まねをしてくる令嬢に婚約者を取られたので、偽りの情報で破滅させます

泉花ゆき

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メアリィ様の、巻きおろしにした豊かな髪はブロンドに輝いています。今日の靴下は深紅のもの、足首に幾何学模様入り。
彼女の握るハンカチの刺繍は、季節の花を象ったもの。

………それは。
私のしている姿と、私の持っている小物たちと……何から何まで同じなのでした。
全生徒に共通している制服を除けば……髪型も、身につけているものも、携えている小物でさえ。

違っているところと言えば、顔立ち、それに瞳の色。
それから、彼女の首には、学園に付けてくるには少し不釣り合いなほど大きな宝石のついたネックレスが下げられていて……

けれど、その宝石のネックレスは。

(……元々は私が、持っていたもの)


『セレスティーヌ様のしていたネックレスと、とても似ているものを見つけました!』

メアリィ様は、いつであったか……私にそう言い、ネックレスを見せてくれました。
けれど、時を同じくして私の部屋から大事にしていたネックレスが無くなっていて……

他には何も無くなっていなかった。
あのネックレスだけが、忽然こつぜんと消えていたのです。

(花の形を模した留め具の裏には、私の家のエンブレムが刻まれているはず)

『メアリィ様、お願いがあるの。そのネックレスの留め具を見せて下さらないかしら……』

『……いいですよ?ホラ、どうぞ』

……けれど、頼んで見せてもらったその部分は手酷い傷がついていて。元々刻まれていた印など分からなくなっていた。

『その、が……どうかしましたか?セレスティーヌ様』

あの時、メアリィ様は笑っていたけれど。
瞳の色が、なぜか深く……黒黒としていたような気がして……

(……確かめるすべこそ失われてしまったけれど、あれは間違いなく私のもの。鎖についた傷も、宝石の内包物インクルージョンまで同じだなんて、そんなこと……)

偶然、あの方の手に渡ったのかしら。
伯爵家から一点だけを盗みに入った盗人がいて。その盗人に攫われたあのネックレスが古物商か誰かの手に渡り、それをあの方が目に止めて?

……けれどメアリィ様は、そのネックレスをどうやって手に入れたのかは、ついにお話してくださらなかった。


……私は少しだけ、目を伏せました。
仲睦まじく支え合う二人を見ていられなかったこともあるけれど……

それより何より、彼女のあの、私にそっくりな出で立ち。
それを見ているのが、なによりも胸をざわつかせて仕方がなかったからです。
 

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