17 / 22
子供扱いしないでよ2
しおりを挟む
リビングのドアを開けるとすき焼きの甘辛い匂いがふわっと鼻腔を刺激する。匂いのせいでお腹の虫も刺激されたようだ。ぐぅ~っと小さく腹の虫が鳴った。
「わぁ~いい匂い。お腹すいた! 優ちゃんありがとう」
凛子も優とは何もなかったかのように座布団の上に座りお箸を持った。
「いいんだよ。俺も肉が食べられて一石二鳥なんだから」
「ははっ、そっか。ならいいね。じゃあいただきまーす」
まずは生卵も何もつけずにお肉だけで。ふるふると脂がのった綺麗なお肉を口の中に凛子はダイブさせた。
「んぅぅ~、とろけるぅ~。優ちゃんも早く食べてみて。とろけるよ」
「あぁ。じゃあ頂こうかな。……うん、凛子の言う通りとろけるな」
「もう凛子ったら、優くんより先に食べて! ってことでかんぱーい」
プッシュっと開けた缶ビールのいい音に、グビグビプハーとビールのCMのような飲み方でご機嫌な母親は一口飲んだだけで頬を赤く染めている。
「もう。お母さんったらお酒弱いんだから程々にしなよ」
凛子は母親に注意しながらもお肉を食べることだけは止めない。美味しい、美味しいと三人で食べていたらあっという間にお肉も野菜もなくなってしまい、母親は満腹とお酒の力でいつの間にかテーブルに突っ伏しながら寝てしまっていた。
「だから程々にしなって言ったのに。お母さんったら。これなかなか起きないやつだよ絶対」
「だな。凛子ママ一回寝るとなかなか起きないもんな。寝室に運んであげよう。凛子も手伝って」
「あっ、うん」
手伝ってと言う割に優は軽々と母親を持ち上げ、お姫様抱っこで寝室まで運んだ。羨ましいなぁ、と思いつつ凛子が急いで敷いた布団の上に優は母親をそっとおろした。
「凛子、シーだよ」
優が人差し指を凛子の口元に当てる。ちょんと触れた指先にドクンと凛子の心臓が高鳴った。ほんの少し、自分に優が触れてくれることが嬉しい。けれど優は凛子の唇に自分の指が軽く触れたとしても何も気にしていない。今度はズキッと心臓が痛む。
「わかってるよ」
凛子は唇を尖らせながら小声で頷いた。
凛子と優は起きないとわかっていても抜き足忍び足で寝室から抜け出す。
「優ちゃん、ありがとう。お母さん重かったでしょう?」
リビングに戻り新しい麦茶をグラスに入れた凛子は座っている優の前にそっと麦茶を置いた。
「重くなかったよ。それを凛子ママが聞いたら絶対怒るぞ?」
「だ、だね。絶対秘密にして。じゃあ、優ちゃんタクシーで帰るよね? すぐに呼ぶよ」
凛子は座布団には座らず、立ったままスマホ画面でタクシーの番号を出した。いつも優が使っているタクシー会社の電話番号は凛子も登録済みだ。右人差し指でタップしようとしたが、パシンッと右腕を優に掴まれた。驚いて凛子は優を見ると、真剣な眼差しで優は凛子を見上げている。
「わぁ~いい匂い。お腹すいた! 優ちゃんありがとう」
凛子も優とは何もなかったかのように座布団の上に座りお箸を持った。
「いいんだよ。俺も肉が食べられて一石二鳥なんだから」
「ははっ、そっか。ならいいね。じゃあいただきまーす」
まずは生卵も何もつけずにお肉だけで。ふるふると脂がのった綺麗なお肉を口の中に凛子はダイブさせた。
「んぅぅ~、とろけるぅ~。優ちゃんも早く食べてみて。とろけるよ」
「あぁ。じゃあ頂こうかな。……うん、凛子の言う通りとろけるな」
「もう凛子ったら、優くんより先に食べて! ってことでかんぱーい」
プッシュっと開けた缶ビールのいい音に、グビグビプハーとビールのCMのような飲み方でご機嫌な母親は一口飲んだだけで頬を赤く染めている。
「もう。お母さんったらお酒弱いんだから程々にしなよ」
凛子は母親に注意しながらもお肉を食べることだけは止めない。美味しい、美味しいと三人で食べていたらあっという間にお肉も野菜もなくなってしまい、母親は満腹とお酒の力でいつの間にかテーブルに突っ伏しながら寝てしまっていた。
「だから程々にしなって言ったのに。お母さんったら。これなかなか起きないやつだよ絶対」
「だな。凛子ママ一回寝るとなかなか起きないもんな。寝室に運んであげよう。凛子も手伝って」
「あっ、うん」
手伝ってと言う割に優は軽々と母親を持ち上げ、お姫様抱っこで寝室まで運んだ。羨ましいなぁ、と思いつつ凛子が急いで敷いた布団の上に優は母親をそっとおろした。
「凛子、シーだよ」
優が人差し指を凛子の口元に当てる。ちょんと触れた指先にドクンと凛子の心臓が高鳴った。ほんの少し、自分に優が触れてくれることが嬉しい。けれど優は凛子の唇に自分の指が軽く触れたとしても何も気にしていない。今度はズキッと心臓が痛む。
「わかってるよ」
凛子は唇を尖らせながら小声で頷いた。
凛子と優は起きないとわかっていても抜き足忍び足で寝室から抜け出す。
「優ちゃん、ありがとう。お母さん重かったでしょう?」
リビングに戻り新しい麦茶をグラスに入れた凛子は座っている優の前にそっと麦茶を置いた。
「重くなかったよ。それを凛子ママが聞いたら絶対怒るぞ?」
「だ、だね。絶対秘密にして。じゃあ、優ちゃんタクシーで帰るよね? すぐに呼ぶよ」
凛子は座布団には座らず、立ったままスマホ画面でタクシーの番号を出した。いつも優が使っているタクシー会社の電話番号は凛子も登録済みだ。右人差し指でタップしようとしたが、パシンッと右腕を優に掴まれた。驚いて凛子は優を見ると、真剣な眼差しで優は凛子を見上げている。
13
あなたにおすすめの小説
氷の宰相補佐と押しつけられた厄災の花嫁
瑞原唯子
恋愛
王命により、アイザックはまだ十歳の少女を妻として娶ることになった。
彼女は生後まもなく始末されたはずの『厄災の姫』である。最近になって生存が判明したが、いまさら王家に迎え入れることも始末することもできない——悩んだ末、国王は序列一位のシェフィールド公爵家に押しつけたのだ。
嘘をつく唇に優しいキスを
松本ユミ
恋愛
いつだって私は本音を隠して嘘をつくーーー。
桜井麻里奈は優しい同期の新庄湊に恋をした。
だけど、湊には学生時代から付き合っている彼女がいることを知りショックを受ける。
麻里奈はこの恋心が叶わないなら自分の気持ちに嘘をつくからせめて同期として隣で笑い合うことだけは許してほしいと密かに思っていた。
そんなある日、湊が『結婚する』という話を聞いてしまい……。
遠回りな恋〜私の恋心を弄ぶ悪い男〜
小田恒子
恋愛
瀬川真冬は、高校時代の同級生である一ノ瀬玲央が好きだった。
でも玲央の彼女となる女の子は、いつだって真冬の友人で、真冬は選ばれない。
就活で内定を決めた本命の会社を蹴って、最終的には玲央の父が経営する会社へ就職をする。
そこには玲央がいる。
それなのに、私は玲央に選ばれない……
そんなある日、玲央の出張に付き合うことになり、二人の恋が動き出す。
瀬川真冬 25歳
一ノ瀬玲央 25歳
ベリーズカフェからの作品転載分を若干修正しております。
表紙は簡単表紙メーカーにて作成。
アルファポリス公開日 2024/10/21
作品の無断転載はご遠慮ください。
幸せの見つけ方〜幼馴染は御曹司〜
葉月 まい
恋愛
近すぎて遠い存在
一緒にいるのに 言えない言葉
すれ違い、通り過ぎる二人の想いは
いつか重なるのだろうか…
心に秘めた想いを
いつか伝えてもいいのだろうか…
遠回りする幼馴染二人の恋の行方は?
幼い頃からいつも一緒にいた
幼馴染の朱里と瑛。
瑛は自分の辛い境遇に巻き込むまいと、
朱里を遠ざけようとする。
そうとは知らず、朱里は寂しさを抱えて…
・*:.。. ♡ 登場人物 ♡.。.:*・
栗田 朱里(21歳)… 大学生
桐生 瑛(21歳)… 大学生
桐生ホールディングス 御曹司
隣の夫婦 ~離婚する、離婚しない、身近な夫婦の話
紫ゆかり
恋愛
オムニバス形式です。
理解し合って結婚したはずの梓、同級生との再会が思わぬことになる雅美、年下の夫のかつての妻に引け目を感じる千晴、昔の恋の後悔から前向きになれない志織。
大人の女性のストーリーです。
セイレーンの家
まへばらよし
恋愛
病気のせいで結婚を諦めていた桐島柊子は、叔母の紹介で建築士の松井卓朗とお見合いをすることになった。卓朗は柊子の憧れの人物であり、柊子は彼に会えると喜ぶも、緊張でお見合いは微妙な雰囲気で終えてしまう。一方で卓朗もまた柊子に惹かれていく。ぎこちなくも順調に交際を重ね、二人は見合いから半年後に結婚をする。しかし、お互いに抱えていた傷と葛藤のせいで、結婚生活は微妙にすれ違っていく。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる