親同士の決め事でしょう?

泉花ゆき

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私は、そのあまりに情けない光景を、ただ静かに見つめました。

(この方は、自分が今どれほど無様な姿を晒しているか、本当にお分かりではないのね……)

「アルフレッド様。私に何かを仰る前に、まずはその腕を適切に処理されてはいかがですか」

エントラスに響いた私の声は、自分で思うよりもずっと低いものでした。 
隣ではエリオットが、もはやアルフレッド様を同じ人間として数えていないような……何か道端に転がっているものへ向けるような眼差しを向けています。

「……」

彼はもう、アルフレッド様と言葉を交わすこともしたくはないのでしょう。

「いや、だからそれは……!カレン、頼むから一度離れてくれ……っ」

「まだそんなこと言ってるの、アルってば。さっきまではカレンがいれば何もいらないよ~~なんて言ってたのに」

「そんなこと言ってないよ!」

一線を越えたような言葉を出されて、アルフレッド様の声の調子が強くなります。堪らずと言った様子で、カレン様を振りほどきました。

「あっ……!」

「あっ……か、カレン……」

強めの力でほどかれてしまい、自然と軽く突き飛ばされた形になったカレン様。よろけた彼女を見てアルフレッド様は心配そうに手を伸ばしかけますが、結局その手が彼女へと届くことはありませんでした。

「もう、何なの……!?」

アルフレッド様が気まずそうに目を逸らし、カレン様は不満そうに頬を膨らませます。

私はといえば、とても年上の二人が繰り広げている騒動とは思えずに冷めた視線を向けるばかり。
アルフレッド様が否定したというセリフも、それを頭から信用してもいいものなのか疑ってしまいます。

(何が本当なのかしら。もうお二人がどんな会話を交わしたのか分からないわ……)

……とはいえ、これ以上聞いていたくないことだけははっきりと分かっています。

けれどもカレン様は押し黙ったアルフレッド様に追撃することはなく……私の方へと矛先を向けられたのです。

誰かの制止が入るより早く、こちらへ駆け出してきたカレン様に私は腕を掴まれてしまいました。

「きゃっ……!」

「……リリアーナちゃん、あんたも何か言ったらどうなの!?アルがあんなに困ってるっていうのに……そんなに自分だけが大事なんだ?」

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