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社会人編
11 嫌なんだよね
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「だって『俺が好きな匂いになる。』、『源はただあるモノを使うだけ。』、その行為のどこに嫌な事があるの?
だって源は損なんてしてないじゃない?
例えば、源が今のシャンプーやボディーソープにこだわりがあるとか、自分で用意しないといけないとなると損だよね?そんなこだわりあったっけ?」
「────えっ!!…………????いや、別にこだわりなんかないけど……。」
薬局で一番やすいシャンプーとボディーソープ、リップだってそう。
こだわりなど皆無だ。
モゴモゴと答える俺に対し、翔は『ね?おかしくないでしょ?』と言わんばかりに首をコテンと横に倒す。
なんだかそういう問題じゃ無い気がするが、なんて説明していいか分からず黙ると……翔は更に買うモノをどんどん選び、全てスタッフの人たちに運ばせて車の中へ。
そして俺はまた車に押し込まれた。
「…………。」
恐怖しか感じない買い物量に青ざめているというのに、翔はやはり行きと同じ様に車が止まる度に俺の顔や口元を弄ぶ様に触る。
更に「可愛い」「可愛い」とまで言い出し、本格的な恐怖に襲われた。
「……お、俺……今日は実家に帰る……。降ろしてくれ。」
そう告げると、翔はニコッと笑いながら「駄目。」とハッキリ告げる。
その言い方は絶対に譲る気がない時のモノで、この場合いつも俺が仕方ないなと譲歩してきたが、今日は俺も引かない。
「今日のお前は絶対変だ。だから一旦距離をおこう。」
「…………。」
翔は無視。
その後はシーン……とした車内で、気まずいまま結局俺達の家に到着してしまった。
「────っ!」
とにかく嫌だという気持ちから、俺は即座にシートベルトを外して外に飛び出したのだが、突然どこからか現れたスーツを着た男たちに道を塞がれてしまう。
そしてそれを押しのけ外に出ようとしたが、そのまま優しく拘束されてしまい、『えっ!!?』と驚いてしまった。
こいつら、絶対素人じゃない!
流れる様な拘束術にアワアワしていると、後ろからゆったりとした動きで翔がやってきて俺の二の腕を掴む。
「────さぁ、帰ろう。」
「いや、ほんっとに俺の話聞けって……。っつーか、なんなんだよ、コイツラは。」
掴まれた二の腕がやや痛くて顔を歪めながら尋ねると、翔はあっけらかんとそれに答える。
「あぁ、源用の護衛達だよ。いつも何十人単位で色んな所に待機させてる。逃げるのは無理だよ、プロだしね。」
「はぁぁぁぁ~!!??」
突然聞かされる衝撃の事実!!
────えっ?いつも……??
「えっ、いつもって???」
「?毎日って事だよ。何言ってんの??」
さも俺がおかしいみたいに言ってくる翔に……激しい怒りが湧いた。
どう考えてもおかしいのは翔!
こんなの絶対に絶対におかしい!!
「いや、ふっざけんな!!なんで俺がそんなプライバシーゼロの状態に置かれないといけねぇんだ!!
もうお前とは絶縁だ!!俺は実家に帰る!!とっとと離せ!馬鹿野郎!!」
大激怒して怒鳴ってやったが……翔は余裕そうにう~ん……?と首を傾げる。
「そっか~。でも、それ俺は嫌なんだよね。────うん、じゃあ、仕方ない。
翔の実家を消そうか。
そしたら帰る所、なくなるでしょ?」
「…………はいっ??」
とんでもない一言にポカンとしていると、突然翔が胸元からスマホを取り出しどこかに電話し始めた。
「あ、もしも~し。今融資している<木原会社>との契約を今直ぐ切ってくれる?────うん、そうそう。それで根本っていう社員を切れば続けるって社長に言って。」
「────っ!!!??」
<木原会社>は俺の父さんが働いている会社で、その社員は俺の父。
絶句している俺の前で翔はペラペラと喋り続ける。
「それで、近所のスーパーでパートしている根本さんっておばさんもクビに。あと<洞野病院>で働いている看護師の根本って女も切ってくれる?う~ん……そうだね、適当に理由をでっち上げて────……。」
「翔!!!」
翔の名前を叫ぶと、翔はピタリと止まり、ニコニコしながら俺を見つめた。
「────なに?」
「……なんでそんな事するんだ。酷すぎるぞ。」
本気で怒りながらそう言ったのに、翔は本気で分からないのかキョトンとした顔を見せる。
「?だって仕方ないでしょ?源が俺から離れるなんて言うから。」
自分の望みを叶えるためにこんな事を平気でするなど正直考えられなかったし、しかもその望みが俺が離れない事?
なんじゃそりゃ!!と大声で叫びたかったが、今は家族が酷い事になるのを止めるのが先決だと、俺は静かな怒りを込めて翔に言った。
「実家に帰らないから……それ、止めろよ。」
「そっか。良かった。────もしもし?やっぱり今の話は全部なしで。うん、またお願いね~。」
通話を終えた翔は、スマホを胸ポケットに入れニコニコ笑いながら俺の手に自分の手を絡める。
「じゃあ、帰ろうね。俺達の家に。」
「……あぁ。」
いわゆる恋人繋ぎの手にゾゾゾ~!としたのだが、とりあえず今ここで何か言えば家族に被害が及ぶ可能性もあるため大人しくする事にした。
すると大人しい俺を見てどんどん機嫌がよくなっていく翔はそのまま家へと歩き出す。
イタズラ?
嫌がらせ?
家に着いた途端サプラ~イズ!とかやる?
エレベーターに乗ってる間ありうる可能性を思い浮かべてみたが、その間も翔は髪や顔を弄ったり、臭いを嗅いできたりと気味の悪い行動をし続けた。
その行動はまるで…………恋人同士のようだ。
だって源は損なんてしてないじゃない?
例えば、源が今のシャンプーやボディーソープにこだわりがあるとか、自分で用意しないといけないとなると損だよね?そんなこだわりあったっけ?」
「────えっ!!…………????いや、別にこだわりなんかないけど……。」
薬局で一番やすいシャンプーとボディーソープ、リップだってそう。
こだわりなど皆無だ。
モゴモゴと答える俺に対し、翔は『ね?おかしくないでしょ?』と言わんばかりに首をコテンと横に倒す。
なんだかそういう問題じゃ無い気がするが、なんて説明していいか分からず黙ると……翔は更に買うモノをどんどん選び、全てスタッフの人たちに運ばせて車の中へ。
そして俺はまた車に押し込まれた。
「…………。」
恐怖しか感じない買い物量に青ざめているというのに、翔はやはり行きと同じ様に車が止まる度に俺の顔や口元を弄ぶ様に触る。
更に「可愛い」「可愛い」とまで言い出し、本格的な恐怖に襲われた。
「……お、俺……今日は実家に帰る……。降ろしてくれ。」
そう告げると、翔はニコッと笑いながら「駄目。」とハッキリ告げる。
その言い方は絶対に譲る気がない時のモノで、この場合いつも俺が仕方ないなと譲歩してきたが、今日は俺も引かない。
「今日のお前は絶対変だ。だから一旦距離をおこう。」
「…………。」
翔は無視。
その後はシーン……とした車内で、気まずいまま結局俺達の家に到着してしまった。
「────っ!」
とにかく嫌だという気持ちから、俺は即座にシートベルトを外して外に飛び出したのだが、突然どこからか現れたスーツを着た男たちに道を塞がれてしまう。
そしてそれを押しのけ外に出ようとしたが、そのまま優しく拘束されてしまい、『えっ!!?』と驚いてしまった。
こいつら、絶対素人じゃない!
流れる様な拘束術にアワアワしていると、後ろからゆったりとした動きで翔がやってきて俺の二の腕を掴む。
「────さぁ、帰ろう。」
「いや、ほんっとに俺の話聞けって……。っつーか、なんなんだよ、コイツラは。」
掴まれた二の腕がやや痛くて顔を歪めながら尋ねると、翔はあっけらかんとそれに答える。
「あぁ、源用の護衛達だよ。いつも何十人単位で色んな所に待機させてる。逃げるのは無理だよ、プロだしね。」
「はぁぁぁぁ~!!??」
突然聞かされる衝撃の事実!!
────えっ?いつも……??
「えっ、いつもって???」
「?毎日って事だよ。何言ってんの??」
さも俺がおかしいみたいに言ってくる翔に……激しい怒りが湧いた。
どう考えてもおかしいのは翔!
こんなの絶対に絶対におかしい!!
「いや、ふっざけんな!!なんで俺がそんなプライバシーゼロの状態に置かれないといけねぇんだ!!
もうお前とは絶縁だ!!俺は実家に帰る!!とっとと離せ!馬鹿野郎!!」
大激怒して怒鳴ってやったが……翔は余裕そうにう~ん……?と首を傾げる。
「そっか~。でも、それ俺は嫌なんだよね。────うん、じゃあ、仕方ない。
翔の実家を消そうか。
そしたら帰る所、なくなるでしょ?」
「…………はいっ??」
とんでもない一言にポカンとしていると、突然翔が胸元からスマホを取り出しどこかに電話し始めた。
「あ、もしも~し。今融資している<木原会社>との契約を今直ぐ切ってくれる?────うん、そうそう。それで根本っていう社員を切れば続けるって社長に言って。」
「────っ!!!??」
<木原会社>は俺の父さんが働いている会社で、その社員は俺の父。
絶句している俺の前で翔はペラペラと喋り続ける。
「それで、近所のスーパーでパートしている根本さんっておばさんもクビに。あと<洞野病院>で働いている看護師の根本って女も切ってくれる?う~ん……そうだね、適当に理由をでっち上げて────……。」
「翔!!!」
翔の名前を叫ぶと、翔はピタリと止まり、ニコニコしながら俺を見つめた。
「────なに?」
「……なんでそんな事するんだ。酷すぎるぞ。」
本気で怒りながらそう言ったのに、翔は本気で分からないのかキョトンとした顔を見せる。
「?だって仕方ないでしょ?源が俺から離れるなんて言うから。」
自分の望みを叶えるためにこんな事を平気でするなど正直考えられなかったし、しかもその望みが俺が離れない事?
なんじゃそりゃ!!と大声で叫びたかったが、今は家族が酷い事になるのを止めるのが先決だと、俺は静かな怒りを込めて翔に言った。
「実家に帰らないから……それ、止めろよ。」
「そっか。良かった。────もしもし?やっぱり今の話は全部なしで。うん、またお願いね~。」
通話を終えた翔は、スマホを胸ポケットに入れニコニコ笑いながら俺の手に自分の手を絡める。
「じゃあ、帰ろうね。俺達の家に。」
「……あぁ。」
いわゆる恋人繋ぎの手にゾゾゾ~!としたのだが、とりあえず今ここで何か言えば家族に被害が及ぶ可能性もあるため大人しくする事にした。
すると大人しい俺を見てどんどん機嫌がよくなっていく翔はそのまま家へと歩き出す。
イタズラ?
嫌がらせ?
家に着いた途端サプラ~イズ!とかやる?
エレベーターに乗ってる間ありうる可能性を思い浮かべてみたが、その間も翔は髪や顔を弄ったり、臭いを嗅いできたりと気味の悪い行動をし続けた。
その行動はまるで…………恋人同士のようだ。
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