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12.告白
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一方、ソラの告白に驚いて、声も出ない2人にソラは淡々と話を続ける。
「ブルー博士はロボット工学の権威でした。亡くなられた息子さんをモデルにしたロボットを作ろうと試行錯誤されておられたのですが、人工知能はこの発達した昨今でも小型化は難しかったのです」
そこで、議長がハッと気付く。
「まさか…! 船に人工知能を丸ごと乗っけたのか?!」
議長のその指摘にソラは頷く。
「その通りです。当初は人工衛星に大型コンピューターを載せ、小型ユニットとしての人型ロボットを動かすというのが、ブルー博士の当初の計画でした」
ソラの説明に議長が片眉をあげる。
「それを変更したんだな?」
ソラは頷いた。
「そうです。それは連邦軍のアテネ所属、トライア将軍の提案によってです」
ソラの口から出たトライア将軍の名に議長は口笛を吹く。
「おやおや。まった剣呑なやつのお名前がでてくるじゃないの」
ソラは悔しそうに唇を噛む。
「全くです。今となってはですが。なにしろ博士は学者によくあるタイプの研究一筋で世情に疎く、トライア将軍の噂を全く知らなかったそうです」
「噂?」
シイラが訝しげに聞き返す。すると議長がソラに変わってトライア将軍に関する様々な噂、ほとんど悪評のみであったが説明するとその内容にシイラは盛大に顔を顰めた。
「けったくそ悪いおっさんやな!」
シイラがそう嫌悪感も露にそう言うと、議長がうんうんと頷いている。
「全くもってその通りや。で? そのプロジェクトはどないなってもうたんや?」
議長に話の続きを促され、ソラは俯きながら話を続けた。
「連邦軍のトライア将軍の狙いは、船と人工知能が連携することによって、小型ながらも自分で判断して動ける高性能の兵器を作ることでした」
「銀河連合との戦いに備えてか?」
議長の疑問にソラは悲しげに眉をしかめて頭を振る。
「いいえ…トライア将軍がクーデターを起こすためでした」
「なんやて?!」
「うわぁお。なーんて大胆なおっさんや」
顔を真っ青にして驚くシイラと対照的に議長はおどけたように両手を広げた。
「ブルー博士はクーデター計画を知り、パワーアップを施され後は兵器としてのプログラムを入力する前の私を連れて逃げ出したのです…。ところが追っ手に追い付かれ…博士は…」
議長はそこまで聞くと、はぁとため息を吐いて椅子に深く沈み込む。
「どーりで地球連邦側もソラの事知らねぇはずだわ…」
「え? 地球連邦に問い合わせてたん?」
シイラが驚いて議長へと視線を向ける。
「ん? だってコイツの船エンジンの形状が連邦式っぽかったからな」
連邦と何かあったんやろなーとは思ってたけどよーと言う議長を見て、このおっさんどんなとこまでチェックしてんねんとシイラは驚いた。
「どーりでトライアの子飼が来る訳や…」
議長のその言葉にシイラとソラがハッと顔を上げる。議長は苦笑すると、今この会議堂内の病院施設に隔離してると話した。
「鎖骨と脇腹イワせとったから…」
そう議長が言うのと同時に電話が鳴った。
「なんや? …はい?」
『議長。大変です。キムさんが逃げ出さはりました』
カーロスが冷静に告げる内容に、三人は慌てた。
「おっ! お前! もっと慌てろや!」
『慌てて状況が変化するもんやったらしてます。とにかく、モイストさんが殴られて、キムさんはモイストさんのレーザー銃を奪って逃走中ですわ。幸い、モイストさんには大した怪我はあらしませんのですけど』
わっちゃ~と議長が額を押さえる。
「…堂内完全封鎖」
『とっくにしております』
「…そうかい」
『とにかく気ぃつけて下さい。多分、あなたのところへいくような気がします』
カーロスはそう言うと、電話を切る。議長はフンと鼻を鳴らすと顎に手を当てた。
「参ったな。とにかくシイラ、お前とソラはどっかに避難せんとな」
「そんなん…!」
「ええから。ソラを無事に外へ連れ出したってくれ。お前にしか頼めんやろ?」
シイラと議長は暫し見つめ合う。
「わかりました…」
「ん…」
「ほなソラさん行きましょ?」
そう言って、シイラがドアを開けた時だった。
「うわっ?!」
シイラが勢いよく何者かに引っ張り出される。ガタンと議長とソラが立ち上がると同時に、ドアの外からシイラを引っ張った人物が現れる。
「おっと。動かないでくれないか?」
「お前…」
議長が睨むと同時に、その人物、キムがシイラの首を絞めながら、薄く笑って議長に銃を向ける。
「こんな怪我ぐらいで動けなくなる程やわじゃないんでね…。俺の銃をとっとと返してもらおうか?」
そして、ソラへと視線を移して驚きに目を丸くした後、ニヤリと笑う。
「SK150じゃないか。ちょうどいい。俺と共に来い」
「…行けばシイラさんを解放しますか?」
「ばっ…!」
シイラが何かを言おうとするとキムがシイラの首を締め上げる。
「シイラさん!」
「おっと。動くなよ? お前が戦闘用に能力を上げているのは知っているからな…」
ソラは無表情になる。シイラは思わずキムの手に爪を立てた。
「った…?! 」
「ソラさんの能力はな! 戦闘用ちゃうわ! 働く為の能力や!」
「なんだと?!」
「物を作る為の力や!」
キムはカッとシイラの首をまた絞める。
「あぅっ…!」
「シイラ!」
「…生意気な事を言うなよ? こんな星の一つや二つ…トライア将軍が地球連邦軍を掌握すれば…!」
「すれば…なんやねんっ…!」
シイラは負けじとキムの手を掴みギリギリと、その力に抵抗する。思ったより力があるシイラにキムは焦った。
「このっ…もうすでに手は打ってあるんだ! 後は行動に移すだけだ! その為にSK150がいるんだよ!」
議長はその言葉を聞くと、すっと半眼になって問いかける。
「へぇ…いくらトライアの部隊といえども対地球連邦軍じゃ分は悪いだろ。ソラみたいなロボットの軍隊を作ったとしても無理やろ」
「ハッ…! これだから田舎星は!」
キムは心底バカにした顔になり、議長をあざ笑う。
「それに対しちゃ後でたっぷりと言い聞かしてやるが、その田舎星の議長でもわかるようなことがわからないアホはお前やろ」
「田舎星のお前なんかにはできない方法があるんだよ」
「例えば?」
「すでに地球連邦会議の議員数人には、事を起こした場合には、こちら側へ付くとの念書がとってあるからな。我々がクーデターを起こしたとしても反乱軍とはならないんだよ」
「……だとよ。シノワース」
『ほぅ…それは初耳だ』
「えっ?」
スピーカー越しに聞こえる声に議長以外の三人は驚いた。
「まいったね。ソラ用に使ってるはずだったのにな」
議長は苦笑しながら頭をかく。
『おかげでこっちは大いに助かったが』
「後でえぇもん送って来いよ?」
『残念だが、私の役職上、賄賂を送る事は地球連邦法によって禁止されている』
「へーへー…っつか、賄賂になるのか?」
こう物事を潤滑に進めるために必要なんとちゃうん?ていうかこの場合お礼になるんとちゃうん?と議長が首をひねっている。
『さぁ? しかし誤解されそうなことはしない、それが私の鉄則でね』
だが、スピーカー向こうの相手は、そんなことには一切かまわないようだ。
「お堅いことで。だけど今年のお中元ぐらいは寄越せや」
『考慮はしておくが期待はしないでほしい』
「あっそ」
議長が不満そうに肩を竦めると、キムがハッと我に返る。
「だっ、誰だっ?!」
キムの問いかけにスピーカーの相手は平静とした声で答えた。
『私は、地球連邦独立調査機関『ハデス』の責任者、シノワース=ジュピチェ長官だ』
「!!」
その組織名と役職に室内に衝撃が走る。
「な…なんで『ハデス』が…?」
キムのその疑問にシノワースが答える。
『その星の特性を忘れてもらっては困るな』
「特…性?」
『そうだ。その星には色んなモノが落ちてくると言う事をな』
シイラは、その意味に思い当たった。
「つまり、地球連邦も、銀河連合にもバラされたらまずいもんが色々とこの星には落ちたままなんやな?!」
「なっ?!」
キムはその言葉に驚愕が隠せない。
『その通りだ。中々に聡明なお嬢さんだな』
「俺の部下だからな」
相手には見えないのに、議長は何故かえっへんと胸を張った。
『あなたには過ぎる部下だな』
「なんでやねーん!」
議長の突っ込みもシノワースはあっさりと無視をする。
『大変申し訳ないが彼の身柄を拘束しておいて欲しい』
「おいおい。今ウチの子が人質にとられてんやけど…」
向こうには見えていないのに、議長思わず半眼でスピーカーを睨み付けてしまう。
『それはあなたがなんとかできるだろう。程良く生きたままでお願いする。では』
「って! こらぁっ! 待たんかいっ!」
議長が慌てた様子でさらに突っ込むがスピーカーはうんともすんとも言わなくなった。
「ったくよぅ…で? どうする?」
議長のその言葉にキムははっと我に返る。
「…逃げ切ってやるさ」
キムの顔からは笑みが消えさっていた。
「うっ…!」
「シイラさん!」
シイラの首をキリキリと締めながらキムはジリと動く。そしてふっと議長へと笑いかける。その笑みには狂気が含まれていた。
「ちょうどいい。お前を殺して、この星に眠る秘密も頂いていこう」
ところが議長はそんな狂気には全くお構いなしに肩を竦める。
「あのさー…お前なんでそんなに争いごとが好きなん?」
「なんだと?」
「あんな戦争バカのおっさんの元に居て何が楽しいねんな?」
議長の問いにキムは一層狂気の笑みを深めた。シイラはその笑みにゾッとする。
「戦争。結構じゃないか。強い者が生き残る…何が悪いんだ?」
「強くっても、野菜とか育てられへんやん。食いもんとかどうするねんな」
「何故そんなものを作らねばならん? ハッ! 馬鹿馬鹿しい! オートメーション化させればいい話だ!」
ところがシイラはその言葉を聞くなり、カッときてキムに思いっきり頭突きを食らわしていた。
「がっ!」
不意打ちに近い形で攻撃を食らったキムは思わず力を緩めそうになる。
「ふざけんやないで! あんた野菜を作るんがどんだけ大変か知らんくせにっ! 牛とか豚とかニワトリとか育てるのだって!」
シイラの言葉にキムはカッとなった。そんなことは十分知り尽くしている。
「?! うるさいっ! お前こそ! お前らこそ何も知らないくせにっ! 俺の中にズカズカと入ってくるなっ!」
キムはそう怒鳴るとなんとかシイラを押さえ込もうとする。だが、怪我のせいでいつも通りの力が出せない事や、怒りのために普段通りの判断能力が欠けている事もあり、しかもシイラもこの数日間、畑仕事でパワーアップしていた為に容易ではなかった。
「シイラ!」
この隙にと議長がキムへと駆け寄ろうとする。だがいくら判断能力が鈍っているとは言え、それを見逃すキムではなかった。
「このっ…!」
キムは議長に向かって銃を放つ。ヒュン!と音がしてレーザーが議長へと向かった。議長がすっ飛んで、ガタガタン!と机と椅子を巻き込んで倒れ込んだのが見える。途端、シイラは真っ青になった。
「?! 議…?!」
だが同時に、キムを議長が倒れ込んだ方向からレーザーが襲う。
「なっ…!」
キムは間一髪、なんとか避けたが体勢が崩れてしまった。当然、その隙をシイラが見逃すはずもなく、脇腹にエルボーを見事に突き入れる。骨折箇所へ更に渾身のエルボーを入れられた為にキムはぐはっと呻くとシイラを離し崩れ落ちた。シイラはそんなキムには目もくれず議長の元へと急いで駆け寄る。
「議長! 議長!」
真っ蒼な顔をして、シイラは議長を呼ぶ。だが、ふっと胸に目を遣り、目を見開く。
何故なら。
レーザーが当たり、焼け焦げたと思しき穴から覗く皮膚の色は、玉虫色にキラキラと輝いていたからだ。
「議…長…?」
シイラの呆然とした声をよそに、議長はゆっくりと起き上がる。ふっとんだ衝撃のせいなのか、コンタクトの取れたその瞳はトパーズ色で。瞳孔は…瞳孔は爬虫類のように縦長だった。ただ言葉もなく見つめてくる口を開けたまま呆然とするシイラを見ることもなく、議長はゆらりと立ち上がるとキムへと近付く。キムは痛みを堪え、なんとか顔を上げたが、近付いてくる議長を見るなりその様相にひっと声を上げた。
「てめー…痛いじゃねぇかよ…」
「ば…ばけもの…!」
キムのその怯えた声に議長の纏う雰囲気に一段と凄みが増す。
「なんだとぅ…? 言っておくけどな、いっくらレーザーを撥ねかすからっつっても痛ぇモンは痛ぇんだよ…」
ソラも呆然としながらその姿を見て呟く。
「…グラバルダ星…人…?」
ソラのその呟きに議長は、ニィィッと凄惨な笑みを返す。シイラとキムもはっと顔を強張らせて議長を見た。
「おう。そうともよ。俺ぁちょっくらキレちまったわ…」
議長はそう言うとキムを楽しそうに見た。それは猫が鼠をいたぶる表情にも似ており、さらに笑みを深くすると同時に、残忍な空気を辺りに遠慮なくまき散らして、ジリとキムへと近付いていく。
「お礼はしなきゃなんねぇだろ? あぁ?」
「ひっ…!」
キムのその怯えた声にシイラは、はっと我に返って議長の背中へと飛びついた。
「あかん!」
「シイラ?」
議長は不思議そうに背中に抱きついているシイラを見てくる。シイラは議長と視線を合わさず議長の肩に顔を埋めた。
「あかん! こんな奴殺したらあかん!」
「でもよ…」
「こんな哀れな奴殺したったら可哀想や!」
キムはその言葉に目を見開き顔を上げる。
「可哀想…だと…?」
シイラはしっかりとキムを見つめる。
「あぁ可哀想や! あんたの話やったら物を壊すことしか知らんのやろ! 物を作るんが、育てるんがどんだけ大変で、どんだけ楽しぃて、どんだけ喜びが伴うんか全然知らんのやろ!」
「なに…を? 何を言ってる?」
そんなことぐらい知っている!キムはそう反論しようとした。収穫する際に祖父がどれだけ楽しそうにしていたのかを知っている。だがシイラはキムの言葉を待たずにさらに追求する。
「戦争で勝つんは楽しいやろうさ! だけどな壊すだけなら誰でも出来るわっ! 一からものを作るって事がどんだけ大変かやってみたことあるんか?!」
「それぐらい知っている…! お前に言われなくても知っている…っ!」
キムは身のうちから絞り出すように叫ぶ。
「嘘付けっ! ほんならなんで壊そうとするんやっ! ものをその手で作ることを否定するんやっ!」
「おれはっ…!」
シイラに畳み掛けるように返され、キムは苦しそうに胸元をギュっと握りしめる。そんなキムにかまわずシイラは叫んだ。
「ホンマに知っていて物を壊すようなアホなんか、そんな可哀想でアホな奴殺したる余計に価値もないわっ! そんなん! …そんなん…後で議長が傷付くだけやんかぁ…」
「シイラ?」
段々と語尾が弱くなっていくのに議長が驚き、訝しげにシイラの名を呼ぶ。シイラはぎゅっと抱きついてるんだか、抱き締めてるのだか判らない状態で背中に張り付いたまま、グスッと鼻を鳴らして話を続けた。
「議長はな…毎日ウチに怒られたり、カーロスさんに冷静に突っ込み入れられてしょんぼりしてたり…あちこち呑気に視察に出かけては、村の仕事手伝ったり、呑んで騒いだりしてる議長やないとあかん…あかんのや…」
議長は暫く背中に張り付いたまま頭のてっぺんしか見えないシイラと、呆然とこちらを凝視するキムを暫く交互に見つめた後、はぁっとため息を吐く。
そして仕方がないというように議長は苦笑すると、抱きついているシイラの腕をポンポンと叩いてやる。
「シイラ…離れぇ?」
シイラは議長の肩に顔を押し付け無言のまま、ブンブンと頭を振った。
「こいつには手ぇ出さへんさかい…な?」
シイラはゆっくりと顔を上げて、コチラを覗き込んでいる議長を見つめた。いつも色々と色が変わる瞳だったが、そのトパーズの瞳の奥の色はさっきとは違い確かにいつもの、自分が知る議長だと確信出来るものへと変わってると、そう確信した途端にシイラは耐えきれずボロボロと大粒の涙を零し出す。
「?! ちょっ! 泣かんとってや~っ!」
慌てる議長の雰囲気も先ほどまでの得体の知れない、触れれば破滅を招くような不穏な雰囲気から、よく知るのほほんとした議長のものへと戻っていた。その安心感からシイラは更に大量の涙と嗚咽を零す。
「うぇっ…! うえぇぇっ! ぎちょ~!」
シイラは再度議長の肩に顔を押し付けて大声で泣きじゃくりだした。議長は苦笑したまま、今度は子供をあやすようにシイラの腕をポンポンと叩いている。
「あーもー、女の子やのにそないな怪獣みたいな泣き方するなよー」
からかうようにいう議長へシイラは泣きながら反論した。
「ぎちょっ…ぎちょうがっ! ぎちょーがわるいんやんかー! ウチはわるないわー!」
そう言って、さらにうわぁんと泣き声を上げるシイラに議長はがっくりと肩を落とす。
「へいへい。アタクシがわるぅございます」
そしてふと顔を上げると、まだ呆然としたままのソラへと視線を向けた。
「ソラさんよ、申し訳ないが、そこらへんに落ちてるはずのコンタクト探してくれへんかな。コレ『会議堂』で知ってるやつもいるんやけど、知らんやつも結構おるから」
議長はさすがにまずいっしょと苦笑する。
「あ、はい!」
議長に声をかけられたソラは、慌てて議長がふっ飛んだ先の辺りを探し、程なく見つけると議長へと手渡す。すまんなーといいながら議長は手早く装着し、そしてもう一度自分へと張り付いているシイラ見た。
先ほどまでは抱きついていた格好だが、今では完全に背中に乗りかかられた状態である。
「まったく…子泣き爺ぃもかくや…って感じやで」
そう言いながらやれやれと、だがどこか嬉しそうな笑みを浮かべる議長。
結局、シイラはカーロス達がやってくるまで議長に抱きついて、わんわん泣いていた。
「ブルー博士はロボット工学の権威でした。亡くなられた息子さんをモデルにしたロボットを作ろうと試行錯誤されておられたのですが、人工知能はこの発達した昨今でも小型化は難しかったのです」
そこで、議長がハッと気付く。
「まさか…! 船に人工知能を丸ごと乗っけたのか?!」
議長のその指摘にソラは頷く。
「その通りです。当初は人工衛星に大型コンピューターを載せ、小型ユニットとしての人型ロボットを動かすというのが、ブルー博士の当初の計画でした」
ソラの説明に議長が片眉をあげる。
「それを変更したんだな?」
ソラは頷いた。
「そうです。それは連邦軍のアテネ所属、トライア将軍の提案によってです」
ソラの口から出たトライア将軍の名に議長は口笛を吹く。
「おやおや。まった剣呑なやつのお名前がでてくるじゃないの」
ソラは悔しそうに唇を噛む。
「全くです。今となってはですが。なにしろ博士は学者によくあるタイプの研究一筋で世情に疎く、トライア将軍の噂を全く知らなかったそうです」
「噂?」
シイラが訝しげに聞き返す。すると議長がソラに変わってトライア将軍に関する様々な噂、ほとんど悪評のみであったが説明するとその内容にシイラは盛大に顔を顰めた。
「けったくそ悪いおっさんやな!」
シイラがそう嫌悪感も露にそう言うと、議長がうんうんと頷いている。
「全くもってその通りや。で? そのプロジェクトはどないなってもうたんや?」
議長に話の続きを促され、ソラは俯きながら話を続けた。
「連邦軍のトライア将軍の狙いは、船と人工知能が連携することによって、小型ながらも自分で判断して動ける高性能の兵器を作ることでした」
「銀河連合との戦いに備えてか?」
議長の疑問にソラは悲しげに眉をしかめて頭を振る。
「いいえ…トライア将軍がクーデターを起こすためでした」
「なんやて?!」
「うわぁお。なーんて大胆なおっさんや」
顔を真っ青にして驚くシイラと対照的に議長はおどけたように両手を広げた。
「ブルー博士はクーデター計画を知り、パワーアップを施され後は兵器としてのプログラムを入力する前の私を連れて逃げ出したのです…。ところが追っ手に追い付かれ…博士は…」
議長はそこまで聞くと、はぁとため息を吐いて椅子に深く沈み込む。
「どーりで地球連邦側もソラの事知らねぇはずだわ…」
「え? 地球連邦に問い合わせてたん?」
シイラが驚いて議長へと視線を向ける。
「ん? だってコイツの船エンジンの形状が連邦式っぽかったからな」
連邦と何かあったんやろなーとは思ってたけどよーと言う議長を見て、このおっさんどんなとこまでチェックしてんねんとシイラは驚いた。
「どーりでトライアの子飼が来る訳や…」
議長のその言葉にシイラとソラがハッと顔を上げる。議長は苦笑すると、今この会議堂内の病院施設に隔離してると話した。
「鎖骨と脇腹イワせとったから…」
そう議長が言うのと同時に電話が鳴った。
「なんや? …はい?」
『議長。大変です。キムさんが逃げ出さはりました』
カーロスが冷静に告げる内容に、三人は慌てた。
「おっ! お前! もっと慌てろや!」
『慌てて状況が変化するもんやったらしてます。とにかく、モイストさんが殴られて、キムさんはモイストさんのレーザー銃を奪って逃走中ですわ。幸い、モイストさんには大した怪我はあらしませんのですけど』
わっちゃ~と議長が額を押さえる。
「…堂内完全封鎖」
『とっくにしております』
「…そうかい」
『とにかく気ぃつけて下さい。多分、あなたのところへいくような気がします』
カーロスはそう言うと、電話を切る。議長はフンと鼻を鳴らすと顎に手を当てた。
「参ったな。とにかくシイラ、お前とソラはどっかに避難せんとな」
「そんなん…!」
「ええから。ソラを無事に外へ連れ出したってくれ。お前にしか頼めんやろ?」
シイラと議長は暫し見つめ合う。
「わかりました…」
「ん…」
「ほなソラさん行きましょ?」
そう言って、シイラがドアを開けた時だった。
「うわっ?!」
シイラが勢いよく何者かに引っ張り出される。ガタンと議長とソラが立ち上がると同時に、ドアの外からシイラを引っ張った人物が現れる。
「おっと。動かないでくれないか?」
「お前…」
議長が睨むと同時に、その人物、キムがシイラの首を絞めながら、薄く笑って議長に銃を向ける。
「こんな怪我ぐらいで動けなくなる程やわじゃないんでね…。俺の銃をとっとと返してもらおうか?」
そして、ソラへと視線を移して驚きに目を丸くした後、ニヤリと笑う。
「SK150じゃないか。ちょうどいい。俺と共に来い」
「…行けばシイラさんを解放しますか?」
「ばっ…!」
シイラが何かを言おうとするとキムがシイラの首を締め上げる。
「シイラさん!」
「おっと。動くなよ? お前が戦闘用に能力を上げているのは知っているからな…」
ソラは無表情になる。シイラは思わずキムの手に爪を立てた。
「った…?! 」
「ソラさんの能力はな! 戦闘用ちゃうわ! 働く為の能力や!」
「なんだと?!」
「物を作る為の力や!」
キムはカッとシイラの首をまた絞める。
「あぅっ…!」
「シイラ!」
「…生意気な事を言うなよ? こんな星の一つや二つ…トライア将軍が地球連邦軍を掌握すれば…!」
「すれば…なんやねんっ…!」
シイラは負けじとキムの手を掴みギリギリと、その力に抵抗する。思ったより力があるシイラにキムは焦った。
「このっ…もうすでに手は打ってあるんだ! 後は行動に移すだけだ! その為にSK150がいるんだよ!」
議長はその言葉を聞くと、すっと半眼になって問いかける。
「へぇ…いくらトライアの部隊といえども対地球連邦軍じゃ分は悪いだろ。ソラみたいなロボットの軍隊を作ったとしても無理やろ」
「ハッ…! これだから田舎星は!」
キムは心底バカにした顔になり、議長をあざ笑う。
「それに対しちゃ後でたっぷりと言い聞かしてやるが、その田舎星の議長でもわかるようなことがわからないアホはお前やろ」
「田舎星のお前なんかにはできない方法があるんだよ」
「例えば?」
「すでに地球連邦会議の議員数人には、事を起こした場合には、こちら側へ付くとの念書がとってあるからな。我々がクーデターを起こしたとしても反乱軍とはならないんだよ」
「……だとよ。シノワース」
『ほぅ…それは初耳だ』
「えっ?」
スピーカー越しに聞こえる声に議長以外の三人は驚いた。
「まいったね。ソラ用に使ってるはずだったのにな」
議長は苦笑しながら頭をかく。
『おかげでこっちは大いに助かったが』
「後でえぇもん送って来いよ?」
『残念だが、私の役職上、賄賂を送る事は地球連邦法によって禁止されている』
「へーへー…っつか、賄賂になるのか?」
こう物事を潤滑に進めるために必要なんとちゃうん?ていうかこの場合お礼になるんとちゃうん?と議長が首をひねっている。
『さぁ? しかし誤解されそうなことはしない、それが私の鉄則でね』
だが、スピーカー向こうの相手は、そんなことには一切かまわないようだ。
「お堅いことで。だけど今年のお中元ぐらいは寄越せや」
『考慮はしておくが期待はしないでほしい』
「あっそ」
議長が不満そうに肩を竦めると、キムがハッと我に返る。
「だっ、誰だっ?!」
キムの問いかけにスピーカーの相手は平静とした声で答えた。
『私は、地球連邦独立調査機関『ハデス』の責任者、シノワース=ジュピチェ長官だ』
「!!」
その組織名と役職に室内に衝撃が走る。
「な…なんで『ハデス』が…?」
キムのその疑問にシノワースが答える。
『その星の特性を忘れてもらっては困るな』
「特…性?」
『そうだ。その星には色んなモノが落ちてくると言う事をな』
シイラは、その意味に思い当たった。
「つまり、地球連邦も、銀河連合にもバラされたらまずいもんが色々とこの星には落ちたままなんやな?!」
「なっ?!」
キムはその言葉に驚愕が隠せない。
『その通りだ。中々に聡明なお嬢さんだな』
「俺の部下だからな」
相手には見えないのに、議長は何故かえっへんと胸を張った。
『あなたには過ぎる部下だな』
「なんでやねーん!」
議長の突っ込みもシノワースはあっさりと無視をする。
『大変申し訳ないが彼の身柄を拘束しておいて欲しい』
「おいおい。今ウチの子が人質にとられてんやけど…」
向こうには見えていないのに、議長思わず半眼でスピーカーを睨み付けてしまう。
『それはあなたがなんとかできるだろう。程良く生きたままでお願いする。では』
「って! こらぁっ! 待たんかいっ!」
議長が慌てた様子でさらに突っ込むがスピーカーはうんともすんとも言わなくなった。
「ったくよぅ…で? どうする?」
議長のその言葉にキムははっと我に返る。
「…逃げ切ってやるさ」
キムの顔からは笑みが消えさっていた。
「うっ…!」
「シイラさん!」
シイラの首をキリキリと締めながらキムはジリと動く。そしてふっと議長へと笑いかける。その笑みには狂気が含まれていた。
「ちょうどいい。お前を殺して、この星に眠る秘密も頂いていこう」
ところが議長はそんな狂気には全くお構いなしに肩を竦める。
「あのさー…お前なんでそんなに争いごとが好きなん?」
「なんだと?」
「あんな戦争バカのおっさんの元に居て何が楽しいねんな?」
議長の問いにキムは一層狂気の笑みを深めた。シイラはその笑みにゾッとする。
「戦争。結構じゃないか。強い者が生き残る…何が悪いんだ?」
「強くっても、野菜とか育てられへんやん。食いもんとかどうするねんな」
「何故そんなものを作らねばならん? ハッ! 馬鹿馬鹿しい! オートメーション化させればいい話だ!」
ところがシイラはその言葉を聞くなり、カッときてキムに思いっきり頭突きを食らわしていた。
「がっ!」
不意打ちに近い形で攻撃を食らったキムは思わず力を緩めそうになる。
「ふざけんやないで! あんた野菜を作るんがどんだけ大変か知らんくせにっ! 牛とか豚とかニワトリとか育てるのだって!」
シイラの言葉にキムはカッとなった。そんなことは十分知り尽くしている。
「?! うるさいっ! お前こそ! お前らこそ何も知らないくせにっ! 俺の中にズカズカと入ってくるなっ!」
キムはそう怒鳴るとなんとかシイラを押さえ込もうとする。だが、怪我のせいでいつも通りの力が出せない事や、怒りのために普段通りの判断能力が欠けている事もあり、しかもシイラもこの数日間、畑仕事でパワーアップしていた為に容易ではなかった。
「シイラ!」
この隙にと議長がキムへと駆け寄ろうとする。だがいくら判断能力が鈍っているとは言え、それを見逃すキムではなかった。
「このっ…!」
キムは議長に向かって銃を放つ。ヒュン!と音がしてレーザーが議長へと向かった。議長がすっ飛んで、ガタガタン!と机と椅子を巻き込んで倒れ込んだのが見える。途端、シイラは真っ青になった。
「?! 議…?!」
だが同時に、キムを議長が倒れ込んだ方向からレーザーが襲う。
「なっ…!」
キムは間一髪、なんとか避けたが体勢が崩れてしまった。当然、その隙をシイラが見逃すはずもなく、脇腹にエルボーを見事に突き入れる。骨折箇所へ更に渾身のエルボーを入れられた為にキムはぐはっと呻くとシイラを離し崩れ落ちた。シイラはそんなキムには目もくれず議長の元へと急いで駆け寄る。
「議長! 議長!」
真っ蒼な顔をして、シイラは議長を呼ぶ。だが、ふっと胸に目を遣り、目を見開く。
何故なら。
レーザーが当たり、焼け焦げたと思しき穴から覗く皮膚の色は、玉虫色にキラキラと輝いていたからだ。
「議…長…?」
シイラの呆然とした声をよそに、議長はゆっくりと起き上がる。ふっとんだ衝撃のせいなのか、コンタクトの取れたその瞳はトパーズ色で。瞳孔は…瞳孔は爬虫類のように縦長だった。ただ言葉もなく見つめてくる口を開けたまま呆然とするシイラを見ることもなく、議長はゆらりと立ち上がるとキムへと近付く。キムは痛みを堪え、なんとか顔を上げたが、近付いてくる議長を見るなりその様相にひっと声を上げた。
「てめー…痛いじゃねぇかよ…」
「ば…ばけもの…!」
キムのその怯えた声に議長の纏う雰囲気に一段と凄みが増す。
「なんだとぅ…? 言っておくけどな、いっくらレーザーを撥ねかすからっつっても痛ぇモンは痛ぇんだよ…」
ソラも呆然としながらその姿を見て呟く。
「…グラバルダ星…人…?」
ソラのその呟きに議長は、ニィィッと凄惨な笑みを返す。シイラとキムもはっと顔を強張らせて議長を見た。
「おう。そうともよ。俺ぁちょっくらキレちまったわ…」
議長はそう言うとキムを楽しそうに見た。それは猫が鼠をいたぶる表情にも似ており、さらに笑みを深くすると同時に、残忍な空気を辺りに遠慮なくまき散らして、ジリとキムへと近付いていく。
「お礼はしなきゃなんねぇだろ? あぁ?」
「ひっ…!」
キムのその怯えた声にシイラは、はっと我に返って議長の背中へと飛びついた。
「あかん!」
「シイラ?」
議長は不思議そうに背中に抱きついているシイラを見てくる。シイラは議長と視線を合わさず議長の肩に顔を埋めた。
「あかん! こんな奴殺したらあかん!」
「でもよ…」
「こんな哀れな奴殺したったら可哀想や!」
キムはその言葉に目を見開き顔を上げる。
「可哀想…だと…?」
シイラはしっかりとキムを見つめる。
「あぁ可哀想や! あんたの話やったら物を壊すことしか知らんのやろ! 物を作るんが、育てるんがどんだけ大変で、どんだけ楽しぃて、どんだけ喜びが伴うんか全然知らんのやろ!」
「なに…を? 何を言ってる?」
そんなことぐらい知っている!キムはそう反論しようとした。収穫する際に祖父がどれだけ楽しそうにしていたのかを知っている。だがシイラはキムの言葉を待たずにさらに追求する。
「戦争で勝つんは楽しいやろうさ! だけどな壊すだけなら誰でも出来るわっ! 一からものを作るって事がどんだけ大変かやってみたことあるんか?!」
「それぐらい知っている…! お前に言われなくても知っている…っ!」
キムは身のうちから絞り出すように叫ぶ。
「嘘付けっ! ほんならなんで壊そうとするんやっ! ものをその手で作ることを否定するんやっ!」
「おれはっ…!」
シイラに畳み掛けるように返され、キムは苦しそうに胸元をギュっと握りしめる。そんなキムにかまわずシイラは叫んだ。
「ホンマに知っていて物を壊すようなアホなんか、そんな可哀想でアホな奴殺したる余計に価値もないわっ! そんなん! …そんなん…後で議長が傷付くだけやんかぁ…」
「シイラ?」
段々と語尾が弱くなっていくのに議長が驚き、訝しげにシイラの名を呼ぶ。シイラはぎゅっと抱きついてるんだか、抱き締めてるのだか判らない状態で背中に張り付いたまま、グスッと鼻を鳴らして話を続けた。
「議長はな…毎日ウチに怒られたり、カーロスさんに冷静に突っ込み入れられてしょんぼりしてたり…あちこち呑気に視察に出かけては、村の仕事手伝ったり、呑んで騒いだりしてる議長やないとあかん…あかんのや…」
議長は暫く背中に張り付いたまま頭のてっぺんしか見えないシイラと、呆然とこちらを凝視するキムを暫く交互に見つめた後、はぁっとため息を吐く。
そして仕方がないというように議長は苦笑すると、抱きついているシイラの腕をポンポンと叩いてやる。
「シイラ…離れぇ?」
シイラは議長の肩に顔を押し付け無言のまま、ブンブンと頭を振った。
「こいつには手ぇ出さへんさかい…な?」
シイラはゆっくりと顔を上げて、コチラを覗き込んでいる議長を見つめた。いつも色々と色が変わる瞳だったが、そのトパーズの瞳の奥の色はさっきとは違い確かにいつもの、自分が知る議長だと確信出来るものへと変わってると、そう確信した途端にシイラは耐えきれずボロボロと大粒の涙を零し出す。
「?! ちょっ! 泣かんとってや~っ!」
慌てる議長の雰囲気も先ほどまでの得体の知れない、触れれば破滅を招くような不穏な雰囲気から、よく知るのほほんとした議長のものへと戻っていた。その安心感からシイラは更に大量の涙と嗚咽を零す。
「うぇっ…! うえぇぇっ! ぎちょ~!」
シイラは再度議長の肩に顔を押し付けて大声で泣きじゃくりだした。議長は苦笑したまま、今度は子供をあやすようにシイラの腕をポンポンと叩いている。
「あーもー、女の子やのにそないな怪獣みたいな泣き方するなよー」
からかうようにいう議長へシイラは泣きながら反論した。
「ぎちょっ…ぎちょうがっ! ぎちょーがわるいんやんかー! ウチはわるないわー!」
そう言って、さらにうわぁんと泣き声を上げるシイラに議長はがっくりと肩を落とす。
「へいへい。アタクシがわるぅございます」
そしてふと顔を上げると、まだ呆然としたままのソラへと視線を向けた。
「ソラさんよ、申し訳ないが、そこらへんに落ちてるはずのコンタクト探してくれへんかな。コレ『会議堂』で知ってるやつもいるんやけど、知らんやつも結構おるから」
議長はさすがにまずいっしょと苦笑する。
「あ、はい!」
議長に声をかけられたソラは、慌てて議長がふっ飛んだ先の辺りを探し、程なく見つけると議長へと手渡す。すまんなーといいながら議長は手早く装着し、そしてもう一度自分へと張り付いているシイラ見た。
先ほどまでは抱きついていた格好だが、今では完全に背中に乗りかかられた状態である。
「まったく…子泣き爺ぃもかくや…って感じやで」
そう言いながらやれやれと、だがどこか嬉しそうな笑みを浮かべる議長。
結局、シイラはカーロス達がやってくるまで議長に抱きついて、わんわん泣いていた。
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