【第一部完結】天寿を全うした俺は呪われた英雄のため悪役に転生します

バナナ男さん

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第十三章

507 アピールしよう

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( リーフ )

世の中にはねぇ~?

愛情もかけず、お金も掛けず、親としての責任を一切果たさないのに捨てた子供をねぇ~?

自分が老いてきて不安になったり寂しくなったり、お金が稼げる様になった途端に連絡してくる最低な親がわんさかいるんだよ。


感動する気持ちは見事に吹き飛び、そんな非道な事を平然としようとする畜生共の事を思いだしてギリッ……!と唇を噛み締めた。

そしてそんなクソみたいな奴らとの戦いの日々を思い出し、どす黒い殺意がグワッ!と湧く。


俺がどんだけそんな愚者達と、終わらぬ戦いをしてきた事か……。

ぶつけてやる塩のストックが、常に足りないほどだ!


許さん!許さん!

こみ上げる怒りの記憶にカッカしていると、背中にくっつくレオンがピクッと動いたので、おっと!いけないいけない、と直ぐにレオンをあやす様に、ユ~ラユラしてあげる。

すると、安心したのかレオンの体重は、さらに俺にのしかかってきてホッと胸を撫で下ろした。


危うくレオンを怖がらせてしまう所だった……。


ヤレヤレと汗を掻きながら、レオンの重たい身体を抱え直すと、今度はその重みに喜びを感じた。


今ではこ~んなにも大きく育ったレオン。

しかし、初めて出会った時は風が吹けば飛んでしまうと心配になる程、小さくてガリガリだった。

そんなモヤシの赤ちゃんの様だったレオンを思い出し、思わず、鼻の奥がツンッ……!と痛む。


こうしてレオンが無事に大きくなったのも、何不自由無い暮らしをさせてあげれるのも、リーフパパさんとママさんがお金を出してくれているお陰。

多分このままいけば成人を迎える15歳には、ばっさり籍を抜かれてしまうだろうが、十分な事をしてくれたよ、彼らは。


リーフの両親への感謝とレオンの成長の記憶を思い出し、ほっこり&ニコニコする俺を見て、ジェニファーちゃん達はソワソワと落ち着きがない動きを見せてきた。

しかし、考えに没頭している俺はそれに気づかず、更に続けてハッ!と思うのは、レオンとの最終対決の事だ。


俺、高学院入学前に籍ぬかれたら平民じゃ……?

高学院って貴族しか入れないなら……えっ、入れなくない?!


考えていなかった可能性に今度はアワアワと焦りだすと、ジェニファーちゃん達がビクビク、ソワソワしていることにやっと気づき、そこで会話中だった事を思い出した。


そうだった、そうだった。

俺、会話中会話中。


妄想の世界にうっかり迷い混んでいた事を心の中で謝罪し、直ぐに頭を切り替えて話を続けた。


「 そうなんだよ。俺全然似てないんだ!

シャルロッテさんには会った事ないんだけど、きっと美人さんなんだろうね~。

きっとモテすぎてお父さんはとっても心配してるんじゃないのかい? 」


「 えっ?……そ、そうかも……しれないですわね……。

なんといってもメルンブルク家の方々の美しさときたら別格ですので!

シャルロッテ様は勿論、ご家族全員が毎日開かれるお茶会やパーティーでは常に一番の注目の的ですわ。

ご家族で仲がよろしい事でも有名で、毎回家族総出で参加されてますね。

なんでも皆様、ご家族揃ってのお茶の時間が何よりの楽しみだそうで……。 」


「 ほほぅ!それはとても良いことだね!

家族仲は良いに越したことがないよ。

肉巻きパンと一緒だね。

お肉が多ければ多いほどジューシーで美味しい! 」


レガーノの馴染のパン屋さんで肉巻きパンを買うと、店長がサービスでさりげなく一枚多めに巻いてくれる。

俺とレオンはその一枚によって、よりジューシーになった肉巻きパンを食べて日々幸せを感じていた。

ウマウマ~と肉巻きパンの味を思い出し、口の中が唾液で凄い事に……。


赤ちゃんの様にヨダレが垂れない様、細心の注意をしていたためジェニファーちゃんのセンスがミシッ……と音を立てた事に気づけない。

ジェニファーちゃんはオホホホ……と控えめな笑い声をあげ、そのまま話を続けた。


「 そうですわね。

家族仲が良いことはとても素晴らしい事だと思います。

────ところで、リーフ様は現在お一人でお住まいなのだとお聞きしましたが……さぞ、良いところなのでしょうね。

ご家族と離れて暮らす事を選択するほどには。 」


ジェニファーちゃんはそう言って、やや後ろに控えるクラーク君とチラッと目線を合わせて、クスクスと忍び笑いをし始める。


それを聞いて、俺はと言えば────────……。

思いがけない故郷についての質問に、ホワホワ~とつい最近まで暮らしていたその故郷についての事を思い出していた。


俺が暮らしている街、レガーノ。


我が故郷だという事を除いても、物凄くいい街であると俺は思っている。


田舎特有の大自然の中のびのびとした生活ができるし、娯楽類は一切ないがモルト家所有のバラ園やニール家所有の牛と豚さんの牧場や養鶏場などは、物凄く広いしご立派で、観光名所と胸を張って言える様な場所である。

バラ茶や花蜜の試食は、飲み放題。

牧場では牛乳をつかったバターやチーズ作りに、牛の乳搾りなどを体験することだってできる。

治安も凄く良いし、生涯住みたい街NO、1に輝いてもおかしくはない!と俺は思っているのだが……いかんせん街の人達に欲がないもんだから、知名度が低く観光客も全く来ない。


ここは地元アピールをするいい機会では?


そう思った俺は早速レガーノについての魅力を語りだす。


「 そうなんだよ!物凄く良いところなんだ!レガーノは。

モルトのバラ園は綺麗だし、その場でとったバラでバラ茶も飲めるよ!

それにニールの牧場では沢山乳製品が作られていてね、凄く美味しいんだ。


ジェニファーちゃん、牛乳好き?俺、大好き!


頼めば牛のお乳絞りもさせてもらえるから是非体験してみるといいよ。

搾りたての牛乳美味しいよ! 」


怒涛の如く語られるレガーノの魅力を聞き、ジェニファーちゃんはシーン……と押し黙ってしまった。

ちょっと推し過ぎたかな~?

少し気になったが、後ろにもたれかかっているレオンに「 ね~? 」と同意を求めれば、レオンは力なく両手を前に出し、スッ……スッ……と牛の乳搾りの技を披露してくれる。


それを見て、ジェニファーちゃんは完全に沈黙してしまった。


その様子が心配になって ” 牛乳嫌いだった? ” と質問しようとしたが……ズイッと前に出てきたのは、今まで黙って控えていたクラーク君だ。

唯の日常会話にも関わらず、何故か鬼気迫るご様子で……しかし、クラーク君はそれを隠す様にニッコリと穏やかな笑みを浮かべて話し出した。

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