これは世界の終わりを見届けるための戦線である。

Midnight

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第1章 ゾンビ滅殺軍入隊試験編

ゾンビがいる世界

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誰もが夢を見る。
自分が一番この世で強く、愛され、英雄であるという夢だ。
見たことあるはずだ。
夢ではない。
この少年は本物の英雄になる者だ。
「ああ、今日だ!!今日は俺がゾンビ滅殺軍に入隊する日だ!」
俺の名前は柊佑衣(ひいらぎ ゆうい)だ。
そんで俺は親友である紅庄屋(くれない しょうや)にこんな発言をしたのだ。
「ああ、今日だな。待ちくたびれたぜ!」
ここはデッドランド王国。現在世界はゾンビに支配されている。ここはゾンビが多く出現するゾンビ区域の真ん中に位置する王国だ。
ゾンビ滅殺軍。ゾンビから国民を守り、ゾンビの支配から解放するために作られた軍隊だ。
ゾンビが現れてから10年、ゾンビ滅殺軍が結成されてから9年が経つ。
でも現状は悪くなっていくだけ。
そんな状況を俺がどうにかしてやるだけだ。
「佑衣!!頑張ってくるのよ」
と言って母さんが俺に弁当を渡す。
「庄屋君も頑張って」
「はい!」
庄屋が元気いっぱいの返事をする。
俺らは15歳。
軍には最低15歳なければ入隊できない。
15歳になってからはじめての試験だ。
俺の父の話をしよう。
俺の父は俺が6歳の頃に死んだ。
父はゾンビ滅殺軍初代リーダーだ。
でも死んだ。
それは父が弱かったからだ!力が無かったからだ!だから俺が父を超える。
ゾンビを滅ぼす。
家から数キロ歩いて駅で汽車に乗り、20キロほど離れたデッドランド王国の首都、ポノールに向かう。
王国は横500キロ、縦600キロほどの大きな国だ。
俺が住んでいる都市は首都の隣だ。
汽車の中には若い人から大人まで乗っていた。
おそらく全員試験を受ける人だろう。
汽車一台分だけで10人ほどいる。
「なぁ庄屋、緊張してるか?」
と庄屋に聞く。
「全く!だって俺たち大人相手に戦ってきたし、勉強もめちゃくちゃしてきたじゃねぇか!」
俺らはなるべく1回で合格したいと思い、5年間修行をしてきた。
「そうだよな…きっと大丈夫だよな」
首都ポノールに到着した。
高い建物や飲食店が立ち並ぶなかにスタジアムのような建物を見つけた。
試験会場だ。
試験会場に入るとそこには5000を超える人がいた。
指摘された席に座ると前方にあるステージに男が立つ。
白く乱れた髪に白い髭。いかつい顔だ。
おそらく40歳くらいだろう。
ざわついていた会場が一瞬で凍りつく。
そしてその男が口を開く。
「やぁ諸君!君たちが試験者か??私の名は轟奏多(とどろき かなた)。ゴールドで、第8部隊隊長だ。」
ゾンビ滅殺軍はブラウン、シルバー、ゴールドに分けられる。ブラウンは主に新入りや下の存在。シルバーはまぁまぁ実力のあるもの、ゴールドはとても実力があり部隊の隊長をしているものだ。だからゴールドであるあの男はかなりすごい。なんせ約1万もの軍のうちたった10人しか存在しないからだ。
「俺が一次試験の試験監を担当する」
また会場がざわつく。
そう今まで一次や二次といった試験はなく実技だけを行なっていたはずで、試験監でゴールドの方が担当するなんてことはなかったからだ。
「一次試験!?どーゆーことですか??」
「一体どーゆーことだよ!」
会場全体にこのような声が飛び交う。
「黙れ!!」
と轟が叫ぶと会場が静まり返る。
「一次試験の内容を説明する!」
説明を続けるようだ。
「一次試験は筆記だ。今からは私語を一切禁止とする。不正行為を行なった者は殺す」
すると一番後列から声がする。
自分はまぁまぁ前列だから聞き取りにくいが、
「どーゆーことだよ!筆記なんて聞いてねぇし!しかも殺すって!意味ワカンねぇ」
という声だ。
すると轟が拳銃を構えて撃った。
銃音が試験会場に鳴り響く。
ステージから後列までは約100メートル。100メートル離れている男を拳銃で撃ち殺したのだ。
「喋るな、と言ったはずだ…殺すの意味がわからなかったか?こーゆーことだよ。不正行為、受験番号4986番!失格!いや…脱落だ」
思い出した!彼は《エイムの達人》と呼ばれている。
銃のエイムを極めたものだ。
いいぜぇ、おっさん!さっすがー!
会場全体が怯えている。これが軍のゴールドの称号を持つ者だ。
「説明を再開する、試験内容は戦場に出たときの行動の仕方とゾンビについてだ、試験時間は30分、それでは筆記をはじめろ」
波乱の予感だ。
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