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第七章(試験後、レオンと娼館、アントンと呪いについて、リーフ暗殺計画)
307 商業キルドとお店と
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(リーフ)
あげ玉はその間も全く起きる気配はなく、さてどうしたものか……と考えているのも束の間、レオンがスタスタとあげ玉に近づき、ガッ!!と首を掴むと、そのまま豪快に肩に担いだ。
その姿は、まるで黄色い袋を背負い込む黒いサンタクロースの様。
「さぁ、行きましょう」
何でもないようにそう言ったレオンを見て、続けて担がれてもグ~グ~と爆睡しているあげ玉を見る。
……まぁ、そのうち起きるだろう。
そう判断し、俺達は魔道具専門店がある【商業区域】へと向かった。
俺は<グリモアを楽しもう!>と書いてある、いわゆるパンフレットのようなものを眺めながら、グリモアという街の大体の構図を頭に入れていく。
今向かっているのはお店の殆どが集結している【商業区域】
俺達が泊まる予定の宿もこの区域にあるようだが、とにかく絶望するくらい広いため、予め見に行く魔道具店は1つに絞った方が良さそうだと考える。
前世の日本同様、お店と言ってもその大きさや品揃えは様々。
更に商売形態はこの世界では大きく分けると二つに分ける事ができる。
【建物型】と【露店型】である。
そもそもお店を出す!と決めたら、<商業ギルド>というものに登録しなければいけないのだが、その際、いくつかのルールが存在している。
まずは【建物型】
これはその名の通り、どっしりと大地に建てられた建物内で商品を売るわけだが、それに<商業ギルド>の厳しい審査がある。
その審査というのは主に商品の品質の事で、ある一定以上の効果や性能が認められなければ建物型の権利は取得できない。
更にその性能によってつけられる値段もきっちりと決まっていて、それ以上安くしたり高くしたりは、基本してはいけない様に決められているのだ。
ようはお値段は張るが、品質は完全保証、更にはその後のメンテナンスなどもきっちりいたしますよ~という、比較的お金に余裕があるお客さんをターゲットにした販売方法というわけだ。
それに対し【露店型】には厳しい審査はなし。
そのため商品の品質は保証されておらず、値段も店主が自由に決める事ができるため、損をするか得をするかはお客側の目利き能力次第。
俺のスキル<鑑定(改)>で商品の鑑定もできたら良かったのだが、試しにやってみたところ何一つ情報は出てきてくれなかった。
まぁ、実際この【おじさん】のスキルは全て俺の前世、<森田 大樹>だったころの経験から身についているもののようなので、子供達の作った泥団子を『宝石みた~い』などと言っていたレベルの俺に、目利き能力などあるわけない。
そのため、とりあえず初めは正攻法【建物型】のお店から行ってみようと、グリモアで一番大きくて人気のある【建物型】の魔道具専門店にいってみる事にしたのだ。
そうして、あげ玉を引きずっているせいで無駄に注目をあつめながらも、なんとかその目的地に到着した俺達。
見上げるように大きな【魔道具専門店】を、ほほ~ぅと完全お上りさん状態で眺めていると、流石はナンバーワン魔道具店、入り口の門の前にずらりといる従業員さんの1人がササッ~と直ぐに俺達の方へ近づいてきた。
「いらっしゃいませ。馬車もしくは契約モンスター様は、あちらにございます専用駐獣スペースへとお願いいたします。」
そう言ってサッ!と店の隣にある小さな牧場のようなスペースに向かい手を差し出す。
それを追ってそちらに視線を向けると、そこには馬車を引く馬や従魔契約をしているらしきモンスターたちがワラワラと集まっているのが見え、思わず感動してしまった。
ここならあげ玉も文句あるまい。
レオンには起こさぬよう隅にでも寝かせておいてあげてと頼もうとしたのだが、レオンは何のためらいもなくブンッ!!とあげ玉をそこに投げ捨て、スタンダード無表情!
勢いよく投げられたあげ玉は、バウンドしながら奥の方へと飛んでいき、最後はゴロゴロ転がって派手な音を立てて柵に激突。
そこでやっと止まる。
従業員さんや他のお客さんは絶句、牧場の中の動物達も動きを止め、俺も思わず口を閉ざす。
「さぁ、行きましょう。」
そしてなんでもない様子でその場を去ろうとするレオンの鼻を、俺はすかさずブニッと摘んだ。
「あげ玉になんて事するんだい!酷いじゃないか!」
そう叱咤したが、レオンはキョトンと心底不思議そうな顔をするのみ。
「??どうされました?」
「レオン、鳥さんに対してあんな乱暴を働いては駄目だ。きっと大怪我してるよ!あげ玉~!大丈夫かい?」
慌ててあげ玉に近づき、その怪我の具合を確かめたが……なんと無傷。
ピカピカイエローボディーのまま、それどころか凄く幸せそうな笑みまで浮かべて寝ている!
「…………。」
むにゃむにゃと黄色いクチバシを動かしながら、ぐ~ぐ~寝続けるあげ玉をジッと見下ろしていると、おどおどとした様子のレオンが近づいてきて、あげ玉の体をわしゃわしゃわしゃ!!とすごい勢いで撫でた。
そのせいでその羽の部分が黄色いブロッコリーの様にモアモアに……。
しかしレオンは、『ね?俺、優しくしたよ?』と言わんばかりにチラチラと俺を見てくる。
一応スキル<鑑定(改)>を使って確認したが、状態:<絶好調!>と書かれている事を確認し、改めてユニーク個体の強さを思い知らされた俺はニッコリ笑う。
「なんか大丈夫みた~い!」
レオンと従業員さんにそう伝えて、あげ玉をそのままにしてお店の中へと入っていった。
あげ玉はその間も全く起きる気配はなく、さてどうしたものか……と考えているのも束の間、レオンがスタスタとあげ玉に近づき、ガッ!!と首を掴むと、そのまま豪快に肩に担いだ。
その姿は、まるで黄色い袋を背負い込む黒いサンタクロースの様。
「さぁ、行きましょう」
何でもないようにそう言ったレオンを見て、続けて担がれてもグ~グ~と爆睡しているあげ玉を見る。
……まぁ、そのうち起きるだろう。
そう判断し、俺達は魔道具専門店がある【商業区域】へと向かった。
俺は<グリモアを楽しもう!>と書いてある、いわゆるパンフレットのようなものを眺めながら、グリモアという街の大体の構図を頭に入れていく。
今向かっているのはお店の殆どが集結している【商業区域】
俺達が泊まる予定の宿もこの区域にあるようだが、とにかく絶望するくらい広いため、予め見に行く魔道具店は1つに絞った方が良さそうだと考える。
前世の日本同様、お店と言ってもその大きさや品揃えは様々。
更に商売形態はこの世界では大きく分けると二つに分ける事ができる。
【建物型】と【露店型】である。
そもそもお店を出す!と決めたら、<商業ギルド>というものに登録しなければいけないのだが、その際、いくつかのルールが存在している。
まずは【建物型】
これはその名の通り、どっしりと大地に建てられた建物内で商品を売るわけだが、それに<商業ギルド>の厳しい審査がある。
その審査というのは主に商品の品質の事で、ある一定以上の効果や性能が認められなければ建物型の権利は取得できない。
更にその性能によってつけられる値段もきっちりと決まっていて、それ以上安くしたり高くしたりは、基本してはいけない様に決められているのだ。
ようはお値段は張るが、品質は完全保証、更にはその後のメンテナンスなどもきっちりいたしますよ~という、比較的お金に余裕があるお客さんをターゲットにした販売方法というわけだ。
それに対し【露店型】には厳しい審査はなし。
そのため商品の品質は保証されておらず、値段も店主が自由に決める事ができるため、損をするか得をするかはお客側の目利き能力次第。
俺のスキル<鑑定(改)>で商品の鑑定もできたら良かったのだが、試しにやってみたところ何一つ情報は出てきてくれなかった。
まぁ、実際この【おじさん】のスキルは全て俺の前世、<森田 大樹>だったころの経験から身についているもののようなので、子供達の作った泥団子を『宝石みた~い』などと言っていたレベルの俺に、目利き能力などあるわけない。
そのため、とりあえず初めは正攻法【建物型】のお店から行ってみようと、グリモアで一番大きくて人気のある【建物型】の魔道具専門店にいってみる事にしたのだ。
そうして、あげ玉を引きずっているせいで無駄に注目をあつめながらも、なんとかその目的地に到着した俺達。
見上げるように大きな【魔道具専門店】を、ほほ~ぅと完全お上りさん状態で眺めていると、流石はナンバーワン魔道具店、入り口の門の前にずらりといる従業員さんの1人がササッ~と直ぐに俺達の方へ近づいてきた。
「いらっしゃいませ。馬車もしくは契約モンスター様は、あちらにございます専用駐獣スペースへとお願いいたします。」
そう言ってサッ!と店の隣にある小さな牧場のようなスペースに向かい手を差し出す。
それを追ってそちらに視線を向けると、そこには馬車を引く馬や従魔契約をしているらしきモンスターたちがワラワラと集まっているのが見え、思わず感動してしまった。
ここならあげ玉も文句あるまい。
レオンには起こさぬよう隅にでも寝かせておいてあげてと頼もうとしたのだが、レオンは何のためらいもなくブンッ!!とあげ玉をそこに投げ捨て、スタンダード無表情!
勢いよく投げられたあげ玉は、バウンドしながら奥の方へと飛んでいき、最後はゴロゴロ転がって派手な音を立てて柵に激突。
そこでやっと止まる。
従業員さんや他のお客さんは絶句、牧場の中の動物達も動きを止め、俺も思わず口を閉ざす。
「さぁ、行きましょう。」
そしてなんでもない様子でその場を去ろうとするレオンの鼻を、俺はすかさずブニッと摘んだ。
「あげ玉になんて事するんだい!酷いじゃないか!」
そう叱咤したが、レオンはキョトンと心底不思議そうな顔をするのみ。
「??どうされました?」
「レオン、鳥さんに対してあんな乱暴を働いては駄目だ。きっと大怪我してるよ!あげ玉~!大丈夫かい?」
慌ててあげ玉に近づき、その怪我の具合を確かめたが……なんと無傷。
ピカピカイエローボディーのまま、それどころか凄く幸せそうな笑みまで浮かべて寝ている!
「…………。」
むにゃむにゃと黄色いクチバシを動かしながら、ぐ~ぐ~寝続けるあげ玉をジッと見下ろしていると、おどおどとした様子のレオンが近づいてきて、あげ玉の体をわしゃわしゃわしゃ!!とすごい勢いで撫でた。
そのせいでその羽の部分が黄色いブロッコリーの様にモアモアに……。
しかしレオンは、『ね?俺、優しくしたよ?』と言わんばかりにチラチラと俺を見てくる。
一応スキル<鑑定(改)>を使って確認したが、状態:<絶好調!>と書かれている事を確認し、改めてユニーク個体の強さを思い知らされた俺はニッコリ笑う。
「なんか大丈夫みた~い!」
レオンと従業員さんにそう伝えて、あげ玉をそのままにしてお店の中へと入っていった。
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