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まにゅ恋62
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───学校終わりに家に間宮を呼んで……、
後は寝るだけにまで用事を済ませた。そしてテーブルの向かい越しに改まって座って、俺は間宮に言った。
「あのさ、先に言っとくけど……」
「別れ話なんかしないよ」
「そうじゃなくて!」
なんか最近後ろ向きだな間宮、と思いながらツッコむ。
「別れ話なんか俺もしないよ」
だから、いい加減わかれよと思って続ける。
「ちゃんと……間宮に話したいんだよ。俺、間宮のこと、ちゃんと、その……好きだし……間宮以外好きにならないし、別れる気なんてさらさらないんだよ、俺」
間宮は俺をじっと見つめた。
俺も真っ直ぐ見返す。
だからわかれよと思う。
なにがそんなに不安なの?
「……でも」
間宮はつぶやくように言ってくる。
「真純はいつも誰かに手出されそうになってるし……」
「なってねーよ」
俺は半眼になった。
ものすごい誤解がある。
「藤井先輩とか……」
「だからあの人からかってるだけだよ」
ああ、もうと俺は続ける。
「間違ってもあの人のこと好きになることなんてないから安心しろよ」
あんな癖のある人誰が好きになるんだ。
「……でも」
「でもじゃないよ。本当にそうだから安心しろよ。それに……」
俺はまた言い淀んでから、
「お前のこと、ちゃんと好きだよ」
真っ直ぐ伝える。
わかれよと思う。
「……………」
間宮は正座して───俯いてから言葉を発する。
「佐々木に真純の可能性潰すようなことは言わない方がいいんじゃないって言われた……」
「佐々木?」
間宮の社会に出るな発言に、佐々木が注意したんだと少し意外に思いながら間宮を見た。
「俺……真純のためにならないんじゃないかって思って……俺じゃダメなんじゃないかって思って……他の人の方がいいんじゃないっかって……」
「俺自分のためになるような人間と付き合いたいわけじゃないよ」
俺はきっぱりと言った。
「お前がずっと俺のこと……その、好きでいてくれて……俺のこと考えてくれて……お前といるの心地好いから……俺もお前とずっと一緒にいたいんだよ」
説得するように言ったが、間宮はまだ俯いたままだ。
「……間宮がカッコいいところも好きだよ」
自分でも何言ってるんだと思いながら、ワタワタしたまま続ける。
「不安定で急に何言い出すんだと思うことも多少……いや、結構あるけど。そういうワケわかんないところもほっとけなくて好きだよ。───だいたい、お前も俺のどこが好きなの?」
「え?」
急に話の矛先が変わって間宮が顔を上げた。
「どこ?」
俺は畳み掛ける。
「……いや、その、」
間宮は急な振りに戸惑いながら、
「容姿とか、落語好きでワケわかんないところとか……」
「容姿ってなんだ? 外見なのか? ワケわかんないところってなんだ?」
「いや、真純だって俺のことワケわかんないって言ったじゃん」
間宮が慌てた。
「ワケわかんない同志さ……」
俺が続ける。
「一緒にただいるの、合うんじゃないの? 難しいこと考えないでさ」
「…………………」
間宮が俺をはた、と見た。
「よそ見なんてしないよ。間宮だけだよ。いい加減信じてよ」
「……………」
間宮が困ったように眉を下げた。
しばらくしてから───、
「うん」と間宮が頷く。
そっと俺に近づいて、間宮が俺を抱き締める。
「……ごめん」
耳元で間宮が謝る。
「……うん」
間宮の胸元に顔を埋めて俺が頷く。
───しょうがない。
毎日間宮を説得して生きて行こう───、となんとなく思った───。
後は寝るだけにまで用事を済ませた。そしてテーブルの向かい越しに改まって座って、俺は間宮に言った。
「あのさ、先に言っとくけど……」
「別れ話なんかしないよ」
「そうじゃなくて!」
なんか最近後ろ向きだな間宮、と思いながらツッコむ。
「別れ話なんか俺もしないよ」
だから、いい加減わかれよと思って続ける。
「ちゃんと……間宮に話したいんだよ。俺、間宮のこと、ちゃんと、その……好きだし……間宮以外好きにならないし、別れる気なんてさらさらないんだよ、俺」
間宮は俺をじっと見つめた。
俺も真っ直ぐ見返す。
だからわかれよと思う。
なにがそんなに不安なの?
「……でも」
間宮はつぶやくように言ってくる。
「真純はいつも誰かに手出されそうになってるし……」
「なってねーよ」
俺は半眼になった。
ものすごい誤解がある。
「藤井先輩とか……」
「だからあの人からかってるだけだよ」
ああ、もうと俺は続ける。
「間違ってもあの人のこと好きになることなんてないから安心しろよ」
あんな癖のある人誰が好きになるんだ。
「……でも」
「でもじゃないよ。本当にそうだから安心しろよ。それに……」
俺はまた言い淀んでから、
「お前のこと、ちゃんと好きだよ」
真っ直ぐ伝える。
わかれよと思う。
「……………」
間宮は正座して───俯いてから言葉を発する。
「佐々木に真純の可能性潰すようなことは言わない方がいいんじゃないって言われた……」
「佐々木?」
間宮の社会に出るな発言に、佐々木が注意したんだと少し意外に思いながら間宮を見た。
「俺……真純のためにならないんじゃないかって思って……俺じゃダメなんじゃないかって思って……他の人の方がいいんじゃないっかって……」
「俺自分のためになるような人間と付き合いたいわけじゃないよ」
俺はきっぱりと言った。
「お前がずっと俺のこと……その、好きでいてくれて……俺のこと考えてくれて……お前といるの心地好いから……俺もお前とずっと一緒にいたいんだよ」
説得するように言ったが、間宮はまだ俯いたままだ。
「……間宮がカッコいいところも好きだよ」
自分でも何言ってるんだと思いながら、ワタワタしたまま続ける。
「不安定で急に何言い出すんだと思うことも多少……いや、結構あるけど。そういうワケわかんないところもほっとけなくて好きだよ。───だいたい、お前も俺のどこが好きなの?」
「え?」
急に話の矛先が変わって間宮が顔を上げた。
「どこ?」
俺は畳み掛ける。
「……いや、その、」
間宮は急な振りに戸惑いながら、
「容姿とか、落語好きでワケわかんないところとか……」
「容姿ってなんだ? 外見なのか? ワケわかんないところってなんだ?」
「いや、真純だって俺のことワケわかんないって言ったじゃん」
間宮が慌てた。
「ワケわかんない同志さ……」
俺が続ける。
「一緒にただいるの、合うんじゃないの? 難しいこと考えないでさ」
「…………………」
間宮が俺をはた、と見た。
「よそ見なんてしないよ。間宮だけだよ。いい加減信じてよ」
「……………」
間宮が困ったように眉を下げた。
しばらくしてから───、
「うん」と間宮が頷く。
そっと俺に近づいて、間宮が俺を抱き締める。
「……ごめん」
耳元で間宮が謝る。
「……うん」
間宮の胸元に顔を埋めて俺が頷く。
───しょうがない。
毎日間宮を説得して生きて行こう───、となんとなく思った───。
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