1,213 / 1,649
第三十七章
1197 人災
しおりを挟む
( ザップル )
「 なっ……なんだ、この腐った様な匂いは……!
く……くせぇ~……!! 」
パウロが鼻を摘み叫ぶと、クロエやサロも口元を抑えて涙目になってこの悪臭に耐える仕草を見せる。
腐った肉の匂いに強烈な獣臭、そしてドブの匂いをそこに混ぜ込んだ様な……とにかく凄い匂いだ。
「 この匂いは……ヘンドリク様、何かご存知ですか? 」
エイミも口元を覆いながらヘンドリク様に尋ねると、ヘンドリク様は大量の汗を掻きながらゆっくりと口を開いた。
「 この嫌な魔力気配……それに強力な魔力反応は……間違いない。
Sランクモンスターじゃ。
これが……正真正銘の切り札……。
この人数で……止められるか……? 」
「 え、Sランク……!! 」
Sランクモンスターは、ある一定以上の強さや特殊能力を持ったモンスターを総じてそう呼び、普段は魔素領域から出てこない。
しかしひと度人里に降りてくれば毎回沢山の犠牲者を出し、各機関から出す先鋭の戦闘員達で結成した大部隊でも追い払うのが精一杯という程の強さを持っている。
その存在はまさに天災といえるだろう。
「 な……なぜここにSランクが……?
これも呪いの化け物の能力なのか……? 」
そう呟いたが、この化け物が現れる直前で起きた爆発を思い出し、俺はクロエの方へバッ!と視線を向けた。
すると目が合ったクロエは、直ぐに地面に耳をつける。
「 ……さっきと同じだ。独特の仕掛け音が聞こえる……。
まさかSランクモンスターを閉じ込められるなんて……一体どんなスキルを使ったんだい? 」
クロエはそう言って、ゴクリと喉を鳴らした。
やはり俺の予想は大当たり。
これは呪いの化け物ではなく、悪意ある ” 人 ” の仕業だ。
それに気づくと、心の底からそれを実行した者たちへの怒りが湧き上がる。
負の連鎖で繋がれてもいないのに、それを世に生み出そうとする者たち。
何故今ある幸せで満足できない?
何故自分の欲望を叶えるためだけに、、ここまで人を犠牲にできるんだ?
俺にはその気持ちが心底分からない!
そんな俺の気持ちなどお構いなしに、晴れた視界からおぞましいその姿が目の前に現れた。
体長は10m超え。
見上げるような巨体に、その身体は黒い牛の様。
しかし上についている顔は牛ではなく、長く伸びた首に5つの別の顔がついている。
1つ目は【 蛇の顔 】
2つ目は【 ヤギの顔 】
3つ目は【 狼の顔 】
4つ目は【 鷲の顔 】
そして5つ目は、男か女かも分からない酷く歪な【 人の顔 】
更にその5つの顔から身体全体に掛けて、至る所が腐っている様で、ドロドロとその肉が腐り落ちては、悪臭を周囲に振り撒く。
その異様な姿に周囲の仲間たちは威圧され、ジリジリと後ろに下がる中、ヘンドリク様がボソッとその正体を呟いた。
「 < キャロル・ナイト・ゾンビ >じゃ……。 」
【 Sランクモンスター 】
< キャロル・ナイト・ゾンビ >
体長10m超えの黒い牛の身体と5つの動物の顔を持つゾンビ系獣型Sランクモンスター
高い物理耐性と魔法耐性を持ち、更に5つの首達は全て全く別の特殊能力を持つ
【 蛇の顔 】
ステータスUPなどのバフ能力
【 ヤギの顔 】
爆発系魔法を得意とする攻撃魔法能力
【 狼の顔 】
物理攻撃による攻撃特化能力
【 鷲の顔 】
結界・防御能力
【 人の顔 】
回復系能力
この5つの首により攻守ともに完璧に近い上に、ゾンビ系モンスターの特徴や能力も持っているため、大部隊での討伐が必須のモンスターである
< キャロル・ナイト・ゾンビ >の名前の由来は、今はなき小さなある村に伝わる伝承にある。
その村では子供たちが悪さをする度に大人たちが必ず言う言葉があった。
それが──── ” キャロルがくるぞ ”
この ” キャロル ” とは、大人たちが考えた空想上の化け物の事で、その姿は沢山の動物の顔が生えており、悪さをした子供を食べてしまうのだという話だ。
それに子供たちは恐怖し、悪さをしなくなるというものだったが、その村はある日限界集落となってしまい街の人々は解散してその話も消えてしまった。
しかし初めてこのモンスターが人前に姿を現した時、たまたまその村出身の子孫がいたため、そう名付けられたらしい。
初めてお目にかかれたSランクモンスターにゴクリと唾を飲み込むと、エイミがボソッと隣で呟く。
「 この人数での討伐は……少々厳しいかもしれません。
応援を────。 」
エイミのそんな提案を叩き潰す様に、空を飛び回る伝電鳥が衝撃的な言葉を伝えた。
《 緊急伝達!!!
現在各所にてSランクモンスターの出現を確認っ!!!
西門傭兵ギルド < クイーン・アント >!
東門冒険者ギルド < キャロル・ゾンビ・ナイト >!
南門ライトノア学院 < ナイト・カゲロウ >!
更に街の中部にて二体 < ダーク・ツリー・フェイス >と< ジョロウ・キング >!
教会の正門 < ヒャクメ・カオス >!
教会裏門 < ピエロ・グリム・リーパー >! です!!
更に正門守備隊には────
SSランクモンスター< ロイヤル・ドラゴン >!!!
各所危険レベル計測不能!!!どうか注意して戦闘に望んで下さい!!! 》
「 なっ……なんだ、この腐った様な匂いは……!
く……くせぇ~……!! 」
パウロが鼻を摘み叫ぶと、クロエやサロも口元を抑えて涙目になってこの悪臭に耐える仕草を見せる。
腐った肉の匂いに強烈な獣臭、そしてドブの匂いをそこに混ぜ込んだ様な……とにかく凄い匂いだ。
「 この匂いは……ヘンドリク様、何かご存知ですか? 」
エイミも口元を覆いながらヘンドリク様に尋ねると、ヘンドリク様は大量の汗を掻きながらゆっくりと口を開いた。
「 この嫌な魔力気配……それに強力な魔力反応は……間違いない。
Sランクモンスターじゃ。
これが……正真正銘の切り札……。
この人数で……止められるか……? 」
「 え、Sランク……!! 」
Sランクモンスターは、ある一定以上の強さや特殊能力を持ったモンスターを総じてそう呼び、普段は魔素領域から出てこない。
しかしひと度人里に降りてくれば毎回沢山の犠牲者を出し、各機関から出す先鋭の戦闘員達で結成した大部隊でも追い払うのが精一杯という程の強さを持っている。
その存在はまさに天災といえるだろう。
「 な……なぜここにSランクが……?
これも呪いの化け物の能力なのか……? 」
そう呟いたが、この化け物が現れる直前で起きた爆発を思い出し、俺はクロエの方へバッ!と視線を向けた。
すると目が合ったクロエは、直ぐに地面に耳をつける。
「 ……さっきと同じだ。独特の仕掛け音が聞こえる……。
まさかSランクモンスターを閉じ込められるなんて……一体どんなスキルを使ったんだい? 」
クロエはそう言って、ゴクリと喉を鳴らした。
やはり俺の予想は大当たり。
これは呪いの化け物ではなく、悪意ある ” 人 ” の仕業だ。
それに気づくと、心の底からそれを実行した者たちへの怒りが湧き上がる。
負の連鎖で繋がれてもいないのに、それを世に生み出そうとする者たち。
何故今ある幸せで満足できない?
何故自分の欲望を叶えるためだけに、、ここまで人を犠牲にできるんだ?
俺にはその気持ちが心底分からない!
そんな俺の気持ちなどお構いなしに、晴れた視界からおぞましいその姿が目の前に現れた。
体長は10m超え。
見上げるような巨体に、その身体は黒い牛の様。
しかし上についている顔は牛ではなく、長く伸びた首に5つの別の顔がついている。
1つ目は【 蛇の顔 】
2つ目は【 ヤギの顔 】
3つ目は【 狼の顔 】
4つ目は【 鷲の顔 】
そして5つ目は、男か女かも分からない酷く歪な【 人の顔 】
更にその5つの顔から身体全体に掛けて、至る所が腐っている様で、ドロドロとその肉が腐り落ちては、悪臭を周囲に振り撒く。
その異様な姿に周囲の仲間たちは威圧され、ジリジリと後ろに下がる中、ヘンドリク様がボソッとその正体を呟いた。
「 < キャロル・ナイト・ゾンビ >じゃ……。 」
【 Sランクモンスター 】
< キャロル・ナイト・ゾンビ >
体長10m超えの黒い牛の身体と5つの動物の顔を持つゾンビ系獣型Sランクモンスター
高い物理耐性と魔法耐性を持ち、更に5つの首達は全て全く別の特殊能力を持つ
【 蛇の顔 】
ステータスUPなどのバフ能力
【 ヤギの顔 】
爆発系魔法を得意とする攻撃魔法能力
【 狼の顔 】
物理攻撃による攻撃特化能力
【 鷲の顔 】
結界・防御能力
【 人の顔 】
回復系能力
この5つの首により攻守ともに完璧に近い上に、ゾンビ系モンスターの特徴や能力も持っているため、大部隊での討伐が必須のモンスターである
< キャロル・ナイト・ゾンビ >の名前の由来は、今はなき小さなある村に伝わる伝承にある。
その村では子供たちが悪さをする度に大人たちが必ず言う言葉があった。
それが──── ” キャロルがくるぞ ”
この ” キャロル ” とは、大人たちが考えた空想上の化け物の事で、その姿は沢山の動物の顔が生えており、悪さをした子供を食べてしまうのだという話だ。
それに子供たちは恐怖し、悪さをしなくなるというものだったが、その村はある日限界集落となってしまい街の人々は解散してその話も消えてしまった。
しかし初めてこのモンスターが人前に姿を現した時、たまたまその村出身の子孫がいたため、そう名付けられたらしい。
初めてお目にかかれたSランクモンスターにゴクリと唾を飲み込むと、エイミがボソッと隣で呟く。
「 この人数での討伐は……少々厳しいかもしれません。
応援を────。 」
エイミのそんな提案を叩き潰す様に、空を飛び回る伝電鳥が衝撃的な言葉を伝えた。
《 緊急伝達!!!
現在各所にてSランクモンスターの出現を確認っ!!!
西門傭兵ギルド < クイーン・アント >!
東門冒険者ギルド < キャロル・ゾンビ・ナイト >!
南門ライトノア学院 < ナイト・カゲロウ >!
更に街の中部にて二体 < ダーク・ツリー・フェイス >と< ジョロウ・キング >!
教会の正門 < ヒャクメ・カオス >!
教会裏門 < ピエロ・グリム・リーパー >! です!!
更に正門守備隊には────
SSランクモンスター< ロイヤル・ドラゴン >!!!
各所危険レベル計測不能!!!どうか注意して戦闘に望んで下さい!!! 》
179
あなたにおすすめの小説
【完結】悪役令嬢モノのバカ王子に転生してしまったんだが、なぜかヒーローがイチャラブを求めてくる
路地裏乃猫
BL
ひょんなことから悪役令嬢モノと思しき異世界に転生した〝俺〟。それも、よりにもよって破滅が確定した〝バカ王子〟にだと?説明しよう。ここで言うバカ王子とは、いわゆる悪役令嬢モノで冒頭から理不尽な婚約破棄を主人公に告げ、最後はざまぁ要素によって何やかんやと破滅させられる例のアンポンタンのことであり――とにかく、俺はこの異世界でそのバカ王子として生き延びにゃならんのだ。つーわけで、脱☆バカ王子!を目指し、真っ当な王子としての道を歩き始めた俺だが、そんな俺になぜか、この世界ではヒロインとイチャコラをキメるはずのヒーローがぐいぐい迫ってくる!一方、俺の命を狙う謎の暗殺集団!果たして俺は、この破滅ルート満載の世界で生き延びることができるのか?
いや、その前に……何だって悪役令嬢モノの世界でバカ王子の俺がヒーローに惚れられてんだ?
2025年10月に全面改稿を行ないました。
2025年10月28日・BLランキング35位ありがとうございます。
2025年10月29日・BLランキング27位ありがとうございます。
2025年10月30日・BLランキング15位ありがとうございます。
2025年11月1日 ・BLランキング13位ありがとうございます。
第13回BL大賞で奨励賞をいただきました。これもひとえに皆様の応援のおかげです。本当にありがとうございました。
番に見つからない街で、子供を育てている
はちも
BL
目を覚ますと、腕の中には赤ん坊がいた。
異世界の青年ロアンとして目覚めた「俺」は、希少な男性オメガであり、子を産んだ母親だった。
現世の記憶は失われているが、
この子を守らなければならない、という想いだけははっきりと残っている。
街の人々に助けられ、魔石への魔力注入で生計を立てながら、
ロアンと息子カイルは、番のいない街で慎ましく暮らしていく。
だが、行方不明の番を探す噂が、静かに近づいていた。
再会は望まない。
今はただ、この子との生活を守りたい。
これは、番から逃げたオメガが、
選び直すまでの物語。
*本編完結しました
神のミスで転生したけど、幼女化しちゃった! 神具【調薬釜】で、異世界ライフを楽しもう!
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
旧題:神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!
2026/3/9に発売です!書籍は2026/3/11に発売(予約受付中)です!イラストは、にとろん様です。よろしくお願い致します!
ファンタジー小説大賞に投票して頂いた皆様には、大変感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
カクヨム(吉野 ひな)様にも投稿しています。
悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?
* ゆるゆ
BL
王太子から伴侶(予定)契約を破棄された瞬間、前世の記憶がよみがえって、悪役令息だと気づいたよ! しかし気づいたのが終了した後な件について。
悪役令息で断罪なんて絶対だめだ! 泣いちゃう!
せっかく前世を思い出したんだから、これからは心を入れ替えて、真面目にがんばっていこう! と思ったんだけど……あれ? 皆やさしい? 主人公はあっちだよー?
ユィリと皆の動画をつくりました!
インスタ @yuruyu0 絵も動画もあがります。ほぼ毎日更新
Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。動画を作ったときに更新
プロフのWebサイトから、両方に飛べるので、もしよかったら!
名前が * ゆるゆ になりましたー!
中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!
ご感想欄 、うれしくてすぐ承認を押してしまいネタバレ 配慮できないので、ご覧になる時は、お気をつけください!
表紙や動画はAIを使用していますが、文章にはAIを一切使用しておりません。
名前が * ゆるゆ になりました。
これからもどうぞよろしくお願い致します!
表紙にはAIを使用していますが、文章にはAIを一切使用しておりません。
校正も自力です(笑)
魔王の息子を育てることになった俺の話
お鮫
BL
俺が18歳の時森で少年を拾った。その子が将来魔王になることを知りながら俺は今日も息子としてこの子を育てる。そう決意してはや数年。
「今なんつった?よっぽど死にたいんだね。そんなに俺と離れたい?」
現在俺はかわいい息子に殺害予告を受けている。あれ、魔王は?旅に出なくていいの?とりあえず放してくれません?
魔王になる予定の男と育て親のヤンデレBL
BLは初めて書きます。見ずらい点多々あるかと思いますが、もしありましたら指摘くださるとありがたいです。
BL大賞エントリー中です。
異世界転生目立ちたく無いから冒険者を目指します
桂崇
ファンタジー
小さな町で酒場の手伝いをする母親と2人で住む少年イールスに転生覚醒する、チートする方法も無く、母親の死により、実の父親の家に引き取られる。イールスは、冒険者になろうと目指すが、周囲はその才能を惜しんでいる
うるせぇ!僕はスライム牧場を作るんで邪魔すんな!!
かかし
BL
強い召喚士であることが求められる国、ディスコミニア。
その国のとある侯爵の次男として生まれたミルコは他に類を見ない優れた素質は持っていたものの、どうしようもない事情により落ちこぼれや恥だと思われる存在に。
両親や兄弟の愛情を三歳の頃に失い、やがて十歳になって三ヶ月経ったある日。
自分の誕生日はスルーして兄弟の誕生を幸せそうに祝う姿に、心の中にあった僅かな期待がぽっきりと折れてしまう。
自分の価値を再認識したミルコは、悲しい決意を胸に抱く。
相棒のスライムと共に、名も存在も家族も捨てて生きていこうと…
のんびり新連載。
気まぐれ更新です。
BがLするまでかなり時間が掛かる予定ですので注意!
サブCPに人外CPはありますが、主人公は人外CPにはなりません。
(この世界での獣人は人間の種類の一つですので人外ではないです。)
ストックなくなるまでは07:10に公開
他サイトにも掲載してます
その捕虜は牢屋から離れたくない
さいはて旅行社
BL
敵国の牢獄看守や軍人たちが大好きなのは、鍛え上げられた筋肉だった。
というわけで、剣や体術の訓練なんか大嫌いな魔導士で細身の主人公は、同僚の脳筋騎士たちとは違い、敵国の捕虜となっても平穏無事な牢屋生活を満喫するのであった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる