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そうやってアルフレッド様に、エリオットが説明を求めようとした時。
「あ、でも髪の色は確かにちょっと似てるけどぉ……」
何も気にせずに無神経な言葉を並べるカレン様。彼女はアルフレッド様に触れたままで、反対の手をあろうことかエリオットの髪へと伸ばしました。
……普段会話をする異性と言えば家族であるお母様と姉の私くらい。このように無礼な妙齢の女性とは話したこともない弟です。
エリオットは、その指先が自分の髪に触れようとした瞬間に心底不快そうに眉を寄せました。
「……っ」
(……いけない!)
私は咄嗟にエリオットの腕を引き寄せるようにして、彼を自分の後ろに隠しました。するとカレン様はきょとんとした後、今度は不満げに私をじろりとにらみつけます。
「え~~?」
(あぶない……あのまま触れられていたら、エリオットがどんな暴言を吐いていたか分かりませんわ)
それどころか汚らわしいと言わんばかりにその手を叩き落として、余計にややこしい事態にしていたかもしれません。
正直なところカレン様の身に何が起きても構いませんが……こちらが過剰に反応したことで、エリオットに落ち度があるなどと難癖をつけられたら、私も黙ってはいられなかったでしょう。
「何?やっぱ弟だなんて嘘でぇ、本当は浮気相手を連れてきたんじゃないの~?」
エリオットに触れることが叶わなかったカレン様は、頬を膨らませながらアルフレッドの腕へと抱きつき直しました。
(本当に何なのかしら、この人は……)
後ろにいるエリオットが空気を不穏にするのを感じながら、カレン様の挑発のような台詞には触れないよう言葉を選びます。
「……失礼ですが、弟は未だ社交界へのデビューも済ませていない身。不用意に異性の方と触れ合うことは、家の方針で控えさせておりますので」
「え~、かたーい!」
「カレン……」
アルフレッド様は困ったように苦笑しているだけでした。カレン様の言葉にはともかく、その動きには何の疑問も感じていないかのよう……
奇しくも先ほどとは逆、私へ庇われる形になったエリオット。彼は私の背後から静かにとげとげしい声をアルフレッド様へ向けました。
「あ、でも髪の色は確かにちょっと似てるけどぉ……」
何も気にせずに無神経な言葉を並べるカレン様。彼女はアルフレッド様に触れたままで、反対の手をあろうことかエリオットの髪へと伸ばしました。
……普段会話をする異性と言えば家族であるお母様と姉の私くらい。このように無礼な妙齢の女性とは話したこともない弟です。
エリオットは、その指先が自分の髪に触れようとした瞬間に心底不快そうに眉を寄せました。
「……っ」
(……いけない!)
私は咄嗟にエリオットの腕を引き寄せるようにして、彼を自分の後ろに隠しました。するとカレン様はきょとんとした後、今度は不満げに私をじろりとにらみつけます。
「え~~?」
(あぶない……あのまま触れられていたら、エリオットがどんな暴言を吐いていたか分かりませんわ)
それどころか汚らわしいと言わんばかりにその手を叩き落として、余計にややこしい事態にしていたかもしれません。
正直なところカレン様の身に何が起きても構いませんが……こちらが過剰に反応したことで、エリオットに落ち度があるなどと難癖をつけられたら、私も黙ってはいられなかったでしょう。
「何?やっぱ弟だなんて嘘でぇ、本当は浮気相手を連れてきたんじゃないの~?」
エリオットに触れることが叶わなかったカレン様は、頬を膨らませながらアルフレッドの腕へと抱きつき直しました。
(本当に何なのかしら、この人は……)
後ろにいるエリオットが空気を不穏にするのを感じながら、カレン様の挑発のような台詞には触れないよう言葉を選びます。
「……失礼ですが、弟は未だ社交界へのデビューも済ませていない身。不用意に異性の方と触れ合うことは、家の方針で控えさせておりますので」
「え~、かたーい!」
「カレン……」
アルフレッド様は困ったように苦笑しているだけでした。カレン様の言葉にはともかく、その動きには何の疑問も感じていないかのよう……
奇しくも先ほどとは逆、私へ庇われる形になったエリオット。彼は私の背後から静かにとげとげしい声をアルフレッド様へ向けました。
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