第二章を更新中。
本作のスピンオフ作品「モブ令嬢はシスコン騎士様にロックオンされたようです~妹が悪役令嬢なんて困ります~」も公開しています。宜しければご一緒にどうぞ。
本作とスピンオフ作品の番外編集も別にUPしてます。
「小説家になろう」でも公開しています。
転生しましたが悪役令嬢な気がするんですけど⁉︎
水月華
恋愛
ヘンリエッタ・スタンホープは8歳の時に前世の記憶を思い出す。最初は混乱したが、じきに貴族生活に順応し始める。・・・が、ある時気づく。
もしかして‘’私‘’って悪役令嬢ポジションでは?整った容姿。申し分ない身分。・・・だけなら疑わなかったが、ある時ふと言われたのである。「昔のヘンリエッタは我儘だったのにこんなに立派になって」と。
振り返れば記憶が戻る前は嫌いな食べ物が出ると癇癪を起こし、着たいドレスがないと癇癪を起こし…。私めっちゃ性格悪かった!!
え?記憶戻らなかったらそのままだった=悪役令嬢!?いやいや確かに前世では転生して悪役令嬢とか流行ってたけどまさか自分が!?
でもヘンリエッタ・スタンホープなんて知らないし、私どうすればいいのー!?
と、とにかく攻略対象者候補たちには必要以上に近づかない様にしよう!
前世の記憶のせいで恋愛なんて面倒くさいし、政略結婚じゃないなら出来れば避けたい!
だからこっちに熱い眼差しを送らないで!
答えられないんです!
これは悪役令嬢(?)の侯爵令嬢があるかもしれない破滅フラグを手探りで回避しようとするお話。
または前世の記憶から臆病になっている彼女が再び大切な人を見つけるお話。
小説家になろうでも投稿してます。
こちらは全話投稿してますので、先を読みたいと思ってくださればそちらからもよろしくお願いします。
転生者はチートな悪役令嬢になりました〜私を死なせた貴方を許しません〜
みおな
恋愛
私が転生したのは、乙女ゲームの世界でした。何ですか?このライトノベル的な展開は。
しかも、転生先の悪役令嬢は公爵家の婚約者に冤罪をかけられて、処刑されてるじゃないですか。
冗談は顔だけにして下さい。元々、好きでもなかった婚約者に、何で殺されなきゃならないんですか!
わかりました。私が転生したのは、この悪役令嬢を「救う」ためなんですね?
それなら、ついでに公爵家との婚約も回避しましょう。おまけで貴方にも仕返しさせていただきますね?
推ししか勝たん!〜悪役令嬢?なにそれ、美味しいの?〜
みおな
恋愛
目が覚めたら、そこは前世で読んだラノベの世界で、自分が悪役令嬢だったとか、それこそラノベの中だけだと思っていた。
だけど、どう見ても私の容姿は乙女ゲーム『愛の歌を聴かせて』のラノベ版に出てくる悪役令嬢・・・もとい王太子の婚約者のアナスタシア・アデラインだ。
ええーっ。テンション下がるぅ。
私の推しって王太子じゃないんだよね。
同じ悪役令嬢なら、推しの婚約者になりたいんだけど。
これは、推しを愛でるためなら、家族も王族も攻略対象もヒロインも全部巻き込んで、好き勝手に生きる自称悪役令嬢のお話。
【完結】転生したので悪役令嬢かと思ったらヒロインの妹でした
果実果音
恋愛
まあ、ラノベとかでよくある話、転生ですね。
そういう類のものは結構読んでたから嬉しいなーと思ったけど、
あれあれ??私ってもしかしても物語にあまり関係の無いというか、全くないモブでは??だって、一度もこんな子出てこなかったもの。
じゃあ、気楽にいきますか。
*『小説家になろう』様でも公開を始めましたが、修正してから公開しているため、こちらよりも遅いです。また、こちらでも、『小説家になろう』様の方で完結しましたら修正していこうと考えています。
村娘になった悪役令嬢
枝豆@敦騎
恋愛
父が連れてきた妹を名乗る少女に出会った時、公爵令嬢スザンナは自分の前世と妹がヒロインの乙女ゲームの存在を思い出す。
ゲームの知識を得たスザンナは自分が将来妹の殺害を企てる事や自分が父の実子でない事を知り、身分を捨て母の故郷で平民として暮らすことにした。
村娘になった少女が行き倒れを拾ったり、ヒロインに連れ戻されそうになったり、悪役として利用されそうになったりしながら最後には幸せになるお話です。
※他サイトにも掲載しています。(他サイトに投稿したものと異なっている部分があります)
アルファポリスのみ後日談投稿しております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる