【第一部完結】天寿を全うした俺は呪われた英雄のため悪役に転生します

バナナ男さん

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第四十一章

1326 悪はどうしようも……

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( ジェニファー )

ここは、必死になって守る価値がある場所なの?

そういうモノだ、仕方ないんだと止まって安定を望む。


全てを見てみぬフリをして、耳を塞いで、自分を殺して……それで人が羨む様な人生を手にしたって、私は全然幸せじゃなかった。


結果なんて人生のたった一瞬で、そこに辿り着くまでの人生の方が圧倒的に長い。


だから ” ハッピーエンド ” だって結果じゃなくて、それに辿り着くまでの過程が本質だ。


今の私は人生の中で一番ハッピー。

そして人を────父を想う心は、そのハッピーの中でないと……最後はお互いだめになってしまうのだと、前を走っていく仲間たちを見て理解した。


それぞれがそれぞれの考えを持って自分の足を動かし続ける事。

その中で隣に並んだり、先にいったり背中を追いかけたり……そして別々の道を歩いたりしないと、結局最後は一緒に地獄行きだ。


「 そうですね。

結果は過程先にあるモノですから、それが一番人生にとって大事なモノだと、私もそう思います。

何も考えずに誰かについていくだけでも、盲信して一人で先に進んでも駄目……人生の難易度は常にスーパーハードですよね~。 」


「 フフッ。確かにそうですね。

でも、今はその手厳しい人生が……私もすごく楽しいと思っています。 」


何が出てくるか分からない未来を一人で手探りで歩くのは初めて。

だから、怖いけどワクワクする。


それを楽しいと言う私を、ヨセフ司教は笑顔で見守った後────……突然険しい顔で空を睨みつけた。

驚く私の前で、ヨセフ司教はボソッと呟く。


「 …… ” 悪 ” は本当に……どうしようもないな……。 」


「 ?申し訳ありません、よく聞こえな────……。 」


────ドドンッ!!!!!


言いかけた言葉は、突然の大きな爆発音と揺れる大地によってかき消された。


「 ……っ!!!?? 」


「 き、きゃぁぁぁ────!!!な、何!!? 」


「 また爆発……?一体何が起こったの……?! 」


周囲からは不安と恐怖から悲鳴が上がり、ざわざわとざわめき始めたが……私にはそれを気にする余裕がない。


多数の正体不明の有機物の集合体達が、街の至る所で出現したのを感じたから。


それは強大なエネルギーを発していて、呪いの化け物同様、ドロドロとした気持ち悪い魔力を持っているモノの様だ。


こんなモノが複数!

しかも同時に────!?


周囲の人たちがパニックを起こしそうになっているのに、私は恐怖に震え口をパクパクと動かす事しかできない。


「 数年前の事件はこのためか……! 」


ヨセフ司教が険しい顔のままボソッと呟くと、直ぐに表情をいつもの聖職者に相応しい穏やかな顔に戻し、パニック寸前の周囲に向かって声を上げた。


「 皆さん落ち着いて下さい。

どうやら各所にSランクモンスターが出現したようですが……それでも我々にできる事は今まで同様、けが人の治療だけです!

たとえ何があろうとも、我々はイシュル神と今も戦っておられる ” 救世主様 ” を信じ、共に踏ん張りましょう! 」


” イシュル神 ”

” 救世主様 ”


その2つの言葉によって、周囲の人たちは驚くほどあっという間に正気を取り戻す。


「 そ、そうだ!俺達に出来ることは、ここを維持する事……。 」


「 けが人をしっかり治す……何が来たってやる事は変わらないじゃない! 」


そうしてまた動きを再開した周囲の人たちをポカンと見つめながらも、自分の震えも同様に止まっている事に気づき、ホッと息を吐き出した。


「 ” 神様 ” とは人々にとって、希望そのモノですから。

それがあるから足掻けるのですよ。

希望が戦っている内は、誰一人折れたりしません。

大丈夫。 」


穏やかに笑うヨセフ司教を見つめながら、私は大きく深呼吸をする。

そして吐き気がする程の強大な魔力反応に対し、お腹にグッ……と力を入れて恐怖を吹き飛ばそうとすると、ヨセフ司教が私の頭に軽く触れてきた。



<心導師の資質>(ユニーク固有スキル)

< 感情の天秤 >

自分の感情と相手の感情を天秤に掛けて、自在にその感情を相手側の天秤に乗せたり自分の方の天秤に乗せたりする事ができる精神操作性スキル

術者のレベルが高い程、その天秤の皿は大きく深くすることができ、やろうと思えば相手を廃人にする程感情を吸い取ってしまう事もできるため、非常に危険なスキル

(発現条件) 

一定以上の人の心の闇に触れ、それに引きずられない事

一定量以上の負の感情を受けながらも、それを退けかつ一定以下の精神汚染度で留まっている事

一定回数以上、他者に対し負の感情を持ちながらもそれを完全に隠すこと
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