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14 何も分かりませ〜ん
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「……これが俺の地肌の色……。」
毎日の畑仕事だと、どんなに洗っても汚れは取り切れなかった様だ。
なんだか感動してしまったが、それからがまたすごかった。
大きなタオルで包みこまれたまま、広間と呼ばれるただの広い空間へと歩かされると、そこにはたくさんの衣服とアクセサリーらしきモノがズラリと並んでいるのが目に入る。
「?何これ~???」
「はい。これは全てスカイ様のお嫁さんのモノです。」
「これから花嫁衣装をご用意しますね~。」
淡々と作業していく侍女達に、慌てて俺は手を振った。
「ちょっと待って下さいよ!!あの、俺、知っているとは思いますが、男なんで!
これはスカイ様の何かしらの冗談……いや、余興かなにかなんですか?」
村に新たに就任してきた新領主様!
ちょっぴり緊張している我が領民達へ、ちょこっと悪ふざけを披露してフレンドリーさを演出するぞ☆…………なら、分かる気がする!ちょっと酷い作戦だとは思うけど!
これはセンス皆無!
俺がバッテンマークを作って、全否定をしてやると、侍女さんは『無』な表情をしたまま、一斉に首を振った。
「スカイ様は冗談など言いません。」
「スカイ様が右と言ったら右、左と言えば左が正義です。それ以外、我々人類如きが口を出せる事はないのです。」
……えっ?なんだか違う世界に紛れ込んじゃった……??
今までの常識が一切通じない事に、俺の表情も『無』に……。
これも何を言っても無駄だと、大人しく身を委ねていたのだが……コルセットという腹巻きの硬いヤツを腹に巻かれてから、今度は地獄の苦しみに悲鳴をあげることになった。
「はい!せ~っのぉぉぉぉ!!」
「ほぎゃぁぁぁぁぁ!!!」
ぎっしぎっし!と締め上げてくるコルセットのせいで、俺は半分死んだ状態で目標ギリギリの細さまで到達し、そのまま意識朦朧状態で白いドレスを着させられる。
フワッフワの見るからにめちゃくちゃいい布を使っている白ドレス……。
よく見ると、ドレスに細かく散りばめられているのは、ダイヤモンドというめちゃくちゃ高級な石だった。
一体このドレスのお値段はおいくら??
「……っ…………っ!!」
尋ねたくても苦しくて、口からはヒュ~ヒュ~!という呼吸音しか出ない。
そして頭の上に、俺の頭より遥かにデカい帽子の様な花を装着され、そのまままた脇の下に手を差し込まれて悪い人を護送する様に連れてかれた。
向かう先は村の中心広場の様だが……そこに近づくにつれて、村人達が道を作るようにたくさん並んでいて、全員俺を憐れなモノを見るかの様に見てくる。
そりゃ~そうだろう。俺だって、誰かがこんな目に合っていたら、同じ目をして見る自信がある!
「……うぅ~…………っ……。」
昨日から泣きっぱなしの目が熱くて痛い。
それでも容赦なく中心地に連れてこられて、そこで待っていたスカイ様の前に捨てられた。
「…………ふ~む。」
目の前で立って見下ろしてくるスカイ様が怖くて怖くて、身体を震わせながら、ゆっくりとその姿を見つめ返す。
白いタキシード姿に、髪をしっかりUPした姿は、輝く様な美しさ。
しかし、その瞳の奥にあるメラメラグツグツと燃えたぎる怒り?の炎が怖くてたまらない!
「ヒッ……ヒィッ!!」
そんな瞳を凝視して震える俺を見て、スカイ様は更にギラギラと目を光らせて顎をしゃくった。
「さっさと始めるぞ。早く立って、俺の腕に手を添えろ。」
「は、はひぃぃ!!」
条件反射の様に言う事を聞き、直ぐにスカイ様の左腕に自分の手を絡ませると、スカイ様は凶悪な笑みを浮かべる。
その直後、死んだ様な目をしている村長が、広場に置いてあるスピーチ台の前に立った。
「……病める時も健やかなる時も愛を誓いますか?」
「あぁ、誓う。そしてムギも誓った。」
結婚式の有名なフレーズをド直球で言われ、更にまさかのスカイ様が俺の答えを代弁するという前代未聞の対応をされてしまう。
「…………あぅあぅ……。」
コルセットの苦しさと、いまだかつてない緊張のせいで、口からは呻き声の様なモノしか出ずに文句も言えない!
だ、だれか~!
俺が必死に視線を周りに回すと、それはもう!血の涙を流してハンカチを噛みちぎっているアース様と目が合い、直ぐに逸らす。
更に他へと視線を回したが……皆目が死んでいて、ジロとニコなんて白々しく『結婚おめでとう!』と書かれた旗を持っていた。
俺が必死にそんな二人に目線を送ると……二人は生ぬるい目で俺を見つめて手を振る。
「よ、良かったな~!めちゃくちゃ玉の輿じゃないか!い、いいな~強くて美しい伴侶 」
「ひゅ…ひゅ~ひゅ~!羨ましいぞ!このこの~…………独身からの一抜けぇ~……うらやまし~……かも……??」
全然覇気がない二人の様子を見て、絶対羨ましいなんて思ってない事が分かった。
だってどんなに美人だろうが、玉の輿だろうが、俺より遥かに長身のムキムキ勇者様かつ、何一つ考えている事が分からない同性だからな!
「ハ……ハハッ……。」
笑うしかなくて、意識朦朧としながら笑うと……スカイ様の顔がカァ~!と真っ赤になっていった。
「そ、そんなに俺と結婚できるのが嬉しいのか!……全く~!ムギは俺の事が好きでたまらないんだな!
まぁ、俺はカッコいいし強いし、地位もあるし……お前は最高の相手を見つけたのだから、当たり前か!」
ハァ~!と大きなため息をついたスカイ様は、ほとんど気絶している状態の俺の腰を抱き寄せ、そのまま……。
チュチュッ!
人生で2回目のキスをしてきた。
昨日の一回目が強烈すぎて、2回目のこんな可愛いキスなど、もう好きにしてくれとしか思えない。
そのまま白目を向いて大人しくしていると、そのままギシギシと潰される勢いで抱きしめる力は強くなっていき、口の中がグチャグチャと水音が聞こえる様になってきた。
昨日のキスもどき、再来!!
毎日の畑仕事だと、どんなに洗っても汚れは取り切れなかった様だ。
なんだか感動してしまったが、それからがまたすごかった。
大きなタオルで包みこまれたまま、広間と呼ばれるただの広い空間へと歩かされると、そこにはたくさんの衣服とアクセサリーらしきモノがズラリと並んでいるのが目に入る。
「?何これ~???」
「はい。これは全てスカイ様のお嫁さんのモノです。」
「これから花嫁衣装をご用意しますね~。」
淡々と作業していく侍女達に、慌てて俺は手を振った。
「ちょっと待って下さいよ!!あの、俺、知っているとは思いますが、男なんで!
これはスカイ様の何かしらの冗談……いや、余興かなにかなんですか?」
村に新たに就任してきた新領主様!
ちょっぴり緊張している我が領民達へ、ちょこっと悪ふざけを披露してフレンドリーさを演出するぞ☆…………なら、分かる気がする!ちょっと酷い作戦だとは思うけど!
これはセンス皆無!
俺がバッテンマークを作って、全否定をしてやると、侍女さんは『無』な表情をしたまま、一斉に首を振った。
「スカイ様は冗談など言いません。」
「スカイ様が右と言ったら右、左と言えば左が正義です。それ以外、我々人類如きが口を出せる事はないのです。」
……えっ?なんだか違う世界に紛れ込んじゃった……??
今までの常識が一切通じない事に、俺の表情も『無』に……。
これも何を言っても無駄だと、大人しく身を委ねていたのだが……コルセットという腹巻きの硬いヤツを腹に巻かれてから、今度は地獄の苦しみに悲鳴をあげることになった。
「はい!せ~っのぉぉぉぉ!!」
「ほぎゃぁぁぁぁぁ!!!」
ぎっしぎっし!と締め上げてくるコルセットのせいで、俺は半分死んだ状態で目標ギリギリの細さまで到達し、そのまま意識朦朧状態で白いドレスを着させられる。
フワッフワの見るからにめちゃくちゃいい布を使っている白ドレス……。
よく見ると、ドレスに細かく散りばめられているのは、ダイヤモンドというめちゃくちゃ高級な石だった。
一体このドレスのお値段はおいくら??
「……っ…………っ!!」
尋ねたくても苦しくて、口からはヒュ~ヒュ~!という呼吸音しか出ない。
そして頭の上に、俺の頭より遥かにデカい帽子の様な花を装着され、そのまままた脇の下に手を差し込まれて悪い人を護送する様に連れてかれた。
向かう先は村の中心広場の様だが……そこに近づくにつれて、村人達が道を作るようにたくさん並んでいて、全員俺を憐れなモノを見るかの様に見てくる。
そりゃ~そうだろう。俺だって、誰かがこんな目に合っていたら、同じ目をして見る自信がある!
「……うぅ~…………っ……。」
昨日から泣きっぱなしの目が熱くて痛い。
それでも容赦なく中心地に連れてこられて、そこで待っていたスカイ様の前に捨てられた。
「…………ふ~む。」
目の前で立って見下ろしてくるスカイ様が怖くて怖くて、身体を震わせながら、ゆっくりとその姿を見つめ返す。
白いタキシード姿に、髪をしっかりUPした姿は、輝く様な美しさ。
しかし、その瞳の奥にあるメラメラグツグツと燃えたぎる怒り?の炎が怖くてたまらない!
「ヒッ……ヒィッ!!」
そんな瞳を凝視して震える俺を見て、スカイ様は更にギラギラと目を光らせて顎をしゃくった。
「さっさと始めるぞ。早く立って、俺の腕に手を添えろ。」
「は、はひぃぃ!!」
条件反射の様に言う事を聞き、直ぐにスカイ様の左腕に自分の手を絡ませると、スカイ様は凶悪な笑みを浮かべる。
その直後、死んだ様な目をしている村長が、広場に置いてあるスピーチ台の前に立った。
「……病める時も健やかなる時も愛を誓いますか?」
「あぁ、誓う。そしてムギも誓った。」
結婚式の有名なフレーズをド直球で言われ、更にまさかのスカイ様が俺の答えを代弁するという前代未聞の対応をされてしまう。
「…………あぅあぅ……。」
コルセットの苦しさと、いまだかつてない緊張のせいで、口からは呻き声の様なモノしか出ずに文句も言えない!
だ、だれか~!
俺が必死に視線を周りに回すと、それはもう!血の涙を流してハンカチを噛みちぎっているアース様と目が合い、直ぐに逸らす。
更に他へと視線を回したが……皆目が死んでいて、ジロとニコなんて白々しく『結婚おめでとう!』と書かれた旗を持っていた。
俺が必死にそんな二人に目線を送ると……二人は生ぬるい目で俺を見つめて手を振る。
「よ、良かったな~!めちゃくちゃ玉の輿じゃないか!い、いいな~強くて美しい伴侶 」
「ひゅ…ひゅ~ひゅ~!羨ましいぞ!このこの~…………独身からの一抜けぇ~……うらやまし~……かも……??」
全然覇気がない二人の様子を見て、絶対羨ましいなんて思ってない事が分かった。
だってどんなに美人だろうが、玉の輿だろうが、俺より遥かに長身のムキムキ勇者様かつ、何一つ考えている事が分からない同性だからな!
「ハ……ハハッ……。」
笑うしかなくて、意識朦朧としながら笑うと……スカイ様の顔がカァ~!と真っ赤になっていった。
「そ、そんなに俺と結婚できるのが嬉しいのか!……全く~!ムギは俺の事が好きでたまらないんだな!
まぁ、俺はカッコいいし強いし、地位もあるし……お前は最高の相手を見つけたのだから、当たり前か!」
ハァ~!と大きなため息をついたスカイ様は、ほとんど気絶している状態の俺の腰を抱き寄せ、そのまま……。
チュチュッ!
人生で2回目のキスをしてきた。
昨日の一回目が強烈すぎて、2回目のこんな可愛いキスなど、もう好きにしてくれとしか思えない。
そのまま白目を向いて大人しくしていると、そのままギシギシと潰される勢いで抱きしめる力は強くなっていき、口の中がグチャグチャと水音が聞こえる様になってきた。
昨日のキスもどき、再来!!
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