元最強軍人のおじいちゃんが、殺されるはずだったモブキャラに転生して乙女ゲームを拳無双をする!

バナナ男さん

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第七章【襲撃編】

(ナーフ)227 痛いよ、体、心も

(ナーフ)

瀕死の重傷、だから動けないはずなのに……!?

ゾッして慌てて手を振り払おうとしたのだが、随分と強く握られている様で全然筈れない!

「────クッ!!は、離せよ!!一体どうなってんだよ、クソがッ!」

恐怖を払う様に掴まれていない方の手でザムザの顔を殴ったが、やはり大きく歪むのに手は外れない。
そのためそのまま何度も何度もその顔を殴り続けてやったが、ザムザの握る手の力は強くなっていく一方で……1度ピタリと拳を止めれば、腫れ上がって全く見えなくなっている顔で俺を見上げてきた。

「……痛い……痛いなぁ……。殴られると痛いですよね。体は勿論心も。
自分が弱くて可哀想で、いらないモノなんだって思わされる行為なんだ、これは。
苦しい、痛い、自分は世界で一人ぼっちなんだって思うと、不思議なことに『自分』を見捨てる様な気持ちになるんです。
つまり自分も『自分』をいらないモノだと罵る加害者になるんですよね。
『お前が悪いんだ。弱いから。無能だから。だからしょうがないんだ』って。
それって心を守るための自己防衛行動なのかもしれませんが……そこから頑張って這い上がる気持ちを持つのは難しい。
だって、自分を見捨てて罵る『自分』を憎んでいるから。」

「はぁぁ??!何わけのわからないこと言ってんの?きっも!!」

そのまま思い切り横腹を蹴り飛ばしてやれば、またボキボキと骨が逝く音が聞こえ、やっと手が外れる。
そのままドシャッ!!と倒れたザムザを見て、大きな舌打ちをした。

「あぁ~もっと楽しむつもりだったのに、死んじゃったじゃ~ん!
なんなんだよ、コイツぅ~きっもちわる!
この屋敷の従業員って皆こんなイカレポンチなのかなぁ?────つまんねっ!能無しはせめて惨めったらしく泣いて命乞いでもして楽しませろっつ~の。」

ハァ~~~ッと、大きなため息をついて、他の『おもちゃ』を探そうと倒れているザムザに背を向けたのだが……。

────ガサッ……。

背後で何かが動く音がしたので慌てて振り返る。

そこにはまるで粘土でできた人形の様にぐにゃぐにゃになっているザムザが立っていた。

手と足は180度くらい回っているし、骨格は骨の形を失っているからか人としてありえない程曲がっている。
そして顔は腫れ上がり血がダラダラと流れていて……明らかに立つことなどできない程の致命傷を負っているというのにだ。

「……な……な、な、な……っ。」

ゾォォォ~!!と背筋が凍りつき、言葉なくその姿を見つめていると、ザムザは折れ曲がっている指で自分の顔を差した。

「あぁ、気にしないで下さいね。俺、仕事の時は、こうして相手の攻撃を最初はちゃんと全部くらうことにしているんで。          
本当に痛いですね。痛いし熱いし苦しい……でもね、、俺もずっとやってきたんですよ。
自分に対して意地悪をしてきたわけでもなくて、何一つ悪いことなんてしていなかった無力な相手に。」

ザムザはそのまま折れている自分の手で拳を握ると、そのままガンガンッ!!と自分の顔を思い切り殴りつけた。
そして何度も何度もそれを繰り返すので、今まで感じたことがない恐怖を感じ、気がつけば足は後ろへと下る。
そうしてしばらくの間ソレは続き、すっかりただの肉の塊に口らしきモノがついている様な外見になった頃、その口がパクパクと動き出し喋り始めた。

「その時の俺は、凄く『幸せ』だと思っていたなぁ~。
パッとしない外見に実力、家庭内でも『跡継ぎはいるから就職先を見つけて出ていけ』って言われて……その時は頑張ったんですよね。
絶対に見返してやるって。
だから伯爵家の執事として雇われた時は凄く嬉しかったけど……それから直ぐでしたね、挫折したの。
あぁ、世の中って、他人を上手く使うヤツだけが幸せになれるんだって、そう思い知らされました。」

ザムザはそのままゆっくり顔を覆い、シクシク……シクシク……と泣き出し、異様な雰囲気にビビる俺に向かい『いないいないばぁ!』するかの様に両手を外す。
するとそこには最初見たままの普通のザムザ青年の顔があった。


【従者】

<お仕置き☆タイム>

自身の従事する一定範囲内のフィールド内で発動する事ができる特殊系時間干渉スキル。
主人や主人に従属する生物や物体に対し一定以上の敵意ある存在の攻撃を受けても、攻撃を受ける前の状態に戻すことができる。
正し、耐えられるダメージ量は主人に対する忠誠心、自責心、後悔、懺悔心によって決まり、それが高い程、総耐久ダメージ量が高い。
(ザムザ:耐久値レベル850)
(スキル条件)
己の過ちに対し、一定以上の自責心、後悔、懺悔心を持っていること。
一定以上の主人に対する忠誠心を持っていること。
精神状態が1度クラッシュ状態を経験し、更に現在、一定以上の変化を起こした状態であること。
(後天称号)【クラッシュ&リスポーン】を取得していること。

(後天称号)
【&$%#のデコピン】
【クラッシュ&リスポーン】


「────っ!?な、なんなんだよ、お前!変なスキル使っちゃってさぁ!!」

目の前でどんどん体が元通りになっていくザムザに向かって怒鳴りつけ、そのまま頭をふっとばすくらいの威力のハイキックを顔目掛けて打つ。
しかし、すっかり元通りになってしまったザムザは、生意気にもその蹴りを己の肘のガードで止めた。
それにムカッ!!とした俺は、反対の足でもう一度ザムザの頭を狙うが……それもガードされてしまう。

「…………っクソッ!!非戦闘員のくせに生意気なんだよぉぉぉ!!」

「俺ってプライドばっかり高いクソ雑魚男だったんで、才能がないって判断した戦闘は、『危険を犯して戦うのは、それしか能のない筋肉バカ』って言って逃げていましたね~。
自分はそんな人間の上に立つ資格がある素晴らしい人間になるんだと、そう考えていました。」

「はぁ~?ばっかじゃないのぉぉ~?戦えないゴミ人間の言い訳じゃ~ん。搾取される側だって認めたくないだけっしょ?はい、おっつかれさまっしたぁ~!」
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