(完結)姑が勝手に連れてきた第二夫人が身籠ったようですが、夫は恐らく……

泉花ゆき

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根拠のない噂話が、あちこちでさざ波のように漏れていきます。
自分の愛する妻が侮辱されているのを耳にして、涼珩リャンハンは我慢ならなかったのでしょう。
彼は顔を真っ赤にして、傍聴席に向かって怒鳴りました。

「侮辱するな、連花リェンホアは不貞などおかしてない!僕と彼女は……何日も同じ部屋で眠りについたんだ!だから子ができたんだ!」

広間に、見事なまでの沈黙が落ちました。

先ほどまでのざわめきが、まるで刃物で断ち切られたかのように消え失せます。
裁判に必要な人間たちも、そして興味本位で詰めかけていた傍聴人たちまで、ぽかんと口を開けたまま動きを止めました。
時が止まったかのような光景でした。

「……え?」

誰かの呟きが、静寂の中にぽつりと落ちました。

同室で寝た?
それだけ?

誰もが耳を疑いました。
大人の男が公の場で、子を成す行為について語った言葉が同じ部屋で眠りについた……ということだけだったからです。

一人が、咳払いをしました。
主旨とは違うとは知りつつも、この発言を看過できなかったようです。
彼は口を挟みました。

「彼に確認させてください。同室で眠るとは、どういう意味でおっしゃっていますか?言葉のあやということでよろしいのですか?」

涼珩リャンハンは、何を聞かれているのか分からないといった顔をしました。
彼は瞬きを繰り返します。

「ど、どういうって……そのままの意味です。男女は同じ寝屋で一緒に横になれば子ができるでしょう?僕はちゃんと、何日も彼女と……朝までぐっすりと眠りましたよ」

広間のあちこちでざわめきが広がります。
傍聴席の最前列にいた老人が、咳き込みました。

「なんてこと」

「知らなかったのか……?」

「じゃあ、元第一夫人とも……?」

先ほどとは比べ物にならないほど大きなざわめきが広がっていきます。
それは嘲笑ではなく、不可思議なものを目にした時にも似た驚愕でした。
成人を越えて何年にもなる、しかも名家の跡取りが、男女の交わりについて確たる知識を持っていなかったのです。

これに一番驚き焦ったのは、もちろん彼の両親である凌夫妻でした。

「嘘を言うんじゃないよ、そんなはずが……涼珩リャンハン、馬鹿なことばっかり言うんじゃない!」

「おい、どういうことだ……!」

義父もうろたえをあらわにして、妻へと詰め寄ります。

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