22 / 44
22
「先程、私がサロンだとお伝えしたために誤解させてしまいましたが……呼び出されたのは旧校舎のサロンで、私たちの他に誰もいなかったのです。ですからこのことは、ライアン様が触れ回らない限りは早々に出回る話でもないのだと思われます」
……あとはメアリィ様だけが知っているということになるのだけれど、彼女の興味がどう向いているかは分からない。
「メアリィ様は、私が持っているものだからこそライアン様を欲しがったのだと思います。そして私がそれを手放したと感じた瞬間に、彼をゴミのように扱った」
……けれども、その興味が私に向いているということだけは感じられる。
「……彼女の狙いが私自身にあるのだとしたら、今婚約破棄を全面に出したとしても、いずれまた同じ目に合いかねません」
「なるほど。お前を囮にして、彼女の正体と目的を確実に掴もうというのだな」
「はい。彼女が我が家のメイドまで使って何かを企んでいる以上、婚約破棄だけの問題ではないと思いますから……」
私の言葉を聞いて、お父様は少しの間沈黙しました。
やがて、彼は感心したように少しだけ口角を上げました。
「セレスティーヌ、お前の覚悟は分かった。当面の間、婚約破棄の事実は内密にしよう。ライアンの家には私から連絡を入れ、調査中という名目で動きを封じておく」
お母様も私の手を握り直し、心強い言葉をかけてくれました。
「そうね……お父様に任せなさい。その代わり、あなたは無理をしないで。何かあったらすぐに私たちに言うのよ」
「ありがとうございます……」
「……おとなしいだけの娘だと思っていたが、いつの間にかそれほどまでに強くなっていたのだな」
「お父様……」
小さくつぶやいた言葉に私が反応すると、お父様は軽く咳ばらいをされます。
「……我が家の誇りを踏みにじり、娘の持ち物を盗ませたこと。これは伯爵家に対する明確な敵対行為だ。それに、お前の日常がそれほどまでに脅かされていたとは……」
お父様が机を拳で叩きました。鈍い音が部屋に響き、私は肩を震わせます。
……反射的に驚いてしまったけれど、今生まれるのはお父様への恐怖ではなくて。
ライアン様への……そして、メアリィ様へのじわじわとした怒りです。
……あとはメアリィ様だけが知っているということになるのだけれど、彼女の興味がどう向いているかは分からない。
「メアリィ様は、私が持っているものだからこそライアン様を欲しがったのだと思います。そして私がそれを手放したと感じた瞬間に、彼をゴミのように扱った」
……けれども、その興味が私に向いているということだけは感じられる。
「……彼女の狙いが私自身にあるのだとしたら、今婚約破棄を全面に出したとしても、いずれまた同じ目に合いかねません」
「なるほど。お前を囮にして、彼女の正体と目的を確実に掴もうというのだな」
「はい。彼女が我が家のメイドまで使って何かを企んでいる以上、婚約破棄だけの問題ではないと思いますから……」
私の言葉を聞いて、お父様は少しの間沈黙しました。
やがて、彼は感心したように少しだけ口角を上げました。
「セレスティーヌ、お前の覚悟は分かった。当面の間、婚約破棄の事実は内密にしよう。ライアンの家には私から連絡を入れ、調査中という名目で動きを封じておく」
お母様も私の手を握り直し、心強い言葉をかけてくれました。
「そうね……お父様に任せなさい。その代わり、あなたは無理をしないで。何かあったらすぐに私たちに言うのよ」
「ありがとうございます……」
「……おとなしいだけの娘だと思っていたが、いつの間にかそれほどまでに強くなっていたのだな」
「お父様……」
小さくつぶやいた言葉に私が反応すると、お父様は軽く咳ばらいをされます。
「……我が家の誇りを踏みにじり、娘の持ち物を盗ませたこと。これは伯爵家に対する明確な敵対行為だ。それに、お前の日常がそれほどまでに脅かされていたとは……」
お父様が机を拳で叩きました。鈍い音が部屋に響き、私は肩を震わせます。
……反射的に驚いてしまったけれど、今生まれるのはお父様への恐怖ではなくて。
ライアン様への……そして、メアリィ様へのじわじわとした怒りです。
あなたにおすすめの小説
何かと「ひどいわ」とうるさい伯爵令嬢は
だましだまし
ファンタジー
何でもかんでも「ひどいわ」とうるさい伯爵令嬢にその取り巻きの侯爵令息。
私、男爵令嬢ライラの従妹で親友の子爵令嬢ルフィナはそんな二人にしょうちゅう絡まれ楽しい学園生活は段々とつまらなくなっていった。
そのまま卒業と思いきや…?
「ひどいわ」ばっかり言ってるからよ(笑)
全10話+エピローグとなります。
今、私は幸せなの。ほっといて
青葉めいこ
ファンタジー
王族特有の色彩を持たない無能な王子をサポートするために婚約した公爵令嬢の私。初対面から王子に悪態を吐かれていたので、いつか必ず婚約を破談にすると決意していた。
卒業式のパーティーで、ある告白(告発?)をし、望み通り婚約は破談となり修道女になった。
そんな私の元に、元婚約者やら弟やらが訪ねてくる。
「今、私は幸せなの。ほっといて」
小説家になろうにも投稿しています。
「お前がいると息が詰まる」と追放された令嬢——翌週から公爵家の予定が全て狂った
歩人
ファンタジー
クラリッサは公爵家の日程管理を一手に担う令嬢。前世の社畜経験を活かし、行事計画、来客対応、予算管理まで完璧にこなしていた。
だが婚約者ヴィクトルは言った。「お前がいると息が詰まる。もっと華やかな女がいい」
追放されたクラリッサが去った翌週、公爵家の予定が全て狂い始める。
舞踏会の招待状は届かず、外交晩餐会の料理は手配されず、決算書類は行方不明。
一方クラリッサは、若き領主の元で「定時退社」という夢を叶えていた。
「もう、残業はしません」
「通訳など辞書で足りる」と追放された令嬢——三国会談で、婚約者は一言も話せなくなった
歩人
ファンタジー
宮廷通訳官エレノーラは五つの言語を操り、婚約者クラウスの外交を陰で支えてきた。
だがクラウスは言った。「通訳など辞書で足りる。お前は要らない」
追放されたエレノーラは隣国で新たな道を歩み始める。
一方、クラウスは三国会談の場で辞書片手に立ち往生。
誤訳が外交問題に発展し、窮地に陥ったその場に、隣国の通訳官として現れたのは——。
「その言葉は、もう翻訳できません」
いつまでも変わらない愛情を与えてもらえるのだと思っていた
奏千歌
恋愛
[ディエム家の双子姉妹]
どうして、こんな事になってしまったのか。
妻から向けられる愛情を、どうして疎ましいと思ってしまっていたのか。
私の婚約者とキスする妹を見た時、婚約破棄されるのだと分かっていました
あねもね
恋愛
妹は私と違って美貌の持ち主で、親の愛情をふんだんに受けて育った結果、傲慢になりました。
自分には手に入らないものは何もないくせに、私のものを欲しがり、果てには私の婚約者まで奪いました。
その時分かりました。婚約破棄されるのだと……。
【完結】何でも奪っていく妹が、どこまで奪っていくのか実験してみた
東堂大稀(旧:To-do)
恋愛
「リシェンヌとの婚約は破棄だ!」
その言葉が響いた瞬間、公爵令嬢リシェンヌと第三王子ヴィクトルとの十年続いた婚約が終わりを告げた。
「新たな婚約者は貴様の妹のロレッタだ!良いな!」
リシェンヌがめまいを覚える中、第三王子はさらに宣言する。
宣言する彼の横には、リシェンヌの二歳下の妹であるロレッタの嬉しそうな姿があった。
「お姉さま。私、ヴィクトル様のことが好きになってしまったの。ごめんなさいね」
まったく悪びれもしないロレッタの声がリシェンヌには呪いのように聞こえた。実の姉の婚約者を奪ったにもかかわらず、歪んだ喜びの表情を隠そうとしない。
その醜い笑みを、リシェンヌは呆然と見つめていた。
まただ……。
リシェンヌは絶望の中で思う。
彼女は妹が生まれた瞬間から、妹に奪われ続けてきたのだった……。
※全八話 一週間ほどで完結します。
愛人と暮らすために私と結婚した伯爵子息、皇帝宮の夜会で本音を喋る魔道具を使ったらすべて暴露されました
あきくん☆ひろくん
恋愛
愛人と暮らすために私と結婚した伯爵子息。その本性を知ったのは、結婚した後でした。
私は子供を産むためだけの妻。生まれた子は愛人が育て、私は屋敷に閉じ込められる運命だという。
絶望する私が思い出したのは、大魔導士から渡された魔道具。「心に思ったことを言葉にしてしまう」もの。
そして皇帝宮の夜会で――伯爵子息は皇太子の前で、自分の本音をすべて喋ってしまいました。
この作品は、「僕に仕えるメイドは世界最強の英雄です」シリーズの外伝です。
リリアーナは、第1作目の第3部のおまけ、のお話にでてくる子爵令嬢です。