親同士の決め事でしょう?

泉花ゆき

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「ありがとう……あなたはどうするの?」

「僕はこれから、例の件について筆を執ります。殿下への報告と、父上への手紙を今日のうちに出しておかなければなりませんから」

「そう……手間を取らせて申し訳のしようがないけれど、お願いします」

私が目を伏せると、エリオットはやはり特別に感情を表すでもなく言葉を足します。 

「余計な気を回していないで、今は回復に努めてください。これは既に邸全体に関わる話なのだから、父や僕の領分です」

「……そうするわ。お言葉に甘えます」

突き放すような言いようなのに、中身はただ休めというだけの忠告。思わず唇には微笑みを浮かべてしまいます。

「それではまた、父の帰宅後に」

「ええ、ありがとう」

私のゆるんだ気配を感じたのか、弟はそれ以上何も言わずに部屋を出て行きました。

弟の頼もしい背中を見送った後、自室のソファへと腰掛けます。
腰を落ち着けたことで、疲労が肩へとのしかかってくるようでした。

(このことは、いつかお礼や埋め合わせをしなくてはならないわね……)

「お嬢様、失礼致します。お茶をお持ちしました」

「入ってちょうだい」

程なくして、エリオットの宣言通りティーセットを引いた使用人が入ってきました。
迎え入れると、彼女は丁寧に手早い仕草でテーブルへとそれを広げます。

ティーポットから茶器へと紅茶が注がれ、温かな湯気とともにかぐわしさが漂います。

「あら……新しい銘柄?」

「家令が指示したものでございます。お嬢様のおくつろぎの手助けになればと」

「いただくわ。きっと私の好きな味なのでしょうね……」

用意された温かい紅茶に手を伸ばします。
口に含むと、思ったとおりに好みの味と香りを持ちながら優しさの見えるような仕上がりになっていました。

「ふう……」

(この邸には、もうあのように訳の分からないことを喚く人たちはいない。そして近寄れないようにも手配をしてもらえる……)

喉を熱い紅茶が降りていき、ようやく深い安堵が身を包んだような心地になりました。



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