親同士の決め事でしょう?

泉花ゆき

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カレン様は私をチラリと見てから、夫人に同意を求めるように頷きました。

「アルってば昔から本当に子供っぽかったじゃない?おばさまが焼いてくれたクッキーも、少しでも焼き色が濃いだけで、苦いー!なんて言ってわんわん泣きついてましたよね?あの時だっておばさまを困らせたアルを叱ったのは、私だったんですよぉ」

「……ええ。そんなこともありましたわね。十数年も前の話ですけれど……」

夫人の言葉には、明らかに何を今更というニュアンスが混じっていました。
けれど、カレン様は止まりません。

私と夫妻が話したのはご挨拶の一言のみ。ちらりとアルフレッド様を見てみたけれど、彼はただカレン様に圧倒されているようで呆気に取られていました。

「そうなんです~!あの頃からアルの面倒を見るのは私の役目みたいなものだったでしょ?」

そこでカレン様は声の調子をねっとりとしたものに変えました。

「……ねえ、おばさま。やっぱりアルには……もっとこう、彼の本当の性質を分かってる人がそばにいないと。危なっかしくて見てられませんよねーぇ?」

それは夫人に向ける口調であったのだけれど、彼女の視線は間違いなく私の方へ向けられていました。本当の彼を知っているのは私だけ……そう言わんばかりの視線です。 

これ以上ない無礼な宣戦布告でした。
私は何を言うことでもなく、アルフレッド様のほうを見つめます。

(私を紹介する場でこんなことを言っているけれど……?)

アルフレッド様は、やっとこちらを向いたと思うと少し慌てたように声を出しました。

「カレン……はそれくらいにしてくれ。今はリリアーナを両親に紹介する大切な場だから……」

「えー、だって本当のことじゃーん!何?照れてんのぉ?」

アルフレッド様が少し強めの口調で諫めましたが、カレン様は唇を尖らせたり笑ったりしているだけ。

私は内心溜息をつきつつも、話には加わらず黙しています。 
けれど夫人が差し出されたお茶に口をつけようとした瞬間、そっと言葉を添えました。

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