魔力ゼロの悪役令嬢が 最強の魔女になれたのは、優しい魔王さまの嫁だから

恋月 みりん

文字の大きさ
51 / 69

79章

しおりを挟む
79章 罪と罰



カリナはえずきながら、気丈に司祭のインベルに対峙する。



「司祭さま…。」


カリナは涙を、浮かべて、訴える。



「どうして、こんな…事されたのですか…?」



そうして司祭に向かって呼びかける。


不思議なことに─。


カリナの悲痛な訴えが、司祭の様子に、なにがしかの変化を起こした。



「……っ…僕は…っ…!」



カリナの言葉を受けて、司祭インベルは頭を抱えて苦しむ。



「ゔっゔっ………。……僕は…一体っ…。」



「!!!」



その様子に、驚くカリナ。




「司祭…様……大丈夫…で…すか?」




カリナは心配そうに、司祭インベルの様子をうかがう。




「なーんて!!!…んな訳ねーだろ。」



一転、司祭は薄ら笑いを浮かべ、言い放った。



「こっちがなんだよ。ばぁーーーか!!」



司祭は、口調と人格が豹変する。



そして、あははと心底楽しそうだ。




「ホント、君がロザリオを受け取ってくれて、助かったよ。」




「アレはね。君達のアジトへ足取りをたどるための、

僕の痕跡つきの魔石だったんだ。」




「君の案内のおかげで、思ったより早くヤツの拠点を見つける事が出来たよ。」




カリナは、その事実にショックを受ける。




「ふふ……手強かったよ。ヤツひとりの時は、細心の注意を払って、痕跡を残さずに暮らしていたから」




「まあ、弟子なんて取るからこうなる。」




「下手なスケベ心が招いた罰だ。」




司祭は、カリナが打ちひしがれている様子を見て、こう言う。



「どうも、コイツのことを勘違いしているようだが…」



司祭は、魔導士を冷ややかに一瞥する。



「こいつは、僕と組んでハルトをはめ、悠久ゆうきゅうの時に封印したんだ。」



「こんなクズに、情けをかけてやる必要は無い。」


司祭は吐き捨てるように言う。



カリナはかまわず、師匠のそばに駆けつけると、司祭との間に立った。



そうして、瀕死の先生を庇い背中に隠すと、司祭インベルと対峙する。



「それでも、先生は、殺させません。」



「ふうん。……勇敢だね。」



「でも手が震えている。…怖い?」



『…なにか、考えなくちゃ。』



カリナは必死で考える。



「死ぬのは怖くないの?」



カリナは司祭から問われ、こう答えた。



「一回死んだので、その分慣れてます…」



その言葉に、司祭は思わず吹き出す。



「…ぷ。あはははっ。やっぱり君面白いね」



「僕の秘密のお城へ、連れて帰りたいな」



司祭はそう言いながら、カリナの髪に触れる。



「もし君が、僕のだけのものになるなら…」



そうして髪にキスすると、カリナの耳元で囁く。



「そうしたら、ツカサは見逃してあげるよ?」



『えっ…』



その提案に、心が揺れる。



そこへ魔導士が、話しに割って入る。



「カリナ、騙されるな。コイツも私同様のクズで、嘘つきだ」



カシウスの魔法詠唱が聞こえる。



「……転移魔法、デジョン、」



「…えっ?」



そう、言うが早いか、カリナは転移魔法の光りだけを残して消える。



魔導士カシウスが、高速詠術を使い、転移魔法でカリナを、逃したのだった。



『クソ…あまり遠くに飛ばせなかった…。』




「…彼女を転移魔法で逃したか。」



「ずいぶん、カッコいい事したな。」



司祭は言いながら、魔導士に詰め寄る。



「だが、魔力の無駄遣いをしている余裕があるのか?」



司祭の眼に、殺意がこもる。



「まあ、自分が転移しなかった事だけ褒めてやる。」



落ちた眼鏡が踏みつけられ、割れた破片がパチッと砕けた。



「もっとも、これだけ実力差があれば、逃げても無駄なのは分かっているだろうけど。」



眼前の司祭は、カシウスを見下ろす。



「ご褒美だ、苦しまずに死ね。」








※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

あとがき


「面白かった!」


「続きが気になる、読みたい!」


「今後どうなるの!!」


と思ったら


下にある⭐︎⭐︎⭐︎から、作品の応援お願いいたします。


面白くても、つまらなくても、正直に感じた気持ちをコメント頂けると、今後につながるのでありがたいです。


『お気に入り』もいただけると本当にうれしいです。

何卒よろしくお願いいたします。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

ヒロインしか愛さないはずの公爵様が、なぜか悪女の私を手放さない

魚谷
恋愛
伯爵令嬢イザベラは多くの男性と浮名を流す悪女。 そんな彼女に公爵家当主のジークベルトとの縁談が持ち上がった。 ジークベルトと対面した瞬間、前世の記憶がよみがえり、この世界が乙女ゲームであることを自覚する。 イザベラは、主要攻略キャラのジークベルトの裏の顔を知ってしまったがために、冒頭で殺されてしまうモブキャラ。 ゲーム知識を頼りに、どうにか冒頭死を回避したイザベラは最弱魔法と言われる付与魔法と前世の知識を頼りに便利グッズを発明し、離婚にそなえて資金を確保する。 いよいよジークベルトが、乙女ゲームのヒロインと出会う。 離婚を切り出されることを待っていたイザベラだったが、ジークベルトは平然としていて。 「どうして俺がお前以外の女を愛さなければならないんだ?」 予想外の溺愛が始まってしまう! (世界の平和のためにも)ヒロインに惚れてください、公爵様!!

悪役令嬢が睨んでくるので、理由を聞いてみた

ちくわ食べます
恋愛
転生したのは馴染みのない乙女ゲームの世界だった。  シナリオは分からず、登場人物もうろ覚え、タイトルなんて覚えてすらいない。 そんな世界でモブ男『トリスタン』として暮らす主人公。 恋愛至上主義な学園で大人しく、モブらしく、学園生活を送っていたはずなのに、なぜか悪役令嬢から睨まれていて。 気になったトリスタンは、悪役令嬢のセリスに理由を聞いてみることにした。

悪役令嬢に転生したけど、知らぬ間にバッドエンド回避してました

神村結美
恋愛
クローデット・アルトー公爵令嬢は、お菓子が大好きで、他の令嬢達のように宝石やドレスに興味はない。 5歳の第一王子の婚約者選定のお茶会に参加した時も目的は王子ではなく、お菓子だった。そんな彼女は肌荒れや体型から人々に醜いと思われていた。 お茶会後に、第一王子の婚約者が侯爵令嬢が決まり、クローデットは幼馴染のエルネスト・ジュリオ公爵子息との婚約が決まる。 その後、クローデットは体調を崩して寝込み、目覚めた時には前世の記憶を思い出し、前世でハマった乙女ゲームの世界の悪役令嬢に転生している事に気づく。 でも、クローデットは第一王子の婚約者ではない。 すでにゲームの設定とは違う状況である。それならゲームの事は気にしなくても大丈夫……? 悪役令嬢が気付かない内にバッドエンドを回避していたお話しです。 ※溺れるような描写がありますので、苦手な方はご注意ください。 ※少し設定が緩いところがあるかもしれません。

シナリオ通り追放されて早死にしましたが幸せでした

黒姫
恋愛
乙女ゲームの悪役令嬢に転生しました。神様によると、婚約者の王太子に断罪されて極北の修道院に幽閉され、30歳を前にして死んでしまう設定は変えられないそうです。さて、それでも幸せになるにはどうしたら良いでしょうか?(2/16 完結。カテゴリーを恋愛に変更しました。)

十三回目の人生でようやく自分が悪役令嬢ポジと気づいたので、もう殿下の邪魔はしませんから構わないで下さい!

翠玉 結
恋愛
公爵令嬢である私、エリーザは挙式前夜の式典で命を落とした。 「貴様とは、婚約破棄する」と残酷な事を突きつける婚約者、王太子殿下クラウド様の手によって。 そしてそれが一度ではなく、何度も繰り返していることに気が付いたのは〖十三回目〗の人生。 死んだ理由…それは、毎回悪役令嬢というポジションで立ち振る舞い、殿下の恋路を邪魔していたいたからだった。 どう頑張ろうと、殿下からの愛を受け取ることなく死ぬ。 その結末をが分かっているならもう二度と同じ過ちは繰り返さない! そして死なない!! そう思って殿下と関わらないようにしていたのに、 何故か前の記憶とは違って、まさかのご執心で溺愛ルートまっしぐらで?! 「殿下!私、死にたくありません!」 ✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼ ※他サイトより転載した作品です。

婚約破棄で悪役令嬢を辞めたので、今日から素で生きます。

黒猫かの
恋愛
「エリー・オルブライト! 貴様との婚約を破棄する!」 豪華絢爛な夜会で、ウィルフレッド王子から突きつけられた非情な宣告。 しかし、公爵令嬢エリーの心境は……「よっしゃあ! やっと喋れるわ!!」だった。

転生ガチャで悪役令嬢になりました

みおな
恋愛
 前世で死んだと思ったら、乙女ゲームの中に転生してました。 なんていうのが、一般的だと思うのだけど。  気がついたら、神様の前に立っていました。 神様が言うには、転生先はガチャで決めるらしいです。  初めて聞きました、そんなこと。 で、なんで何度回しても、悪役令嬢としかでないんですか?

目覚めたら大好きなアニメの悪役令嬢でしたが、嫌われないようにしただけなのに全員から溺愛されています

月影みるく
恋愛
目を覚ましたら、大好きだったアニメの世界。 しかも私は、未来で断罪される運命の悪役令嬢になっていた。 破滅を回避するために決めたことはただ一つ―― 嫌われないように生きること。 原作知識を頼りに穏やかに過ごしていたはずなのに、 なぜか王族や騎士、同年代の男女から次々と好意を向けられ、 気づけば全員から溺愛される状況に……? 世界に一人しかいない光属性を持つ悪役令嬢が、 無自覚のまま運命と恋を変えていく、 溺愛必至の異世界転生ラブファンタジー。

処理中です...