まねをしてくる令嬢に婚約者を取られたので、偽りの情報で破滅させます

泉花ゆき

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背後から、低い声が響きます。
振り返ると、そこには厳しい表情をしたお父様が立っていました。
その後ろには、心配そうにこちらを見守るお母様の姿もあります。

「お父様……」

「使用人の不祥事だと聞いていたが、何やら穏やかではない話が聞こえてきたな。同じ髪色の令嬢だと?それがこの盗難事件とどう関係しているんだ」

お父様はエマを鋭い眼光で一瞥すると、私の方へ歩み寄ってきました。
私は深呼吸をして、心を決めました。

「お父様……お話があります。エマの件もそうですが、学園での出来事も含めて、すべてお伝えしなければならないことがありますの」

お父様は、眉をぴくりと動かしました。

「ふむ。ただの窃盗ではないということか。……場所を移し、そこでじっくりと聞かせてもらおうじゃないか」

ついで、執事へと命じます。

「この者の身は地下牢へ。追って憲兵を呼ぶように」

それだけ言うと、場へ背を向けて屋敷の中へと入っていきます。

「はっ、畏まりました」

「い、いやよ!許して……違うの、こんな筈じゃ……っ!め、メアリィ様を呼んで!」

「……」

私もお父様の後を追おうとしたのですが……
必死の形相をしたエマが、ぽろりとこぼした名前。
その言葉に、つい足を止めてしまいます。

「そう……やっぱり、メアリィ様が関わっているのね……」

私からの冷ややかな声に気が付いたのか、エマはハッとした顔で口をつぐみます。

「い、今のは……違います、そんな……」

「……今の魔道具は認可されていないのとことですから、外で使えないのが口惜しいわ。そうすればすぐに、あなたが誰と出会ってどのような会話をしたのかが分かるはず……」

エマは震える声で……今度は私に縋ろうとしました。
下男に抑えつけ、今しも引っ張って行かれそうになりながら。

「お……お嬢様!違うのです……私っ、私はぁ……!」

「……残念ね、メイドが雇い主から窃盗を行うなんて……どうなるのか分かっていないわけではなかったのでしょうに」

「い、嫌ああ!」

泣き叫びながら連れて行かれるエマの声を背中で聞きながら、私はお父様と共に書斎へと向かいました。

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