親同士の決め事でしょう?

泉花ゆき

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いわく、御前おんまえの態度は淑女としていかがなものか。いわく、感情的で冷静さを欠いている。いわく、友人を温かく迎えないのはベルンシュタイン家の教育を疑わせる。

挙げ句には独善的な赦しへの通告が結びとなっています。
それは、今日の午後に邸へ来れば、すべてを水に流してやる……という知らせでした。

アルコールの香りがするようだと感じられたのは、気のせいではないようです。どうあっても不躾な通り、手紙には赤ワインのシミが点々と落ちていたのですから。

(急ぎとして朝から送らせるものがこれだなんて……)

私が昨日あの場を辞してから、程ない内にしたためられたとしか思えない時間です。

読み進めるうちに、私の指先はどうにも冷たくなっていったようです。込み上げてきたのは呆れと虚しさ。
それは怒りよりも先に胸の奥から噴き出しました。

これほどまでに私のことを軽んじた相手。そして価値観を押し付けてくることへの、底知れない虚しさが込み上げてきたのです。

(アルフレッド様は、ご自分が私に対してどんなことをされているのか、それがどれだけ失礼なことなのか。ちらりとも思い至っていないのですね……)

『諦めないからな!』

そう叫んでいた彼の声が、耳の内に残っているかのようで寒い心地が蘇ります。

(これが諦めない、と言った方のすることだなんて)

私を教育が必要な分からず屋として扱い、上から目線で教えを説こうとしています。
それどころか、我が伯爵家に対しても布告と捉えられかねない言葉たち。

「ご両親はご存知なのかしら、このような手紙……」

アルフレッド様に比べれば、まだ現状……カレン様の在り方に危機感を持っているように思われたお二人です。

けれども、この封蝋の押し方一つ。手紙に点々と落ちているワインのシミ一つ取っても、あの二人がこの手紙のことをご存知だとはとても思えません。

私は手紙を机の上に置きました。このようなものを前にして、震えることも涙を流すこともありません。

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