親同士の決め事でしょう?

泉花ゆき

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サロンを出てた私はさらに奥にある、よりプライベートな居住エリアの応接室へと案内されました。 
そこにはカスティエル侯爵と夫人が、穏やかな表情で私たちを待っておられました。

「リリアーナ・ベルナールでございます。この度はお招きいただき、心より感謝申し上げます」

私がカーテシーを披露すると、侯爵閣下も夫人も優しく微笑んでくださいました。

「よく来てくれた、リリアーナさん」

「アルフレッドから、貴女がいかに聡明で素晴らしい女性かはずっと聞かされておりました。それこそ毎日のようによ?」

「……本当のことですから仕方ないですよ」

アルフレッド様が照れくさそうに笑い、場が和やかな空気に包まれます。
……その瞬間でした。

「おじさま、おばさまぁ。遅くなってごめんなさい!アルったらなかなかサロンから動かないんだもん。私も急かそうとしたのに聞いてくれなくって!」

後ろから、まるで嵐のような勢いでカレン様が話に割り込んできました。彼女は挨拶もそこそこに夫人のすぐ隣の椅子を確保すると、さも当然のように夫人の肩を抱くような仕草を見せました。

「あら、カレン。……あなたもいたのね」

夫人の声が先程までの柔らかなものとは少し違い、どこか困惑を含んでいることに気づいたのは……私だけだったでしょうか。

(……それに、急かされた覚えは全然なかったのだけれど)

「そうですよぉ!アルの婚約者ちゃんがどんな子か、私がおばさまの代わりにチェックしなきゃと思って。ねえ、おじさまもそう思うでしょ?」

「……ああ。カレン嬢も、相変わらず賑やかだな」

侯爵閣下の苦笑いは歓迎というよりは、扱いに困っている大人のそれに見えました。ですがカレン様はそんな空気などお構いなしに、一気に話し始めます。

「おばさまぁ、聞いてくださいよ!アルったらさっきリリアーナちゃんが持ってきたお菓子を食べて、すっごく喜んでるんです。でもでも。でもですよ。それって表面が焦げたカラメルの、苦~いお菓子なんですよ?アルが苦いもの食べられるようになるなんて、私もびっくりしちゃって!」

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