姑が勝手に連れてきた第二夫人が身籠ったようですが、夫は恐らく……

泉花ゆき

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名家の子息令嬢は、年頃になる前に、必ず子作りについての教育が行われます。
家系を絶やさず、優秀な跡取りを残すことは、誰にとって最も重要な義務の一つだからです。

当然、凌家でもその機会を設けることになりました。
ちょうど涼珩リャンハンが思春期を迎え、そろそろ婚約の話が出始める時期のことです。

ある日、一人の男が屋敷を訪ねてきました。
彼は礼儀正しく落ち着いた物腰で、多くの名家で指南役を務めてきたという触れ込みでもって自らを売り込みに来たのです。

けれど……その男の正体は、かつて凌家を追い出された第一夫人の、遠い縁者でした。

血のつながりは薄いものでしたが、彼は幼い頃に会った第一夫人の優しさを鮮明に覚えていました。
彼女が凌家を追われ、心身ともに傷ついて実家に戻ってきた姿を見た時、男の心は怒りと哀れみで満たされました。

あのような清らかな人が、なぜこれほど残酷な目に遭わなければならないのか。
やつれ果て、人の目を見ることも怯えるようになった彼女を見て……男は凌家の冷酷さが許せませんでした。

そしてその元凶である現在の夫人……かつての第二夫人のことを調べ上げ、復讐を決意したのです。

暴力で訴えれば、逆にこちらが罰せられるだけ。
だから男は、もっと深く長く、家そのものを腐らせるような毒を盛ることにしました。

男は経歴を偽装し、閨の伝達人として義母へ身を売り込みに行きました。
それなりに上等な服へ身を包み、一つ二つ他所の名家と軽いつながりを作ってから凌家へと挨拶に行きます。


義母は、第二夫人から正夫人へと上り詰めた人間です。屋敷の内輪のこと……特に、息子の教育に関わることを誰に預けるかは極めて慎重になっていました。 

(……こんな男を信じてもいいものかね)

彼女は疑り深い目で男を値踏みしました。

「実績があるとは聞いているけれど、どこの馬の骨とも知れないあんたに大事な嫡男の教育を任せられると思うかい?」

男は深々と頭を下げます。そして、顔を上げた時には……義母が最も聞きたがっている言葉を、まるで真実であるかのように口にしました。

「おっしゃる通りでございます、奥様。ですが……私は多くの家を見てまいりました。その中でも奥様のように才覚と美貌を兼ね備え……家を見事に切り盛りされている方は稀でございます」
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