724 / 1,649
第二十章
708 楽しみな事
しおりを挟む
(アゼリア)
「思う事かい?う~ん……そうだねぇ~?
まぁ、一番は感謝だね!彼らは本当によくしてくれてるよ。お陰でレオンもこんなに大きくなったし……。
────あ、そういえば俺、その人達に会った事ないんだけど、アゼリアちゃんは会った事ある?」
「えっ??……は、はい。何度かお会いした事はあります。」
「そっかそっか~。────で、大丈夫そうな様子だった?
こう……ちょっと精神的に不味そうな感じとかありそうだったかな?
とりあえず家族仲は良いってジェニファーちゃんが言ってたから、安心していたんだけど……。
ほらっ、あらぬ誤解で周りに酷い事言われているんじゃないかって、ちょっと心配はしているんだ。」
心配、しんぱ~い!と言わんばかりに困った顔で首を振るリーフ様に、目が点に。
逆に心配している……。
会話の主旨を見失いそうになったが、頭をフル回転して再度質問を投げかけた。
「あ、あの!リーフ様は何故そんなに強く心を持っていられるのでしょうか?
私は……ずっと不義の子である自分を責めてきました。
母は私を身ごもったせいで身一つで追い出されて……そして生活に困り、私をレイモンド家に預けました。
その時交わされた契約により、私がレイモンド家に籍を置いている限り、二度と母には会えません。
私は家族が欲しかった。
だから今でもどうすれば良かったのかと思ってます。
リーフ様は……私はどうすれば良かったと思いますか?」
一度堰を切ったように話しだしたら止まらなくなってしまい、怒涛の如く喋ってしまった。
そして、自分の胸につかえていた事を全て吐き出すと我に返り、恥ずかしくて下を向く。
シン……。
静まり帰ってしまった教会に、自分の鼓動の音だけが響いたが、やがてストンっ……とリーフ様が床に着地した音が聞こえた。
直ぐに視線を上げると、リーフ様は笑顔で大きく頷いた。
「よしっ!分かった!!そいつら全員ぶっ飛ばそう!!」
「は……はい???」
ポカンとする私、ソフィア様、ヨセフ司教の眼の前でリーフ様は腰に差した剣の状態を念入りにチェック。
そして「行くぞ!レオン!!」と行って走り出そうとするので、慌てて三人掛かりで羽交い締めにして止める。
「リ、リーフ様!!落ち着いて下さい!!」
ズルズルと引きづられながら私が叫ぶと、同じく引きずられているソフィア様とヨセフ司教も叫ぶ。
「如何に公爵家と言えども大問題になります!どうか落ち着いて下さい!もっと分かりにくいやり方で復讐してやりましょう!」
「そ、そうですよ!!やるならもっとバレない様に!そしてチクチクと追い詰めましょうよ~。
っていうかリーフ君、結構血の気が多いんですね!そういうの好き!!」
リーフ様にくっつき騒ぐ私達を、ムッ!!と見下ろすレオンが非常に怖かったが、それどころではない私達は頑張った。
そしてその甲斐あってか、リーフ様はやっと止まってくれて、それにホッしたのも束の間────突然クルッと私の方を振り向いたリーフ様は、私の両手を強く握る。
「どんなに欲しくても手に入らないものって、結構沢山あるんだ。
悲しいけど、それを手に入れたくて努力する姿って俺はカッコいいと思う!
頑張って頑張ってどうしても駄目だったら……それまでに手に入れたものを全部持って、新しいものを探しにいけばいいさ。
きっと楽しいよ。」
「!」
『今までの自分も持ったまま、新しいものを探しにいく。』
誰もが今までの自分をいらないものとして未来の話をするというのに、過去の私も連れて行けばいいと言われ、胸に熱いものが宿る。
頑張り続けた自分が報われた気がして……それが多分嬉しかった。
「は……い。」
キラキラと輝き出す瞳をリーフ様に向けると、リーフ様はニヤリと笑いながら続けて言った。
「それが見つかったら、あとやるべきことは見つけたモノを大事にする事と、いかにお父さん達をぶっ飛ばしてやるかだけだね。
やられた分はきっちり返そう!
それからそいつらと、どう関わっていくのか決めたらいい。」
リーフ様がそう言い終わるか否かのタイミングでレオンにリーフ様を奪われしてしまったが、私は握られていた手をジッ……と見下ろした。
愛情を置いていってくれた母、私を一番に見つけてくれて救ってくれたソフィア様、安否を心配して駆けつけてくれる仲間達。
私はもう手に入れてしまったから、これから考えるべきは皆を大事にすること、そして如何にあのクズ共をぶっ飛ばしてやるか、それだけか……。
「……くくっ。」
離されて寒くなったはずの両手がポカポカと暖かくなってきて、私はその手をグッと握り笑った。
とりあえず今までやられた分を返す。
どう付き合っていくかは、それから決めればいい。
許すか、許さないのかを────。
酷く明快で単純な解決方法に、ワクワクした気持ちになった。
「その通りでした。いつかあのクズ共を血祭りに上げてやります。……その日が楽しみです。」
ニヤッと好戦的な笑みを浮かべて言うと、ソフィア様が困った様な、でも少し嬉しそうな顔になる。
リーフ様は、レオンにまた羽交い締めにされながら、「そうそう!その意気だ!えいえい、お────!!!」と言って、必死にはみ出た手をくぃくぃ動かしてエールを送ってくれた。
「思う事かい?う~ん……そうだねぇ~?
まぁ、一番は感謝だね!彼らは本当によくしてくれてるよ。お陰でレオンもこんなに大きくなったし……。
────あ、そういえば俺、その人達に会った事ないんだけど、アゼリアちゃんは会った事ある?」
「えっ??……は、はい。何度かお会いした事はあります。」
「そっかそっか~。────で、大丈夫そうな様子だった?
こう……ちょっと精神的に不味そうな感じとかありそうだったかな?
とりあえず家族仲は良いってジェニファーちゃんが言ってたから、安心していたんだけど……。
ほらっ、あらぬ誤解で周りに酷い事言われているんじゃないかって、ちょっと心配はしているんだ。」
心配、しんぱ~い!と言わんばかりに困った顔で首を振るリーフ様に、目が点に。
逆に心配している……。
会話の主旨を見失いそうになったが、頭をフル回転して再度質問を投げかけた。
「あ、あの!リーフ様は何故そんなに強く心を持っていられるのでしょうか?
私は……ずっと不義の子である自分を責めてきました。
母は私を身ごもったせいで身一つで追い出されて……そして生活に困り、私をレイモンド家に預けました。
その時交わされた契約により、私がレイモンド家に籍を置いている限り、二度と母には会えません。
私は家族が欲しかった。
だから今でもどうすれば良かったのかと思ってます。
リーフ様は……私はどうすれば良かったと思いますか?」
一度堰を切ったように話しだしたら止まらなくなってしまい、怒涛の如く喋ってしまった。
そして、自分の胸につかえていた事を全て吐き出すと我に返り、恥ずかしくて下を向く。
シン……。
静まり帰ってしまった教会に、自分の鼓動の音だけが響いたが、やがてストンっ……とリーフ様が床に着地した音が聞こえた。
直ぐに視線を上げると、リーフ様は笑顔で大きく頷いた。
「よしっ!分かった!!そいつら全員ぶっ飛ばそう!!」
「は……はい???」
ポカンとする私、ソフィア様、ヨセフ司教の眼の前でリーフ様は腰に差した剣の状態を念入りにチェック。
そして「行くぞ!レオン!!」と行って走り出そうとするので、慌てて三人掛かりで羽交い締めにして止める。
「リ、リーフ様!!落ち着いて下さい!!」
ズルズルと引きづられながら私が叫ぶと、同じく引きずられているソフィア様とヨセフ司教も叫ぶ。
「如何に公爵家と言えども大問題になります!どうか落ち着いて下さい!もっと分かりにくいやり方で復讐してやりましょう!」
「そ、そうですよ!!やるならもっとバレない様に!そしてチクチクと追い詰めましょうよ~。
っていうかリーフ君、結構血の気が多いんですね!そういうの好き!!」
リーフ様にくっつき騒ぐ私達を、ムッ!!と見下ろすレオンが非常に怖かったが、それどころではない私達は頑張った。
そしてその甲斐あってか、リーフ様はやっと止まってくれて、それにホッしたのも束の間────突然クルッと私の方を振り向いたリーフ様は、私の両手を強く握る。
「どんなに欲しくても手に入らないものって、結構沢山あるんだ。
悲しいけど、それを手に入れたくて努力する姿って俺はカッコいいと思う!
頑張って頑張ってどうしても駄目だったら……それまでに手に入れたものを全部持って、新しいものを探しにいけばいいさ。
きっと楽しいよ。」
「!」
『今までの自分も持ったまま、新しいものを探しにいく。』
誰もが今までの自分をいらないものとして未来の話をするというのに、過去の私も連れて行けばいいと言われ、胸に熱いものが宿る。
頑張り続けた自分が報われた気がして……それが多分嬉しかった。
「は……い。」
キラキラと輝き出す瞳をリーフ様に向けると、リーフ様はニヤリと笑いながら続けて言った。
「それが見つかったら、あとやるべきことは見つけたモノを大事にする事と、いかにお父さん達をぶっ飛ばしてやるかだけだね。
やられた分はきっちり返そう!
それからそいつらと、どう関わっていくのか決めたらいい。」
リーフ様がそう言い終わるか否かのタイミングでレオンにリーフ様を奪われしてしまったが、私は握られていた手をジッ……と見下ろした。
愛情を置いていってくれた母、私を一番に見つけてくれて救ってくれたソフィア様、安否を心配して駆けつけてくれる仲間達。
私はもう手に入れてしまったから、これから考えるべきは皆を大事にすること、そして如何にあのクズ共をぶっ飛ばしてやるか、それだけか……。
「……くくっ。」
離されて寒くなったはずの両手がポカポカと暖かくなってきて、私はその手をグッと握り笑った。
とりあえず今までやられた分を返す。
どう付き合っていくかは、それから決めればいい。
許すか、許さないのかを────。
酷く明快で単純な解決方法に、ワクワクした気持ちになった。
「その通りでした。いつかあのクズ共を血祭りに上げてやります。……その日が楽しみです。」
ニヤッと好戦的な笑みを浮かべて言うと、ソフィア様が困った様な、でも少し嬉しそうな顔になる。
リーフ様は、レオンにまた羽交い締めにされながら、「そうそう!その意気だ!えいえい、お────!!!」と言って、必死にはみ出た手をくぃくぃ動かしてエールを送ってくれた。
119
あなたにおすすめの小説
【完結】悪役令嬢モノのバカ王子に転生してしまったんだが、なぜかヒーローがイチャラブを求めてくる
路地裏乃猫
BL
ひょんなことから悪役令嬢モノと思しき異世界に転生した〝俺〟。それも、よりにもよって破滅が確定した〝バカ王子〟にだと?説明しよう。ここで言うバカ王子とは、いわゆる悪役令嬢モノで冒頭から理不尽な婚約破棄を主人公に告げ、最後はざまぁ要素によって何やかんやと破滅させられる例のアンポンタンのことであり――とにかく、俺はこの異世界でそのバカ王子として生き延びにゃならんのだ。つーわけで、脱☆バカ王子!を目指し、真っ当な王子としての道を歩き始めた俺だが、そんな俺になぜか、この世界ではヒロインとイチャコラをキメるはずのヒーローがぐいぐい迫ってくる!一方、俺の命を狙う謎の暗殺集団!果たして俺は、この破滅ルート満載の世界で生き延びることができるのか?
いや、その前に……何だって悪役令嬢モノの世界でバカ王子の俺がヒーローに惚れられてんだ?
2025年10月に全面改稿を行ないました。
2025年10月28日・BLランキング35位ありがとうございます。
2025年10月29日・BLランキング27位ありがとうございます。
2025年10月30日・BLランキング15位ありがとうございます。
2025年11月1日 ・BLランキング13位ありがとうございます。
第13回BL大賞で奨励賞をいただきました。これもひとえに皆様の応援のおかげです。本当にありがとうございました。
伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい
マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。
最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡)
世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。
無能と呼ばれた婚約者は王を完成させる〜替え玉婚約者のはずが、強すぎる王太子に手放してもらえません〜
統子
BL
兄の身代わりとして王太子の婚約者になった伯爵家次男リュシー。
嘘の名を名乗ったはずが、冷静で誠実な王太子リオンは彼を「力の装置」としてではなく、対等な伴侶として扱おうとする。
本物になりたいと願う替え玉と、完成された王太子の静謐な王宮ロマンス。
魔王の息子を育てることになった俺の話
お鮫
BL
俺が18歳の時森で少年を拾った。その子が将来魔王になることを知りながら俺は今日も息子としてこの子を育てる。そう決意してはや数年。
「今なんつった?よっぽど死にたいんだね。そんなに俺と離れたい?」
現在俺はかわいい息子に殺害予告を受けている。あれ、魔王は?旅に出なくていいの?とりあえず放してくれません?
魔王になる予定の男と育て親のヤンデレBL
BLは初めて書きます。見ずらい点多々あるかと思いますが、もしありましたら指摘くださるとありがたいです。
BL大賞エントリー中です。
「好きって言ったら負け!」完璧すぎる生徒会コンビの恋愛頭脳戦は今日も平行線です~恋は勝ち負けじゃないと知るまでの攻防戦
中岡 始
BL
「好きって言ったら負け」
それが、俺たちの間にある、たったひとつのルールだった。
星遥学園の顔、生徒会長・一ノ瀬結翔と副会長・神城凪。
容姿、成績、カリスマ性――すべてが完璧なふたりは、周囲から「最強ペア」と呼ばれている。
けれどその内側では、日々繰り広げられる仁義なき恋愛頭脳戦があった。
・さりげない言葉の応酬
・SNSでの匂わせ合戦
・触れそうで触れない、静かな視線の駆け引き
恋してるなんて認めたくない。
でも、相手からの“告白”を待ち続けてしまう――
そんなふたりの関係が変わったのは、修学旅行での一夜。
「俺、たぶん君に“負けてもいい”って思いかけてる」
その一言が、沈黙を揺るがし、心の距離を塗り替えていく。
勝ち負けなんかじゃない、想いのかたちにたどり着くまで。
これは、美形ふたりの駆け引きまみれなラブコメ戦線、
ついに“終戦”の火蓋が落ちるまでの物語。
追放されたおまけの聖女♂は冷徹王太子の腕の中から離してもらえない〜今さら戻れと言われても、もうこの人の魔力しか受け付けません!〜
たら昆布
BL
聖女のおまけで召喚されたと思われて追放された不憫受けが拾われて愛される話
分厚いメガネ令息の非日常
餅粉
BL
「こいつは俺の女だ。手を出したらどうなるかわかるよな」
「シノ様……素敵!」
おかしい。おかしすぎる!恥ずかしくないのか?高位貴族が平民の女学生に俺の女ってしかもお前は婚約者いるだろうが!!
その女学生の周りにはお慕いしているであろう貴族数名が立っていた。
「ジュリーが一番素敵だよ」
「そうだよ!ジュリーが一番可愛いし美人だし素敵だよ!!」
「……うん。ジュリーの方が…素敵」
ほんと何この状況、怖い!怖いすぎるぞ!あと妙にキモい
「先輩、私もおかしいと思います」
「だよな!」
これは真面目に学生生活を送ろうとする俺の日常のお話
やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。
毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる