親同士の決め事でしょう?

泉花ゆき

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「……おばさまが、甘いものを控えてる?そんなの、聞いてないけど……」

カレン様が、消え入るような声で呟きました。 
アルフレッド様は、それに追い打ちをかけるように楽しげに笑いました。

「カレンは最近、隣領のことで自分のところが忙しかったんだろう?家族にしか教えていないことだからね、君が知らなくても無理はないよ」

「そっ……そんなの……だって……!」

アルフレッド様の言葉には何の含みもありません。それだけに、カレン様は何と答えていいのか分からなくなっているようでした。

「だって……だっておかしいでしょ……っ何で私の知らないことが……」

小声でぶつぶつと何かを言い始めるカレン様を見て、アルフレッド様は首を傾げているようでした。……けれども、取り合うことでもないと考えたようで。立ち上がると、私の方へ手を差し出しました。

「さあリリアーナ。そろそろ母様たちが待っている、行こうか」

「……はい、アルフレッド様」

私はアルフレッド様の手を取って立ち上がります。そしてまだソファで呆然としているカレン様へ、膝を追って会釈しました。

「カレン様。アルフレッド様を思うお気持ち、痛み入ります……お話頂きまして、ありがとうございました」

「えっ。……あ~、……うん……」

カレン様の返事は、驚くほど力のないものでした。

サロンを出る間際、私は一度だけ振り返ります。
そこには先ほど面接官を自称していたの余裕などどこからも感じさせない、ただの不機嫌な一人の女性がぽつんと座っていました。

(……アルフレッド様。あなたのその無意識の残酷さが、今は少しだけあちらの方へも牙を剥いたようだけれど……)

だからと言って、今日を皮切りにしてあの無遠慮な上から目線の人間と縁が切れるというわけでもないのでしょうから。

(……不思議ね……今からご両親へ挨拶へうかがうと言うのに……)

……彼の腕を借りて廊下を歩きながら、私はどこか冷めた心地で自分の将来を考え始めていました。かつての優しい思い出が、少しずつ形を変えていくのを感じながら。

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