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僕が皇子?!

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いや、正直何を言っているのか分からない。

どういう事?
僕が皇子?!
この国の皇帝の弟?!

「困惑しているようですね。では順を追って説明いたしましょう。」

困惑しながらも、話に耳を傾ける。

「まず、7年前にこの国でクーデターが起きたのはご存知ですか?」

その言葉にコクリと頷く。

確か、その時の皇帝が欲まみれのダメな人で息子である第一皇子が主犯者でクーデターを起こしたんだったけ。

「そしてそのクーデターにより、貴方の隣にいる陛下が王座へと就きました。」

チラリと横を見ると、陛下はこちらを見て笑顔で微笑む。

「おい、陛下が笑ったぞ…」

騎士様がありえないという顔で陛下を見る。

「まぁそれは置いておいて…。陛下には弟君である、第二皇子がいらしたのはご存知ですか?」

「はい。」

「第二皇子は7年前、クーデターの際に行方が消え、それからずっと、今まで見つかっていません。」

7年前…僕が記憶をなくしたのと同じだ。

「そしてその皇子は、貴方と同じ銀髪碧眼でした。」

「えっ?」

「それだけではありません。貴方の名前はロイと言うんですよね?そして7年前、記憶を無くしたと聞きました。その名前は、誰かに付けられたのですか?」

「…いいえ。僕、記憶は失ってしまったんですけど、何故かこの名前だけは覚えていたんです。誰かにいつも呼ばれていたような感じで…」

「そうですか…。ちなみに行方不明の皇子、ロイスティア様の愛称もロイと言います」

僕と同じだ。

「他に、名前以外でも覚えていた事などはありませんか?」

質問され、うーんと悩む。
そしてあっと思い出す。

「あの、僕字が読めるんです。誰からも習った覚えないのに何故か…」

「ロイは、ずっと小さい頃から俺が字を教えていた。」

隣にいる陛下がそう言う。

「やはり、貴方は行方不明だった皇子、ロイスティア殿下で間違いないでしょう。なにより、銀髪碧眼なんてそうそういませんからね。」

その言葉に、陛下と騎士様が頷く。

未だに信じられなくて、俯いていると頭にポンっと手が乗せられる。
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