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「……確かに僕は学園には通っておりません。それ自体は事実ですから、お気になさらず」
エリオットは私に向け、特に感情を波立たせてもいなさそうな穏やかな声でそう告げました。その落ち着いた横顔を見て、この子の方があの二人よりもよほど大人なのだと私は小さく息を吐きます。
けれども、ここで余計な口を挟んだのはアルフレッド様でした。
「よすんだカレン、エリオット君は確かに学園には行っていないが……それは彼が幼い頃から王城に上がっているからだ」
「は?お城?……なによ、下働きか何かで入ってるの?」
貴族令息令嬢が自らよりも格上の貴族邸や王宮にて働くことは珍しいことではありません。カレン様はそちらであるようだと勘違いされたようですが……
「いや、そうではなくて……彼はそちらで王子たちと共に学んでいるんだよ。学園ではなく、専門の教育師たちがついている、王子の側近候補なんだ……!」
アルフレッド様はすべてを話されてしまいました。
「僕だって彼の存在には一目置いているくらいなんだから……そうだろ、リリアーナ!」
この国で誰が王族に仕えているかなどは少し調べれば分かることで、隠す必要もありません。アルフレッド様も広い意味では王子と同年代であり、高位貴族としてそのことを知っていたのでしょう。
事実、我が邸にとっても誇るべきことですが……この場では野蛮な動物に餌を与えるようなことにしかならないのでは、と嫌な予感がよぎりました。
アルフレッド様はエリオットの優秀さを自慢することで、少しでもこの場の空気を良くしようとしたのかもしれません。
けれども……
「はぁ~!?あんな生意気な子供が王子の側近候補!?信じられない、どうしてあんな子が……!」
カレン様は一度、カッとなったようにアルフレッド様を問い詰めます。
けれども再びエリオットを見たカレン様のその目は、まるで獲物を見定めた肉食獣のように鋭く光ったのです。
嫌な予感は、カレン様の表情が変わったことで的中したことを知るのでした。
エリオットは私に向け、特に感情を波立たせてもいなさそうな穏やかな声でそう告げました。その落ち着いた横顔を見て、この子の方があの二人よりもよほど大人なのだと私は小さく息を吐きます。
けれども、ここで余計な口を挟んだのはアルフレッド様でした。
「よすんだカレン、エリオット君は確かに学園には行っていないが……それは彼が幼い頃から王城に上がっているからだ」
「は?お城?……なによ、下働きか何かで入ってるの?」
貴族令息令嬢が自らよりも格上の貴族邸や王宮にて働くことは珍しいことではありません。カレン様はそちらであるようだと勘違いされたようですが……
「いや、そうではなくて……彼はそちらで王子たちと共に学んでいるんだよ。学園ではなく、専門の教育師たちがついている、王子の側近候補なんだ……!」
アルフレッド様はすべてを話されてしまいました。
「僕だって彼の存在には一目置いているくらいなんだから……そうだろ、リリアーナ!」
この国で誰が王族に仕えているかなどは少し調べれば分かることで、隠す必要もありません。アルフレッド様も広い意味では王子と同年代であり、高位貴族としてそのことを知っていたのでしょう。
事実、我が邸にとっても誇るべきことですが……この場では野蛮な動物に餌を与えるようなことにしかならないのでは、と嫌な予感がよぎりました。
アルフレッド様はエリオットの優秀さを自慢することで、少しでもこの場の空気を良くしようとしたのかもしれません。
けれども……
「はぁ~!?あんな生意気な子供が王子の側近候補!?信じられない、どうしてあんな子が……!」
カレン様は一度、カッとなったようにアルフレッド様を問い詰めます。
けれども再びエリオットを見たカレン様のその目は、まるで獲物を見定めた肉食獣のように鋭く光ったのです。
嫌な予感は、カレン様の表情が変わったことで的中したことを知るのでした。
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