魔力ゼロの悪役令嬢が 最強の魔女になれたのは、優しい魔王さまの嫁だから

恋月 みりん

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79章

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79章 罪と罰



カリナはえずきながら、気丈に司祭のインベルに対峙する。



「司祭さま…。」


カリナは涙を、浮かべて、訴える。



「どうして、こんな…事されたのですか…?」



そうして司祭に向かって呼びかける。


不思議なことに─。


カリナの悲痛な訴えが、司祭の様子に、なにがしかの変化を起こした。



「……っ…僕は…っ…!」



カリナの言葉を受けて、司祭インベルは頭を抱えて苦しむ。



「ゔっゔっ………。……僕は…一体っ…。」



「!!!」



その様子に、驚くカリナ。




「司祭…様……大丈夫…で…すか?」




カリナは心配そうに、司祭インベルの様子をうかがう。




「なーんて!!!…んな訳ねーだろ。」



一転、司祭は薄ら笑いを浮かべ、言い放った。



「こっちがなんだよ。ばぁーーーか!!」



司祭は、口調と人格が豹変する。



そして、あははと心底楽しそうだ。




「ホント、君がロザリオを受け取ってくれて、助かったよ。」




「アレはね。君達のアジトへ足取りをたどるための、

僕の痕跡つきの魔石だったんだ。」




「君の案内のおかげで、思ったより早くヤツの拠点を見つける事が出来たよ。」




カリナは、その事実にショックを受ける。




「ふふ……手強かったよ。ヤツひとりの時は、細心の注意を払って、痕跡を残さずに暮らしていたから」




「まあ、弟子なんて取るからこうなる。」




「下手なスケベ心が招いた罰だ。」




司祭は、カリナが打ちひしがれている様子を見て、こう言う。



「どうも、コイツのことを勘違いしているようだが…」



司祭は、魔導士を冷ややかに一瞥する。



「こいつは、僕と組んでハルトをはめ、悠久ゆうきゅうの時に封印したんだ。」



「こんなクズに、情けをかけてやる必要は無い。」


司祭は吐き捨てるように言う。



カリナはかまわず、師匠のそばに駆けつけると、司祭との間に立った。



そうして、瀕死の先生を庇い背中に隠すと、司祭インベルと対峙する。



「それでも、先生は、殺させません。」



「ふうん。……勇敢だね。」



「でも手が震えている。…怖い?」



『…なにか、考えなくちゃ。』



カリナは必死で考える。



「死ぬのは怖くないの?」



カリナは司祭から問われ、こう答えた。



「一回死んだので、その分慣れてます…」



その言葉に、司祭は思わず吹き出す。



「…ぷ。あはははっ。やっぱり君面白いね」



「僕の秘密のお城へ、連れて帰りたいな」



司祭はそう言いながら、カリナの髪に触れる。



「もし君が、僕のだけのものになるなら…」



そうして髪にキスすると、カリナの耳元で囁く。



「そうしたら、ツカサは見逃してあげるよ?」



『えっ…』



その提案に、心が揺れる。



そこへ魔導士が、話しに割って入る。



「カリナ、騙されるな。コイツも私同様のクズで、嘘つきだ」



カシウスの魔法詠唱が聞こえる。



「……転移魔法、デジョン、」



「…えっ?」



そう、言うが早いか、カリナは転移魔法の光りだけを残して消える。



魔導士カシウスが、高速詠術を使い、転移魔法でカリナを、逃したのだった。



『クソ…あまり遠くに飛ばせなかった…。』




「…彼女を転移魔法で逃したか。」



「ずいぶん、カッコいい事したな。」



司祭は言いながら、魔導士に詰め寄る。



「だが、魔力の無駄遣いをしている余裕があるのか?」



司祭の眼に、殺意がこもる。



「まあ、自分が転移しなかった事だけ褒めてやる。」



落ちた眼鏡が踏みつけられ、割れた破片がパチッと砕けた。



「もっとも、これだけ実力差があれば、逃げても無駄なのは分かっているだろうけど。」



眼前の司祭は、カシウスを見下ろす。



「ご褒美だ、苦しまずに死ね。」








※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

あとがき


「面白かった!」


「続きが気になる、読みたい!」


「今後どうなるの!!」


と思ったら


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