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「え……?」
「お父上には、まずは本人を見てから決めると伝えていたのです。あなたはただ守られるだけの人形ではないようだ。ならば、僕が手を貸す価値がある」
唐突な種明かしに、私は呆然と立ち尽くすしかありませんでした。
フェリクス様は驚く私を置いてきぼりにするように手を外すと、何事もなかったかのようにさらりと言葉を続けます。
「新しいメイドは、今日の放課後にはあなたの屋敷に届くよう手配しておきます。シオンという名です。彼女はあなたの手足となり、不快な害虫を駆除する助けになるでしょう」
私があっけに取られている合間に、話は進んでいるようでした。
……正直なところ、その言動に違和感を覚えないわけではなかったのだけれど……
それでも、父の言う伝手がこの方だというのは確かなようでした。
(……ならば、私は信じるのみ)
「……感謝いたします、フェリクス様」
私が深く一礼すると、フェリクス様は私の耳元に顔を寄せて密やかな声で囁きました。
「お礼には及びません、これは投資ですから。……それに、セレスティーヌ。ライアンという欠陥品を切り捨てたのなら、新しい婚約者も必要ですよね?」
「……はい?」
話のつながりが、あるようでない……と感じるのは、その申し出があまりにも予想外だったからなのか。
「僕は、あなたのことが存外気に入りました。……復讐を終えた後、あなたの隣に座る権利を僕に譲ってくれますか?」
王子様の皮を被ったその男は、邪悪なほど美しい微笑みを私に向けました。
それが救済なのか、それとも新たな支配の始まりなのか。
今の私には分かりませんでしたが……その手を取るしかないということだけは、すでに決まっているようでした。
(権利を譲ってくれ、だなんて。急に態度がへりくだっているけれど……どういうおつもりなのかしら)
「……ええ、喜んで。どうぞよろしくお願いいたします」
にこ、と口元で微笑んで見せると、フェリクス様は満足そうに頷かれました。
「お父上には、まずは本人を見てから決めると伝えていたのです。あなたはただ守られるだけの人形ではないようだ。ならば、僕が手を貸す価値がある」
唐突な種明かしに、私は呆然と立ち尽くすしかありませんでした。
フェリクス様は驚く私を置いてきぼりにするように手を外すと、何事もなかったかのようにさらりと言葉を続けます。
「新しいメイドは、今日の放課後にはあなたの屋敷に届くよう手配しておきます。シオンという名です。彼女はあなたの手足となり、不快な害虫を駆除する助けになるでしょう」
私があっけに取られている合間に、話は進んでいるようでした。
……正直なところ、その言動に違和感を覚えないわけではなかったのだけれど……
それでも、父の言う伝手がこの方だというのは確かなようでした。
(……ならば、私は信じるのみ)
「……感謝いたします、フェリクス様」
私が深く一礼すると、フェリクス様は私の耳元に顔を寄せて密やかな声で囁きました。
「お礼には及びません、これは投資ですから。……それに、セレスティーヌ。ライアンという欠陥品を切り捨てたのなら、新しい婚約者も必要ですよね?」
「……はい?」
話のつながりが、あるようでない……と感じるのは、その申し出があまりにも予想外だったからなのか。
「僕は、あなたのことが存外気に入りました。……復讐を終えた後、あなたの隣に座る権利を僕に譲ってくれますか?」
王子様の皮を被ったその男は、邪悪なほど美しい微笑みを私に向けました。
それが救済なのか、それとも新たな支配の始まりなのか。
今の私には分かりませんでしたが……その手を取るしかないということだけは、すでに決まっているようでした。
(権利を譲ってくれ、だなんて。急に態度がへりくだっているけれど……どういうおつもりなのかしら)
「……ええ、喜んで。どうぞよろしくお願いいたします」
にこ、と口元で微笑んで見せると、フェリクス様は満足そうに頷かれました。
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