まにゅ恋

とら

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まにゅ恋53

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 遠目に間宮が女の子に囲まれてるのが見て取れた。
 ───文化祭当日。
 A組と二クラス合同で、A組の教室の方をお店にして、ドーナツと飲み物を出している。
 他校の生徒や家族連れも見えて、けっこうな賑わいがあった。
 ───そんな中、奇抜な格好をしてだが……。
 俺は自分の服を見下ろして沈黙する。
 濃紺の古風なデザインのメイド服だった。フリルがけっこう付いていて、衣装合わせと言われて着たときよりもスカート丈が短くなっていた。
 ムスッとして、なんか男子に囲まれて(間宮と違って)、よくわからないことをあれこれ言われながら、俺は突っ立っていた。
 パコッと急に後頭部を叩かれる。
「痛……っ、って何っ?」
「お前はもう少し愛想よくしろよ。客商売なんだから。サービス業向かないな」
 佐々木だった。
「いや、いいんだ。話せただけで良かったし」
「そうそう、今のままで充分だから」
 ずっと話しかけていた男子その一その二が佐々木に向かって言った。
 なんか、かばわれてる……?
 不本意な感じがして眉をひそめてると、佐々木が「すいません」とその一その二に謝った。
 さらに不本意だと思ってると、
「少し休むか?」
 と、佐々木が俺に言った。
「うん」と俺はうなずいた。
 休憩用のB組の教室に行くと、佐々木に紙袋と飲み物を渡される。
「ドーナツ。余りそうなの見繕ってきた」
「サンキュー」
 ありがたく受け取って、俺は椅子に腰掛けた。がさこそ袋を開けて中を見てると、
「悪かったな」
 と、佐々木が謝ってくる。
「こんな格好させたことか? それとも自分は生徒会の仕事優先して、こっちにあまり顔出さないことか?」
「だから悪かったって……。じゃなくてだな」
 俺の指摘に佐々木はうんざりした素振りを見せたが、すぐに否定して、
「間宮に女の子囲まれて、けっこうお前へこんでるだろ?」
 ………………………。
「へこんでなんかいない」
 ぶっきらぼうにつぶやく。
 へこんでるわけじゃない。───でも気になったのは本当だ。
「悪かったよ。そんなに気にするなんて思ってなくて」
 佐々木の言葉に、俺は押し黙った。
 気にしてるかな……。たぶんそうなんだろうとも思う。
 ウェイター風の衣装を着た間宮は、とても目を惹いて女子は放っておかないだろうとも思う。
 ───それが少し嫌だった。
(俺のなのに)
 変な独占欲が出てきた。
 それをごまかすように、ドーナツにかぶりつく。
 ───急に頭を叩かれた。
 子供に接するように、優しく。
「なんだよ?」
 ちょっと睨むと、佐々木は少し笑って、
「いや、キスとかした方がいいのかなとも思ったんだけど」
「……。なんだよそれ」
 不思議そうに見ると、佐々木はヒラヒラ手を振って、
「だな」
 と、変な返答がきた。そして続ける。
「間宮呼んでくるよ」
「いいのかよ。間宮稼ぎ頭だろ?」
 女の子に囲まれてるのに、と思ったが佐々木は苦笑して、
「いいよ。もう売り上げすごいから。お前も貢献してるし」
 じゃあ待ってろ、と言い残し佐々木が教室を出て行った。
「─────」
 なんだかな、と思いつつ、俺はドーナツの甘い食感と、なんだかんだ佐々木の物言いに慰められた───。
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