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第二十五章
(ゲイル)853 噴水前、戦闘開始
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(ゲイル)
『だが……しかし……。』
考えうる可能性を必死に考えていると、レイナは多少落ち着いた様子だったので、俺は自分にも言い聞かせるように冷静に話掛けた。
「呪いが消されるなんざあるわけないだろう。とにかくどうなっているのか説明しろ。」
《ちょっと待って!何だかさっきからおかしいのよ。私の虫が帰ってこない……。
何匹かやっと帰ってきたと思ったら何の情報も持っていないし────クソっ!!一体何なのよ!!》
「落ち着けよ。とにかく分かる範囲でいいから説明しろ。そうしないとこっちも対応できねぇだろうが!」
こっちのイライラとした雰囲気が多少なりとも通じたのか、レイナはもう一度「クソっ!!」と吐き捨てた後、ベラベラと今の現状に対して説明を始める。
《呪いの攻撃が消されたのは間違いない。
やったのは『リーフ』────って、またコイツなのっ!!?今回の計画が大幅に遅れたのは全部コイツのせいよ!!
まさかカール様が仰ってた様に、本当に邪神の……?》
カールという名に引っかかりを感じつつも、それより遥かに俺の心をかき回す存在の名前が出たため俺の頭は一瞬で沸騰してしまった。
『リーフ』──あの化け物小僧の名前!!
邪神などと言われても普段だったら馬鹿じゃね~の?と鼻で笑う所だが、今まで自身の身に起きた事を思い出せば、否定する気にもなれない。
ありとあらゆる厄災を振りまき、人々に破滅を与える神の名前。
邪神についての伝承を思い出すと、益々否定する事は出来なかった。
俺も俺のクラスの奴らもここグリモアで腐っていた奴らも、更にはナックルのクソ野郎のクラスの奴らも、この『リーフ』によって全員があっという間に破滅へと導かれたのだから。
「邪神っつーのは大正解かもな。あのガキは人を破滅に導く邪悪なる存在ってやつだろう。
ここで呪いの化け物と相殺されて貰わねぇと俺達に未来はねぇ!!
だからさっさと情報をもってこいよ!このグズがっ!!」
《────はっ?調子のんなよ?ただ暴れるだけの能無しの猿如きが。》
ピリッ……とした険悪な雰囲気が場に流れたが────それを先に消したのはレイナの方だった。
《……今はこんな猿を相手にしている場合じゃない。
────いい?とにかくその<聖浄結石>を死ぬ気で守りなさい。
そうしないと仮に助かったとしても────命はないわよ?》
最後は脅すようにそう吐き捨て、そのままレイナが操る小蝿は空へ飛んでいってしまった。
それを忌々しげに睨みつけ、今日何度目か分からぬ舌打ちをしたが、とにかく情報がなければ動けない為その場に大人しく待機するしかない。
そのため俺はソファーに深くもたれかかってレイナからの情報を待った。
しかし────……それから待てども待てどもレイナから情報はなく、更にまた新しい伝電鳥が飛んできて、王女様が参戦するというとんでもない言葉を伝えて去っていく。
あの化け物小僧に協力しての参戦だとぉぉぉ────!!?
聞こえた王女様の言葉によると、《全面的に協力して戦う》という信じられない様な内容であった。
一国の王女様が何であんな平民のクソガキに協力するんだよっ!!
怒りはとっくに頂点に達しているというのに、更にその上をやすやすと越えていく出来事まで起きて、とっくに心の中はキャパオーバーになっている。
そんな余裕がない状況で、フッ……と思い出したのは、気分を上げてくれる最高のアイテム、『酒』の存在だ。
「あいつらどこまで酒を取りにいったんだよ!!クソがっ!!」
仲間二人が酒を取りにいってから結構な時間が経っている事に気づき、怒りは飛び火する。
戻ってきたら殴ってやる!
そう心に決めたその時、店が立ち並ぶ方向から走ってくる2つの人影が見えてきたので、俺は大声で怒鳴りつけてやった。
「おせぇっんだよっ!!!たかが酒をパクってくるだけで何でこんなに時間がかかるんだ?!この無能!!」
そう怒鳴り終わった瞬間、凄まじい勢いで酒瓶が飛んできて、俺の頭にクリーン・ヒット。
パァァァ────ン!!!
大きな音を立てて砕け散った瓶に、辺り一面飛び散る瓶の破片と酒。
勿論俺の頭は酒でびちゃびちゃだ。
「…………。」
────ピキピキピキ……。
額を静かに青筋が走っていく音を聞きながら、何とか冷静になろうとしたが────続けてボンボンっ!!!と大きな音を立てながら、眼の前の壊れたテーブルの上に投げられ積み重なった物体を見下ろし、冷静という言葉は吹き飛んでいった。
その物体が、股間部を押さえ泡を吹いて気絶している仲間二人だったからだ。
ブチブチ────!!!!
とうとう盛大に切れてしまった額を走る血管を労る様に優しく擦った。
そして二人を放り投げてきた人物達の方へゆっくり顔を向ける。
「……で?お前ら、何者だ?俺様をCランク冒険者ゲイル様と知っての事なんだよな?」
ピクピクと生き物の様に蠢く血管をソッ……と抑えながら、静かに尋ねると、視線の先にいる2人はそれに答えた。
「リーフ様最古の取り巻きにして『金色玉・絶命拳』を伝授された使い手でもあるモルト。」
「同じくニールっす!そいつらの代わりにお酒を届けたあげたんすから感謝してほしいっすね~。」
【街中央広場、噴水前】
Cランク冒険者<ゲイル> VS モルトとニール
────戦闘開始。
『だが……しかし……。』
考えうる可能性を必死に考えていると、レイナは多少落ち着いた様子だったので、俺は自分にも言い聞かせるように冷静に話掛けた。
「呪いが消されるなんざあるわけないだろう。とにかくどうなっているのか説明しろ。」
《ちょっと待って!何だかさっきからおかしいのよ。私の虫が帰ってこない……。
何匹かやっと帰ってきたと思ったら何の情報も持っていないし────クソっ!!一体何なのよ!!》
「落ち着けよ。とにかく分かる範囲でいいから説明しろ。そうしないとこっちも対応できねぇだろうが!」
こっちのイライラとした雰囲気が多少なりとも通じたのか、レイナはもう一度「クソっ!!」と吐き捨てた後、ベラベラと今の現状に対して説明を始める。
《呪いの攻撃が消されたのは間違いない。
やったのは『リーフ』────って、またコイツなのっ!!?今回の計画が大幅に遅れたのは全部コイツのせいよ!!
まさかカール様が仰ってた様に、本当に邪神の……?》
カールという名に引っかかりを感じつつも、それより遥かに俺の心をかき回す存在の名前が出たため俺の頭は一瞬で沸騰してしまった。
『リーフ』──あの化け物小僧の名前!!
邪神などと言われても普段だったら馬鹿じゃね~の?と鼻で笑う所だが、今まで自身の身に起きた事を思い出せば、否定する気にもなれない。
ありとあらゆる厄災を振りまき、人々に破滅を与える神の名前。
邪神についての伝承を思い出すと、益々否定する事は出来なかった。
俺も俺のクラスの奴らもここグリモアで腐っていた奴らも、更にはナックルのクソ野郎のクラスの奴らも、この『リーフ』によって全員があっという間に破滅へと導かれたのだから。
「邪神っつーのは大正解かもな。あのガキは人を破滅に導く邪悪なる存在ってやつだろう。
ここで呪いの化け物と相殺されて貰わねぇと俺達に未来はねぇ!!
だからさっさと情報をもってこいよ!このグズがっ!!」
《────はっ?調子のんなよ?ただ暴れるだけの能無しの猿如きが。》
ピリッ……とした険悪な雰囲気が場に流れたが────それを先に消したのはレイナの方だった。
《……今はこんな猿を相手にしている場合じゃない。
────いい?とにかくその<聖浄結石>を死ぬ気で守りなさい。
そうしないと仮に助かったとしても────命はないわよ?》
最後は脅すようにそう吐き捨て、そのままレイナが操る小蝿は空へ飛んでいってしまった。
それを忌々しげに睨みつけ、今日何度目か分からぬ舌打ちをしたが、とにかく情報がなければ動けない為その場に大人しく待機するしかない。
そのため俺はソファーに深くもたれかかってレイナからの情報を待った。
しかし────……それから待てども待てどもレイナから情報はなく、更にまた新しい伝電鳥が飛んできて、王女様が参戦するというとんでもない言葉を伝えて去っていく。
あの化け物小僧に協力しての参戦だとぉぉぉ────!!?
聞こえた王女様の言葉によると、《全面的に協力して戦う》という信じられない様な内容であった。
一国の王女様が何であんな平民のクソガキに協力するんだよっ!!
怒りはとっくに頂点に達しているというのに、更にその上をやすやすと越えていく出来事まで起きて、とっくに心の中はキャパオーバーになっている。
そんな余裕がない状況で、フッ……と思い出したのは、気分を上げてくれる最高のアイテム、『酒』の存在だ。
「あいつらどこまで酒を取りにいったんだよ!!クソがっ!!」
仲間二人が酒を取りにいってから結構な時間が経っている事に気づき、怒りは飛び火する。
戻ってきたら殴ってやる!
そう心に決めたその時、店が立ち並ぶ方向から走ってくる2つの人影が見えてきたので、俺は大声で怒鳴りつけてやった。
「おせぇっんだよっ!!!たかが酒をパクってくるだけで何でこんなに時間がかかるんだ?!この無能!!」
そう怒鳴り終わった瞬間、凄まじい勢いで酒瓶が飛んできて、俺の頭にクリーン・ヒット。
パァァァ────ン!!!
大きな音を立てて砕け散った瓶に、辺り一面飛び散る瓶の破片と酒。
勿論俺の頭は酒でびちゃびちゃだ。
「…………。」
────ピキピキピキ……。
額を静かに青筋が走っていく音を聞きながら、何とか冷静になろうとしたが────続けてボンボンっ!!!と大きな音を立てながら、眼の前の壊れたテーブルの上に投げられ積み重なった物体を見下ろし、冷静という言葉は吹き飛んでいった。
その物体が、股間部を押さえ泡を吹いて気絶している仲間二人だったからだ。
ブチブチ────!!!!
とうとう盛大に切れてしまった額を走る血管を労る様に優しく擦った。
そして二人を放り投げてきた人物達の方へゆっくり顔を向ける。
「……で?お前ら、何者だ?俺様をCランク冒険者ゲイル様と知っての事なんだよな?」
ピクピクと生き物の様に蠢く血管をソッ……と抑えながら、静かに尋ねると、視線の先にいる2人はそれに答えた。
「リーフ様最古の取り巻きにして『金色玉・絶命拳』を伝授された使い手でもあるモルト。」
「同じくニールっす!そいつらの代わりにお酒を届けたあげたんすから感謝してほしいっすね~。」
【街中央広場、噴水前】
Cランク冒険者<ゲイル> VS モルトとニール
────戦闘開始。
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