1 / 3
1. にゃんとそれはネコーーではない?
しおりを挟む
さて、難しい話は置いておいて、我々は犬と猫であった。
そして、犬国と猫国は大変な険悪関係であり、いつ戦端が開かれてもおかしくない状況にある。深刻な領土問題、食料の奪い合い、小競り合いの数々。膠着状態が続く中、北の犬国の幹部であるセナは普段の知能の高さをかなぐり捨てざるを得ないまでの驚きに立ち会っていた。
「今、なんて仰いましたっけ、カナエルさん」
セナは顔中に困惑を浮かべ、首を傾ける。動きに合わせて、美味しそうな小麦色の髪が揺れた。
犬国の最高幹部に手が届くくらいの社会的地位にいるセナの日々は多忙だ。
セナの本来の職務は、法整備であったり、警察イヌたちの取り纏めである。
しかし、セナは他の仕事も何故か多かった。
「イヌたちに知識と知能を!」を目的に、ネットワークを通じた教養番組の配信。
イヌ社会の制度啓蒙のためのメディアへの発信活動。
依頼があれば、セナは他の多くの番組にも顔を出している。
そんなセナの多忙の隙間を縫うように現れたカナエルは、いつも通りその顔によく読み取れない笑みを浮かべていた。
「もう一度言えばいいのかい?」
「……とりあえず、もう一回お願いします」
自身の小麦色の耳がぴくりと動いて、カナエルの言葉に集中する。
カナエルはいつもの風貌――紫色のローブに、同色の髪から見える、金色の目を面白そうに弧を描かせた。
「お前に預かってもらいたい奴がいるんだ」
「なるほど……聞き違いではないようで」
それは理解した。
セナの経済力があれば、イヌひとりくらい引き取ることは出来るだろう。家に不在の時も多いから、ずっと面倒を見ることは出来ないかもしれないが、それがカナエルの頼みであれば――カナエルは耳や尻尾を持たない存在で、イヌかネコかも分からない。
何の理由があるのか、どうやって犬国に入り込んでいるかは全く分からないが、たまにこうしてセナの前に現れる。
現れて、助言だか、暇つぶしだか、何かを行って帰っていく。その助言でセナが犬国の危機を事前に潰せた部分があるからこそ、カナエルの頼みには弱い。
「で、その相手が……」
「そう、こいつ」
カナエルが紫の外套をそっと翻した先、じっとこちらを見上げる姿がある。
黒い耳、黒い尻尾、警戒しているのかセナを見る目に感情の色はない。
その存在には、カナエルとは違い、耳はある、尻尾も。
だが。
「え、どう見ても……」
ネコじゃないですか。
口にしようとしたが、カナエルの笑みはそれを許さなかった。恐らくはイヌの天敵、ネコを連れてきたカナエルが笑みを深める。
「何か問題が?」
そう言われると単純に言い返せないのは何故だろう。セナはぐっと言葉に詰まった。
視線を向ければ、そのどう見てもネコに見える相手は、じっとセナを見つめているままだ。
その瞳孔がきゅっと眇められ、やがてカナエルの後ろに位置を変えていく。
「そんなに見ると警戒されるぞ」
カナエルの助言が笑い声と共に届いた。今にもシャーっと鳴きそうなその相手は、不思議なことに威嚇はしないようだ。
ただじっとセナを見上げているので、気圧されたように言葉が消えていってしまう。そして二人の様子を面白がって見ていたカナエルが、軽くセナの肩を叩いた。
「頼んだぞ」
声は最後、耳打ちくらいの音量となった。イヌの耳だからこそ拾えるくらいの、小さな呟き。
「……お前にしか頼めないんだ」
そうして彼は黒い渦を立ち上げて、次の瞬間にはその場から消えている。
残されたセナは隠れたいのだろうが、弱みを見せるのが嫌なのか、必死にその場に留まっているらしい。
その――恐らくは限りなくネコなのだが、ネコという確証を何からも得られていない今、「彼」と表するとして、彼に一歩だけ踏み出した。 じり、と下がった脚を認めて、小麦色の耳が勝手に落ちる。
お互い、耳や尻尾は感情を素直に表すもので、訓練をすれば動きを制御は出来ても今は無理だ。それくらい、セナも動揺している。
「あー……何だ、」
声を掛けようとして、言葉に惑う。限りなくネコに近い彼なのだから、敵として追い出せば良いだけだ。ひとつ連絡を入れるだけで彼は特務機関に連行されるだろう。特務機関に捕まれば、丁重に猫国に返されるか、はたまた違う目に遭うのかはセナも知ることはない。捕らえられた者は、姿を消したとも、最初から存在しなかったようになるとも、色々な説は噂にはある。
それでもニンゲンに捕まえられるよりはマシだとも聞いている。ニンゲンに捕まったイヌやネコは、姿を消したその先でどんな目に遭っているか、想像するだに恐ろしい。
目下の問題は、セナは犬国の幹部だということだ。幹部のマンションにネコがいたら――考えるだけで頭が痛い。
世論は厳しいだろう。いくらカナエルの頼みでも、セナの生活と権利で、彼を追い出せる権利はある。
(追い出す、か……?)
その時、目が合った。その目が大変、いけなかった。
負けないというように強気に押し返してくる強さと、その奥が不安そうに揺れている。それを認めてしまえば、心を冷徹にして家から追い出す、それだけのことを躊躇わせる。
相手がどう見てもセナより年上のネコ――もとい相手であれば、それも出来たのかもしれないが。
セナは彼を見て、躊躇い躊躇い、息を吐いた。
「夜も遅い。そこのソファーを勝手に使いなさい。毛布を取ってこよう」
自慢ではないがセナのマンションは広い。リビングに置いてあるふわっとしたソファーを指せば、戸惑ったように彼の視線が向けられた。その隙に一旦ここを離れ、自室から毛布を引っ張り出してくる。何となく肌触りが良さそうなものを引っ張り出してきた自分に軽く腹が立った。何故、ネコ――いや、彼に気を使っているのか、甚だ疑問である。
胸中を持て余してリビングへ戻ると、ソファーの上に彼は座っていた。お行儀よく鎮座していることから、もしかすれば育ちは良いのかもしれないと予測はつける。
「はい」
相手がネコの疑惑がある以上、無暗に近寄らない方が良いだろう。毛布をふわっと投げてやれば、一拍遅れて彼が受け取る。正確には受け取り損ね、全身をもふりと毛布で覆われた。
運動神経が、よくはない。
それでネコ――彼としてやっていけるのか、疑問が残る。
そのまま暫く見守っていると、毛布から脱出した彼は端を手にしてくしゃりと握りしめる。もふっとした肌触りが気に入ったのか、顔に薄く笑みを浮かべた。
「あー……」
見てはいけない表情を見た気がして唸れば、不思議そうな顔がこちらを見る。三角の黒い耳がセナの声を拾おうとぴこぴこ揺れた。
「詳しい話は明日するが」
押しに弱い自分ではなかったが、一度追い出せないと思ってしまえば、追い出せなかった。この行動がどれほどのリスクを抱えるのか分からないほど馬鹿ではないのに。視線を逸らして、呟く。
「名を何と言う?」
すぐに返事はなかった。暫く待ったが一向に帰ってこずに、訝しんで目を戻す。見えた黒い耳と、毛布から零れた黒い尻尾。大きなソファーの上で彼は既に丸くなっていた。
「え、寝たのか?」
今の瞬間に。嘘だろう、と零して見るものの、毛布は規則正しく上下している。それならばとソファーに近寄り、毛布の中に埋めた見えない顔を見つめた。良いものを食べていないのか、髪は少しだけ軋んでいる。
「……起きていないのか?」
だが、返事はなかった。仕方なく耳を軽く弄り、溜息をつく。触られた耳を嫌そうに振り払った彼は、毛布の中に逃げ込んだ。
――やっぱりネコじゃないか? 九割九分、ネコだろう。ネコでしかない。ネコは気まぐれと聞いたことがあるし、暖かいところが好きだ。最早彼ではなく、ネコと言ってもいいのではないか。
返答がないことに諦めて、自室へ帰るために歩き出す。時刻はすっかり夜更けで、色々あってセナも疲れていた。明日も朝から報道番組に出演だ。犬国大臣も来るらしいので答弁を考えなければならない。
そうして、リビングの扉に手を掛けた時、声は小さく届いた。
「……リオ」
初めて聞いた声は、眠たげでもあったが、緊張の色もあった。振り返ってもソファーの背に隠れて彼の姿は見えない。耳が僅かにピンと立っているだけだ。
セナは僅かに微笑った。
「リオ、か」
素直じゃないのは、彼だからか、ネコだからか。
「なら、リオ」
告げる自分はきっと複雑な笑みを浮かべている。
「――わんって鳴けるのか?」
お前がイヌというならば「わん」くらい言えるだろう。
返事はやはり無くて、代わりにリオの黒い尻尾が毛布から出て、たんっと床を叩いた。
――やっぱり言わないんじゃないか。
口に出す前に、ぱたりと扉は閉まった。
そして、犬国と猫国は大変な険悪関係であり、いつ戦端が開かれてもおかしくない状況にある。深刻な領土問題、食料の奪い合い、小競り合いの数々。膠着状態が続く中、北の犬国の幹部であるセナは普段の知能の高さをかなぐり捨てざるを得ないまでの驚きに立ち会っていた。
「今、なんて仰いましたっけ、カナエルさん」
セナは顔中に困惑を浮かべ、首を傾ける。動きに合わせて、美味しそうな小麦色の髪が揺れた。
犬国の最高幹部に手が届くくらいの社会的地位にいるセナの日々は多忙だ。
セナの本来の職務は、法整備であったり、警察イヌたちの取り纏めである。
しかし、セナは他の仕事も何故か多かった。
「イヌたちに知識と知能を!」を目的に、ネットワークを通じた教養番組の配信。
イヌ社会の制度啓蒙のためのメディアへの発信活動。
依頼があれば、セナは他の多くの番組にも顔を出している。
そんなセナの多忙の隙間を縫うように現れたカナエルは、いつも通りその顔によく読み取れない笑みを浮かべていた。
「もう一度言えばいいのかい?」
「……とりあえず、もう一回お願いします」
自身の小麦色の耳がぴくりと動いて、カナエルの言葉に集中する。
カナエルはいつもの風貌――紫色のローブに、同色の髪から見える、金色の目を面白そうに弧を描かせた。
「お前に預かってもらいたい奴がいるんだ」
「なるほど……聞き違いではないようで」
それは理解した。
セナの経済力があれば、イヌひとりくらい引き取ることは出来るだろう。家に不在の時も多いから、ずっと面倒を見ることは出来ないかもしれないが、それがカナエルの頼みであれば――カナエルは耳や尻尾を持たない存在で、イヌかネコかも分からない。
何の理由があるのか、どうやって犬国に入り込んでいるかは全く分からないが、たまにこうしてセナの前に現れる。
現れて、助言だか、暇つぶしだか、何かを行って帰っていく。その助言でセナが犬国の危機を事前に潰せた部分があるからこそ、カナエルの頼みには弱い。
「で、その相手が……」
「そう、こいつ」
カナエルが紫の外套をそっと翻した先、じっとこちらを見上げる姿がある。
黒い耳、黒い尻尾、警戒しているのかセナを見る目に感情の色はない。
その存在には、カナエルとは違い、耳はある、尻尾も。
だが。
「え、どう見ても……」
ネコじゃないですか。
口にしようとしたが、カナエルの笑みはそれを許さなかった。恐らくはイヌの天敵、ネコを連れてきたカナエルが笑みを深める。
「何か問題が?」
そう言われると単純に言い返せないのは何故だろう。セナはぐっと言葉に詰まった。
視線を向ければ、そのどう見てもネコに見える相手は、じっとセナを見つめているままだ。
その瞳孔がきゅっと眇められ、やがてカナエルの後ろに位置を変えていく。
「そんなに見ると警戒されるぞ」
カナエルの助言が笑い声と共に届いた。今にもシャーっと鳴きそうなその相手は、不思議なことに威嚇はしないようだ。
ただじっとセナを見上げているので、気圧されたように言葉が消えていってしまう。そして二人の様子を面白がって見ていたカナエルが、軽くセナの肩を叩いた。
「頼んだぞ」
声は最後、耳打ちくらいの音量となった。イヌの耳だからこそ拾えるくらいの、小さな呟き。
「……お前にしか頼めないんだ」
そうして彼は黒い渦を立ち上げて、次の瞬間にはその場から消えている。
残されたセナは隠れたいのだろうが、弱みを見せるのが嫌なのか、必死にその場に留まっているらしい。
その――恐らくは限りなくネコなのだが、ネコという確証を何からも得られていない今、「彼」と表するとして、彼に一歩だけ踏み出した。 じり、と下がった脚を認めて、小麦色の耳が勝手に落ちる。
お互い、耳や尻尾は感情を素直に表すもので、訓練をすれば動きを制御は出来ても今は無理だ。それくらい、セナも動揺している。
「あー……何だ、」
声を掛けようとして、言葉に惑う。限りなくネコに近い彼なのだから、敵として追い出せば良いだけだ。ひとつ連絡を入れるだけで彼は特務機関に連行されるだろう。特務機関に捕まれば、丁重に猫国に返されるか、はたまた違う目に遭うのかはセナも知ることはない。捕らえられた者は、姿を消したとも、最初から存在しなかったようになるとも、色々な説は噂にはある。
それでもニンゲンに捕まえられるよりはマシだとも聞いている。ニンゲンに捕まったイヌやネコは、姿を消したその先でどんな目に遭っているか、想像するだに恐ろしい。
目下の問題は、セナは犬国の幹部だということだ。幹部のマンションにネコがいたら――考えるだけで頭が痛い。
世論は厳しいだろう。いくらカナエルの頼みでも、セナの生活と権利で、彼を追い出せる権利はある。
(追い出す、か……?)
その時、目が合った。その目が大変、いけなかった。
負けないというように強気に押し返してくる強さと、その奥が不安そうに揺れている。それを認めてしまえば、心を冷徹にして家から追い出す、それだけのことを躊躇わせる。
相手がどう見てもセナより年上のネコ――もとい相手であれば、それも出来たのかもしれないが。
セナは彼を見て、躊躇い躊躇い、息を吐いた。
「夜も遅い。そこのソファーを勝手に使いなさい。毛布を取ってこよう」
自慢ではないがセナのマンションは広い。リビングに置いてあるふわっとしたソファーを指せば、戸惑ったように彼の視線が向けられた。その隙に一旦ここを離れ、自室から毛布を引っ張り出してくる。何となく肌触りが良さそうなものを引っ張り出してきた自分に軽く腹が立った。何故、ネコ――いや、彼に気を使っているのか、甚だ疑問である。
胸中を持て余してリビングへ戻ると、ソファーの上に彼は座っていた。お行儀よく鎮座していることから、もしかすれば育ちは良いのかもしれないと予測はつける。
「はい」
相手がネコの疑惑がある以上、無暗に近寄らない方が良いだろう。毛布をふわっと投げてやれば、一拍遅れて彼が受け取る。正確には受け取り損ね、全身をもふりと毛布で覆われた。
運動神経が、よくはない。
それでネコ――彼としてやっていけるのか、疑問が残る。
そのまま暫く見守っていると、毛布から脱出した彼は端を手にしてくしゃりと握りしめる。もふっとした肌触りが気に入ったのか、顔に薄く笑みを浮かべた。
「あー……」
見てはいけない表情を見た気がして唸れば、不思議そうな顔がこちらを見る。三角の黒い耳がセナの声を拾おうとぴこぴこ揺れた。
「詳しい話は明日するが」
押しに弱い自分ではなかったが、一度追い出せないと思ってしまえば、追い出せなかった。この行動がどれほどのリスクを抱えるのか分からないほど馬鹿ではないのに。視線を逸らして、呟く。
「名を何と言う?」
すぐに返事はなかった。暫く待ったが一向に帰ってこずに、訝しんで目を戻す。見えた黒い耳と、毛布から零れた黒い尻尾。大きなソファーの上で彼は既に丸くなっていた。
「え、寝たのか?」
今の瞬間に。嘘だろう、と零して見るものの、毛布は規則正しく上下している。それならばとソファーに近寄り、毛布の中に埋めた見えない顔を見つめた。良いものを食べていないのか、髪は少しだけ軋んでいる。
「……起きていないのか?」
だが、返事はなかった。仕方なく耳を軽く弄り、溜息をつく。触られた耳を嫌そうに振り払った彼は、毛布の中に逃げ込んだ。
――やっぱりネコじゃないか? 九割九分、ネコだろう。ネコでしかない。ネコは気まぐれと聞いたことがあるし、暖かいところが好きだ。最早彼ではなく、ネコと言ってもいいのではないか。
返答がないことに諦めて、自室へ帰るために歩き出す。時刻はすっかり夜更けで、色々あってセナも疲れていた。明日も朝から報道番組に出演だ。犬国大臣も来るらしいので答弁を考えなければならない。
そうして、リビングの扉に手を掛けた時、声は小さく届いた。
「……リオ」
初めて聞いた声は、眠たげでもあったが、緊張の色もあった。振り返ってもソファーの背に隠れて彼の姿は見えない。耳が僅かにピンと立っているだけだ。
セナは僅かに微笑った。
「リオ、か」
素直じゃないのは、彼だからか、ネコだからか。
「なら、リオ」
告げる自分はきっと複雑な笑みを浮かべている。
「――わんって鳴けるのか?」
お前がイヌというならば「わん」くらい言えるだろう。
返事はやはり無くて、代わりにリオの黒い尻尾が毛布から出て、たんっと床を叩いた。
――やっぱり言わないんじゃないか。
口に出す前に、ぱたりと扉は閉まった。
0
あなたにおすすめの小説
強制悪役劣等生、レベル99の超人達の激重愛に逃げられない
砂糖犬
BL
悪名高い乙女ゲームの悪役令息に生まれ変わった主人公。
自分の未来は自分で変えると強制力に抗う事に。
ただ平穏に暮らしたい、それだけだった。
とあるきっかけフラグのせいで、友情ルートは崩れ去っていく。
恋愛ルートを認めない弱々キャラにわからせ愛を仕掛ける攻略キャラクター達。
ヒロインは?悪役令嬢は?それどころではない。
落第が掛かっている大事な時に、主人公は及第点を取れるのか!?
最強の力を内に憑依する時、その力は目覚める。
12人の攻略キャラクター×強制力に苦しむ悪役劣等生
バイト先に元カレがいるんだが、どうすりゃいい?
cheeery
BL
サークルに一人暮らしと、完璧なキャンパスライフが始まった俺……広瀬 陽(ひろせ あき)
ひとつ問題があるとすれば金欠であるということだけ。
「そうだ、バイトをしよう!」
一人暮らしをしている近くのカフェでバイトをすることが決まり、初めてのバイトの日。
教育係として現れたのは……なんと高二の冬に俺を振った元カレ、三上 隼人(みかみ はやと)だった!
なんで元カレがここにいるんだよ!
俺の気持ちを弄んでフッた最低な元カレだったのに……。
「あんまり隙見せない方がいいよ。遠慮なくつけこむから」
「ねぇ、今どっちにドキドキしてる?」
なんか、俺……ずっと心臓が落ち着かねぇ!
もう一度期待したら、また傷つく?
あの時、俺たちが別れた本当の理由は──?
「そろそろ我慢の限界かも」
希少なΩだと隠して生きてきた薬師は、視察に来た冷徹なα騎士団長に一瞬で見抜かれ「お前は俺の番だ」と帝都に連れ去られてしまう
水凪しおん
BL
「君は、今日から俺のものだ」
辺境の村で薬師として静かに暮らす青年カイリ。彼には誰にも言えない秘密があった。それは希少なΩ(オメガ)でありながら、その性を偽りβ(ベータ)として生きていること。
ある日、村を訪れたのは『帝国の氷盾』と畏れられる冷徹な騎士団総長、リアム。彼は最上級のα(アルファ)であり、カイリが必死に隠してきたΩの資質をいとも簡単に見抜いてしまう。
「お前のその特異な力を、帝国のために使え」
強引に帝都へ連れ去られ、リアムの屋敷で“偽りの主従関係”を結ぶことになったカイリ。冷たい命令とは裏腹に、リアムが時折見せる不器用な優しさと孤独を秘めた瞳に、カイリの心は次第に揺らいでいく。
しかし、カイリの持つ特別なフェロモンは帝国の覇権を揺るがす甘美な毒。やがて二人は、宮廷を渦巻く巨大な陰謀に巻き込まれていく――。
運命の番(つがい)に抗う不遇のΩと、愛を知らない最強α騎士。
偽りの関係から始まる、甘く切ない身分差ファンタジー・ラブ!
鎖に繋がれた騎士は、敵国で皇帝の愛に囚われる
結衣可
BL
戦場で捕らえられた若き騎士エリアスは、牢に繋がれながらも誇りを折らず、帝国の皇帝オルフェンの瞳を惹きつける。
冷酷と畏怖で人を遠ざけてきた皇帝は、彼を望み、夜ごと逢瀬を重ねていく。
憎しみと抗いのはずが、いつしか芽生える心の揺らぎ。
誇り高き騎士が囚われたのは、冷徹な皇帝の愛。
鎖に繋がれた誇りと、独占欲に満ちた溺愛の行方は――。
何故よりにもよって恋愛ゲームの親友ルートに突入するのか
風
BL
平凡な学生だったはずの俺が転生したのは、恋愛ゲーム世界の“王子”という役割。
……けれど、攻略対象の女の子たちは次々に幸せを見つけて旅立ち、
気づけば残されたのは――幼馴染みであり、忠誠を誓った騎士アレスだけだった。
「僕は、あなたを守ると決めたのです」
いつも優しく、忠実で、完璧すぎるその親友。
けれど次第に、その視線が“友人”のそれではないことに気づき始め――?
身分差? 常識? そんなものは、もうどうでもいい。
“王子”である俺は、彼に恋をした。
だからこそ、全部受け止める。たとえ、世界がどう言おうとも。
これは転生者としての使命を終え、“ただの一人の少年”として生きると決めた王子と、
彼だけを見つめ続けた騎士の、
世界でいちばん優しくて、少しだけ不器用な、じれじれ純愛ファンタジー。
前世が教師だった少年は辺境で愛される
結衣可
BL
雪深い帝国北端の地で、傷つき行き倒れていた少年ミカを拾ったのは、寡黙な辺境伯ダリウスだった。妻を亡くし、幼い息子リアムと静かに暮らしていた彼は、ミカの知識と優しさに驚きつつも、次第にその穏やかな笑顔に心を癒されていく。
ミカは実は異世界からの転生者。前世の記憶を抱え、この世界でどう生きるべきか迷っていたが、リアムの教育係として過ごすうちに、“誰かに必要とされる”温もりを思い出していく。
雪の館で共に過ごす日々は、やがてお互いにとってかけがえのない時間となり、新しい日々へと続いていく――。
【第一部・完結】毒を飲んだマリス~冷徹なふりして溺愛したい皇帝陛下と毒親育ちの転生人質王子が恋をした~
蛮野晩
BL
マリスは前世で毒親育ちなうえに不遇の最期を迎えた。
転生したらヘデルマリア王国の第一王子だったが、祖国は帝国に侵略されてしまう。
戦火のなかで帝国の皇帝陛下ヴェルハルトに出会う。
マリスは人質として帝国に赴いたが、そこで皇帝の弟(エヴァン・八歳)の世話役をすることになった。
皇帝ヴェルハルトは噂どおりの冷徹な男でマリスは人質として不遇な扱いを受けたが、――――じつは皇帝ヴェルハルトは戦火で出会ったマリスにすでにひと目惚れしていた!
しかもマリスが帝国に来てくれて内心大喜びだった!
ほんとうは溺愛したいが、溺愛しすぎはかっこよくない……。苦悩する皇帝ヴェルハルト。
皇帝陛下のラブコメと人質王子のシリアスがぶつかりあう。ラブコメvsシリアスのハッピーエンドです。
給餌行為が求愛行動だってなんで誰も教えてくれなかったんだ!
永川さき
BL
魔術教師で平民のマテウス・アージェルは、元教え子で現同僚のアイザック・ウェルズリー子爵と毎日食堂で昼食をともにしている。
ただ、その食事風景は特殊なもので……。
元教え子のスパダリ魔術教師×未亡人で成人した子持ちのおっさん魔術教師
まー様企画の「おっさん受けBL企画」参加作品です。
他サイトにも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる