まねをしてくる令嬢に婚約者を取られたので、偽りの情報で破滅させます

泉花ゆき

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「先程、私がサロンだとお伝えしたために誤解させてしまいましたが……呼び出されたのは旧校舎のサロンで、私たちの他に誰もいなかったのです。ですからこのことは、ライアン様が触れ回らない限りは早々に出回る話でもないのだと思われます」

……あとはメアリィ様だけが知っているということになるのだけれど、彼女の興味がどう向いているかは分からない。

「メアリィ様は、私が持っているものだからこそライアン様を欲しがったのだと思います。そして私がそれを手放したと感じた瞬間に、彼をゴミのように扱った」

……けれども、その興味が私に向いているということだけは感じられる。

「……彼女の狙いが私自身にあるのだとしたら、今婚約破棄を全面に出したとしても、いずれまた同じ目に合いかねません」

「なるほど。お前を囮にして、彼女の正体と目的を確実に掴もうというのだな」

「はい。彼女が我が家のメイドまで使って何かを企んでいる以上、婚約破棄だけの問題ではないと思いますから……」

私の言葉を聞いて、お父様は少しの間沈黙しました。
やがて、彼は感心したように少しだけ口角を上げました。

「セレスティーヌ、お前の覚悟は分かった。当面の間、婚約破棄の事実は内密にしよう。ライアンの家には私から連絡を入れ、調査中という名目で動きを封じておく」

お母様も私の手を握り直し、心強い言葉をかけてくれました。

「そうね……お父様に任せなさい。その代わり、あなたは無理をしないで。何かあったらすぐに私たちに言うのよ」

「ありがとうございます……」

「……おとなしいだけの娘だと思っていたが、いつの間にかそれほどまでに強くなっていたのだな」

「お父様……」

小さくつぶやいた言葉に私が反応すると、お父様は軽く咳ばらいをされます。

「……我が家の誇りを踏みにじり、娘の持ち物を盗ませたこと。これは伯爵家に対する明確な敵対行為だ。それに、お前の日常がそれほどまでに脅かされていたとは……」


お父様が机を拳で叩きました。鈍い音が部屋に響き、私は肩を震わせます。
……反射的に驚いてしまったけれど、今生まれるのはお父様への恐怖ではなくて。
ライアン様への……そして、メアリィ様へのじわじわとした怒りです。

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