親同士の決め事でしょう?

泉花ゆき

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「リリアーナさん。あなたのような方がアルフレッドの側にいてくださることに、私は心から安堵しています」

「……っ、はい。奥様」

「……あの子……アルフレッドは優しいけれど、それゆえに毒を毒と見抜けないところがあるわ。……かと言って無理に引き離すと余計に互いを執着するかもしれない。ですから夫と話してもなかなか手が出せないでいたのだけれど……」

「……」

(ああ……本当は、疎まれていらっしゃったのですね……)

もしもカレン様が、今日だけでなく長年このような調子であったとするなら、それも仕方ないのかもしれない。
話題を捻じ曲げ、呼ばれていないところに割り込み、気に入らないことがあれば不機嫌になる。

(……他家で行う言動には、とても見えなかったもの)

……今日一日だけでも、そう感じさせる振る舞いばかりを見てしまいました。

「……ですからね、リリアーナさん。身内の恥を晒すようで申し訳ないのだけれど」

夫人の瞳に、切実なまでの熱が宿ります。

「くれぐれも、あの子のことをよろしくお願いいたします。あなたがあの子を支えてあげてちょうだい。いいわね?」

「……精一杯、努めさせていただきます」

その気圧されるような熱量に、私は頷くことしかできませんでした。
よろしくという言葉が、まるで重い鉛のように私の肩へとのしかかるのを感じながら。

「それでは、またの機会を楽しみにしているわ」

私が頷くのを見届けると、夫人はすぐに穏やかな表情に戻り、そう告げて去っていきました。

一人残された私は、冷たい回廊の空気の中で夫人の言葉を反芻していました。

しまわれるカレン様と、それを知ってか知らずか何とも思っていないご様子のアルフレッド様。
……そして、それらを知りながらも決定的なことは出来ないでいたらしいご夫妻のこと。

(アルフレッド様があの調子ですから、無理もないのかもしれませんが……)

幸せな婚約の挨拶に来たはずなのに。

(……この家は私が思っていたよりも、ずっと重苦しいものが宿っているのかもしれません)

心の内側では、さらに暗い予感に包まれていくのでした。

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